池ノ平の自然 

 

 人間はひとりひとり、ほんとうに驚くほど違います〜ね。容貌といい、スタイルといい、
さらに、考え方、物言いなどは、不思議なほどです。それを個性というらしいですね〜。
その、人間と同じように、池の平もいろいろな貌(かお)を兼ね備えています。人間では個性と
比喩するのなら、自然界はなんと喩えたらいいのでしょうか。
                        

さて、”チョウの国・富山”の部屋へ、みなさまようこそいらっしゃいました。
「エッ、富山がチョウの国、そんなこと聞いたことないな〜」。
「なんかの間違いじゃないの!なんか変わったチョウいるの・・・?」。
「チョウの国といったら、九州や、沖縄だとおもう・・・けどネ〜」

「いやいや、そう先走らないで、お手元の地図をみてちょうだい、じっくりですよ」

「そこでなくて、富山県全体の地図を見て欲しいのですが・・・・」

「ハ〜イ、ハイ、分かったでしょう。そうです、そうです
              富山の県の形がチョウの姿に似ているのですぞ!」
  このようなことを、数学では相似蝶と教わった記憶があるのですが・・・・
(そこでチョウかと言って・・講談師のごとく膝をたたくと、貴方は厳然なる池の平通です)。


池の平の生きものたち、六・四は不思議なほどひとなれていますよ
虫さんたちを無視しないでネ。

  まず登場は”海を渡るチョウ”、”アサギマダラ”です。
か弱くも、美しいこの蝶のどこに
海を渡る強靭なパワーが隠されているのでしょうね。 
次は手乗り文鳥ならぬ・・地味な”ヒメキマダラヒカゲ” 
(私の手の温もりをあじわっているようですね)。
  池の平の淑女 ”ベニヒカゲ

富士には月見草、
八ッ峰には”ベニヒカゲ”が似合いますね。
  トンボも馴れていて、
このとおり池の平の貴公子
”ルリボシヤンマ”です。
  登山者の背中でひと休憩!
(頭の辺りが白いのは、白いガを夢中に食べているからです。)
アキアカネなど里山のトンボは、
7月になると姿をみせますが池の平で
繁殖するトンボ達の羽化は8月10日前後からはじまるようです。

 

 

 ”ヒメキマダラヒカゲ”  ”ミヤマカミキリ”(格好イイデスネ)
 池の平では珍しい ”クジャクチョウ”   夕方このような蛾がやってきました”テングアシバ
 
 


   ”コヒョウモン

湿原から、小窓雪渓の方に下る
”泣き坂”というルートがあります。
途中に小さな湿原があり、
”ムシトリスミレ”、”モウセンゴケ”などが
繁茂する一画があるのですが、
そこで観察されるのがこの蝶です。 


    ”おとしぶみ”(幼虫の産卵室です)。 
   池ノ平の池溏にはクロサンショウも棲息しています。

*クロサンショウの産卵は、池の雪が溶けた後の、8月上旬。産卵が終った親は、池を離れ、林の中へ。小屋近くや、もっと上部まで、山を登り生息している個体もいます。8月中旬ころ孵化した幼虫は、池溏の側縁部のミズコケの下などに隠れ、年を越すようです。まだ、3年ほどしか観察していないので、正確なことは不明ですが、幼虫の大きさを比すと、2年ほど幼虫として水の中で生活をしているようです。
  本当に、アサギマダラは美しいですね。飛んでいる姿をみると、「いよー、舞姫」と声をかけたくなります(7月末から9月中旬ころまで、小屋のある鞍部を上昇気流にのり行き来しています)。ちなみに、小黒部谷と、小窓との鞍部にある池の平は気流の通り道で、昼になると、滝雲がよく流れます。 
 
池ノ平で昨年はじめて棲息が確認された”カオジロトンボ”です。本当に顔が白いですよネ。
7年前に、一頭を目撃しただけでしたが、昨年は、羽化、交尾、産卵などが確認されました。因みに室堂近くの湿原には生息しているようです。 
 
  アオイトトンボ”かな?

 池の平ではイトトンボの確認は至難に近いのですが、
昨年は幸運にも4回目撃、ヤット写真が撮れました。
1年おき程度に、1〜2頭観察されますが生息しているのか
気流にのってきたのか不明です。
池の平羽化シーンを確認したいですね。
 この他に池の平の湿原では、
タカネトンボの羽化、交尾、産卵が確認されています。
また、7月はじめ小窓雪渓のうえで、
里山のトンボ”アキアカネ”が100頭以上ならんで
休んでいたシーンを目撃したことがありました
(あまりにも、数多く途中でやめたほどです)。
また、”ハグロトンボ”の仲間を、ここ、数年の間に2頭目撃。
撮影したのですが種の同定は難しく
また生息の有無も確認できていない状況です。 
 



                           
池ノ平周辺の生き物達の様子はこんな感じです(2008年)                 

池ノ平の生き物暦

7/5日、阿曽原峠からの最初の水場や、雪渓に降りる付近の沢にはオオバミズホウズキが可憐な花をつけていた。仙人温泉付近、ウド、ネマガリタケが盛りで美味しそう。仙人峠から小屋までの通称”カタクリ街道”には沢山のカタクリが花を付けていた。発電室のコンパネ(ベニヤ板)、熊に剥ぎ取られ、柱には熊の爪痕があったが被害はなかった。小屋内には、前年度、下山時に仕掛けた罠に(トリモチ方式)、ヒメネズミが9頭かかっていた。旧小屋時代、このネズミを追って、オコジョやテンが小屋内に入り込み、冬に小屋から出れなくなったか、飢え死にしたものを、今度はネズミが食べたような、痕跡の残る死体が、小屋内にあったこともあった。

7/7日、小屋の周りには、カタクリ、イワカガミ、キバナノコマツメ、チングルマ、シラネアオイ、キヌガサソウなどが咲き、小屋明けの疲れを癒してくれる。

7/10日、朝8時頃、アマツバメの群れ、小黒部谷の大窓側から、小屋の上をハシゴダン乗越のほうへ、ビュンビュン飛んでゆく。例年のことだが、日によって飛ぶ日もあれば飛ばない日もある。一昨年、多いときに数えたら70数羽の時もあった(この時間帯は忙しいので、真面目に観察できないのが難点)。話は飛ぶが、アマツバメは、食事も、交尾もすべて飛びながら行うらしい。
泣き坂の草刈に行ったら、ムシトリスミレ、カタクリ、ツツジの仲間、ギョウジャニンニク、シラネアオイ、キバナノコマツメ、サンカヨウ、キヌガサソウ、シラタマノキ、ヤマザクラが花を付けていた。モウセンゴケはあと1週間といったところ。            

7/14日、小黒部谷の雪解けの跡から出てきた、若草を食べに猿の集団が静かに現れた。以外に生まれたばかりとおもわれる、小猿が多い。親猿にまとい付き、親猿の真似をして新芽を食べている。例年、池の平への、猿の訪問は8月に入ってからだが、この年は、異常に早かった。これも温暖化のせい?(年々、早くなる傾向です)。

7/16日、水場近くに、ハクサンコザクラが花をつけはじめる、カタクリの花少なくなり、実を付け始める。ハクサンコザクラは、池の平の周りでは、2箇所しか確認されていない。小黒部谷の方からは、カッコウ、ツツドリの声が気持ちを落ち着かせてくれる。

7/19日、八ッ峰側の、庭の雪も溶け消える。池近くの環境庁の標識2本にクマの爪痕見っける。昨年のものかもしれない。
避暑する鳥、ウグイスもだんだん標高をあげ、小屋の周りが賑やかになってきた。2007年、兵庫からおいでの二人の女性登山者に、ウグイスは夏になると涼しい山に登り、そこで避暑をし、秋になると里山に下りる、というお話しをしたら、夏の暑さを避けて、池の平小屋のアルバイトをしていたKさん(当時67歳)に、こう言った「じゃ〜、あなた、ウグイスの君じゃない〜」。しばらく、Kさんは「ウグイスの君」と呼ばれ,照れていた。

7/22日、溶けはじめた池で、カオジロトンボ1頭観察。池の平では始めての目撃だった(写真はとれなかった)。ニッコウキスゲが盛り。         

 

7/25、倉庫で、ヒメネズミ1頭捕獲。登山道脇に、珍しく白いイワカガミの大株があった。バックは八ッ峰で眼福この上ない。

7/27、ヤマキマダラヒカゲ、小屋近くを飛翔(8/3日も)。

7/31日、山菜のアマナ(オオバユキザサ)この日で終わり。あとは。コゴミとアザミのみ。

8/2日、仙人ヒュッテから来た、登山者から、仙人峠近くに熊の糞、池の平小屋の水場に掛かる雪渓に、熊の足跡があるというので、永年、熊の資料を集めている私は、喜んで駆けつけたら、仙人峠下の糞は猿のものだった。水場の雪渓に残された足あとは、熊のものだった。少し小さかったから小熊かもしれない。

8/5日、池の落ち口に、二つの花びらを合したような、白いヒョウタンボクが花を付けていた(この辺では数が少ない植物だ)。

池の平山、樹林帯を過ぎると(小屋から30分)、チングルマの群生。その上部には、まだ雪が残り、近くにはタテヤマリンドウ、ショウジョバカマ、イワカガミなどが、涼しげに咲いている。樹林帯の中では、ニッコウキスゲの暖かい色彩が眩しい。

8/7日、池の周辺に猿の大群(30頭あまり)。内、小猿10頭前後。橋の上で交尾している猿もいる。のどかだ。しきりに、池に手をいれ、何かを掬い口にいれている(この行動は昨年、2007年も観察)、水草だろうか。池の中、残雪の上で小猿たちが、人間の子供がするように、ジャレあい遊びまわっている。

アゲハチョウに似ている蝶、池の周りで数日前から飛んでいたが、カメラに捉えたら、キアゲハと確認。えっと声を上げる。池の周りなどで、モミジカラマツ咲き出す。アキアカネ産卵行動はじめる。また、ルリボシヤンマも産卵開始

8/8日、数日前より、ヤマキマダラヒカゲ乱舞。大池で、クロサンショウウオの幼生(2年生と思しきサイズ)、網で掬い確認(撮影し放した)。水草の中に20頭ほど確認。陽のあたる草むらにベニヒカゲ散見。

8/9日、小屋前でも、チングルマが沢山咲き出し、嬉しい気持ちにさせます。八ッ峰の前景に素敵ですね。霧が晴れると、どこからかミドリヒョウモンが現れて、元気よく飛び回っています。        

/13日、小屋近くで、里山の蝶、ベニヒカゲ1頭観察、撮影。樹林帯ではヒメキマダラヒカゲが静かに飛び回っている。池の北側に、膨大な熊の糞ひとつ(これは、大きかった)。

/16日、テント場、西側のトリカブトの群生、7月末から咲き始めたが、今が盛り。小屋前のダイモンジソウ見事。池近くで死んだウサギ1頭。オーナーに聞くと、昔は池の平小屋周辺には沢山のノウサギが棲息し、お盆過ぎになると、とくに、満月の夜など小屋裏の広場に沢山現れたという。秋を予感させる蝶、キベリタテハ飛びはじめる。

台所の2箇所ある、蛇口のひとつが詰まる。配管を分解したらサンショウウオが入っていた。水源地は約標高2200mほどだが、池で標高1950m位を考慮すると、孵化したクロサンショウウオは、200m以上も登山するようだ。日陰のヒッコウキスゲまだまだ元気よく咲いている。山地性のシジミチョウ(ミヤマシジミ?)、小屋の周りを飛び回っている。

8/20日、小さな池で、ルリボシヤンマのヤゴを観察していたら、1頭が水面近くまで上がってきて目があってしまった(可愛い!)。明日は羽化かもしれない。
とつか、猿の大集団が遊びに来る。小屋の石垣に登り、また円周上のヘリポートで小猿達がじゃれあっている様子が、相撲を取っているようにも見えはと危惧し、扉や、窓を締めて身構えた(イチゴなどの餌を食べたら、池の平山の方に消えました)。池近くで、ヨツバシオガマが美しく咲き出した。この日の前後から、ルリタテハ、ツマグロヒョウモン(信じられない)、スジグロシロチョウ、アサギマダラ、カラスアゲハ、キアゲハ、キタキチョウなど、思ってた以上に、里山の蝶が訪問して来るのを確認した(全種撮影済み)。ハグロトンボ、この地で初見。感動!。            

8/23日、小さな池で、ルリボシヤンマの羽化の失敗1頭あり(以外と失敗が多いのが気になる)。台地の池で、ハグロトンボのヤゴ3頭、初観察。

8/24日、この日から、ルリボシヤンマ、タカネトンボの羽化多し。殆ど木道沿いで観察できた。天候が悪かったためか、池を出てから、羽化し、飛び立つまで4時間から6時間かかるものもいる。

8/27日、池の平に、猿が今年6回目の訪問。どうやら、登山者が帰った後や、宿泊者ゼロの日を察知してくるみたいだ。ということは、我々人間が、猿にしっかり観察されている証だろうか。ひょっとしたら、管理人を無害な仲間(猿人)と思っているのかもしれない。池の近くのガラ場で、この年初めてオコジョを見る(2007年は、展望台に幼いものがいた)。

9/4日、小屋の周りを落ち着きなくミドリヒョウモン飛翔。今夏、羽化したと思われるクロサンショウウオの幼生(1cmほど)を数えたら、10平方メートルの間に、約400頭以上数えることが出来た。ということは、この4〜5倍生まれたのかもしれないという推定がなりたつ。    

9/6日、オヤマリンドウ咲き始める。ボロボロのヒオドシチョウ、池の台地で休憩していた。このころよりベニバナイチゴが赤い実を付け始め、クロマメの実もおいしくなり始める。

9/10日、池の近くの川原にトガリネズミの死体1頭あり。小屋の玄関で、キッキキと動物の鳴き声がしたので見たら、オコジョが下水の側溝から顔をだしていた。なんとなく眠そうな目をしていたのが印象的。カメラを出すもグッバイしてしまった。

9/1516日の両日、ダイサギ1羽が大きい池に訪問。双眼鏡で観察すると、クロサンショウウオの幼生を、手あたり次第に捕食していた。見ている私はイライラ。「おい、みんな食べるなよ」と怒鳴っても、どこ吹く風といった感じで、悠然と集中して食事を楽しんでいた。

また、池の浅瀬に熊の足跡を複数個確認。小熊のようだ。林の中にヤマガラが、20羽近く群れ飛んで採餌を楽しんでいる。人間に関心があるのか、近づいてきて私の行動を見詰めている。子供のころ、父が飼っていた、芸をするヤマガラを思い出してしまった。ほんとうに可愛い鳥だ。このころまで、ルリボシヤンマ、タカネトンボの産卵活動盛ん。アキアカネは9月下旬になったら、ピタット姿が消えた。

9/24日、カモ1羽池で一泊(ヨシガモかオカヨシガモ)。不思議に、毎年秋になると12羽のカモが、一晩、憩い、飛び立ってゆく。登山者から、小窓雪渓で小熊を見たとの情報あり。今年、3件の熊目撃情報があった。内、小熊らしもの2回。親熊(相当に大きいらしい)1回。情報をいただくと、カメラを抱えて現場に向かうのだが、いつもカラフリである(このことを妻に話すと、危ないと、いつも叱られるのですが)。

イヌワシ2羽、池の平山をゆっくり飛翔。注意してみていると、ひとシーズン中に、23回ほど観察される。ライチョウは、池の平山に登ると、7合目近くから上部で、確立7割程度で目撃される。また、小屋の周りでよく見られる鳥はホシガラス。普通のカラスも時々目撃される。

9/27日、発冠雪。9/26日以降、氷点下の日が続く。

*ここ数年、池の平周辺の紅葉の入りが遅れだし、見ごろが10月の10日過ぎになってきていたが、2008年は、9/26日から一気に寒くなり、9/27日、朝は雪に覆われた八ッ峰を見ることになった。その影響で紅葉が一気に加速し、10/37日ころが、最高の見ごろとなった。一般に、池の平の紅葉は早いと9月下旬、遅いと、営業終了後の10月15日前後と幅がある。

10/14日、営業終了。

10/15日、2回目の冠雪。
10/17日、小屋締めを終えて、ボランテァ仲間5名と下山、この日は午後から仙人湯小屋の小屋締めを手伝い、同小屋泊まり。小屋の周りは錦秋であった。
10/18日、下山。仙人ダム周辺にはノギクが質素な花をつけ里近しを教えてくれた。

*ルリボシヤンマの産卵行動は、9月下旬まで観察することができた。飛翔の目撃最終日は10/5日だった。

*池の平の、トンボの数を把握したいために、手の届く範囲内の、トンボのヤゴの羽化殻を採取してみた。採取した数は、ルリボシヤンマ30個で、タカネトンボは13個だった。これは、池の平の、平の池(剱池ともいう)での、トンボの発生数の、おおよその目安となるものと思う。

*池の平には大小29の池溏がある。概略峻別すると

@大池(平の池)では、通常に沢山、各種のトンボが産卵しているが、発生数、羽化数はほとんど皆無に近い状態。サンショウウオの産卵数はかなり多く、池の落ち口近くの西側は白い紡錘形の卵でいっぱいになる。発生数もかなり多い。昨年は、1000頭以上発生したと推定している。

A台地状に2つの池あり、ルリボシヤンマ、タカネトンボ、ハグロトンボのヤゴが観察でき、サンシュウウオの幼生も棲んでいる。木立におおわれ静かな池だ。時々、シマヘビ、ヒキガエルなども徘徊している。産卵活動は容易に観察、撮影が出来る。

B木道沿いには、6つほど池があるが、この池にはルリボシヤンマ、タカネトンボのヤゴが生活している確立が高いので、運が良ければ木道から、産卵、羽化などが観察できる。周りは草原で明るい。

C2007年は、コノシメトンボ、オオアオイトトンボが観察されたが、2008年は観察できなかった。