This story was written by Flair.
Sister Princess Realized Story "11,september"
――――――――前書き――――――――
この物語は「東海地方で記録的豪雨(2000/09/11〜12)」に基づいて書かれたものです。
実際に著者であるフレイアの身に起こったことを元にこの物語は書かれています。
あとDLして読む時には右端で自動的に折り返すようにしておくと見やすいと思います。
また、ローカルな地名が登場しますが、これらは全て実在する地名です。
それでは『11,september』、ごゆっくりお楽しみくださいませ。
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シスター・プリンセスRS『11,september』
――2000年9月11日。その日は、至って普通の月曜日だった。
そう、あの雨が降るまでは。
――――2000/09/11(Mon)17:10頃・孝の高校のクラブハウス――――
「ぁ……………」
僕の口から出たのはそれだけだった。すぐに開けた扉を閉める。
「どうした、新海。外に出たんじゃないのか?」
後ろから同級の部員が声をかける。
「いやぁ……」
僕は苦笑しつつも再びクラブハウスの扉を開ける。
「ん〜、すっかり“川”になってるね〜」
クラブハウス前の通路に水があふれてるのを見て彼が軽く言う。
「そんなに動じてないみたいだけど…」
「僕がこれくらい気にすると思う?」
思わないな(苦笑)
「んじゃ、僕行くわ。鍵はよろしく」
そう言って、さっさとクラブハウスを出る。
とはいえ、目の前は“川”、クラブハウスの屋根からは“滝”なんだけど。ついでに、校門の前は“湖”(滝汗)
――――2000/09/11(Mon)17:25頃・名鉄 新名古屋駅 4番線――――
そんな中、なんとか最寄駅からすぐ来た電車に乗り、新名古屋駅に到着。
いつも乗車する場所に向かうと…
「お兄ちゃん☆」
「可憐もこの時間なのか。」
「うん。」
しばし間。会話に詰まった(爆)
「それにしても、雨すごいね。」
「学校の前なんか“湖”だしな(苦笑)」
「可憐の学校の校庭も水浸しだったよ。」
そんな会話をしてる間に家の方面に向かう電車が到着する。
……行き先が違う?
「やっぱり雨でダイヤがめちゃくちゃになってるね。」
どうやら電車が来る方面ではかなりの雨が降っているらしい。
そう思いつつも来た電車に乗る。いつ止まるか分からないし。
――――2000/09/11(Mon)17:45頃・名鉄急行6号車――――
「……雨、どんどん強くなるね。雷も…」
ぴかっ!――どぉぉぉん!
「わっ! 激しくなってきたよ…。」
「大丈夫。光った瞬間落ちてるから☆」←氷上恭子さんが言ってた(爆)
名古屋を出て、15分くらい走った頃から雷が激しさを増してきた。
「電車も進まないし……」
雨が激しければ当然速度制限が厳しくなる。
ちなみに現在は赤信号で停止しているが、進み出してもせいぜい60km/h出すかどうか。
黄信号での制限も25km/hまで下がってるみたいだし(普段は45km/h)
「とりあえず最寄駅に着くまでの辛抱だから。」
――――2000/09/11(Mon)18:00前・名鉄 とある駅(伏せ)――――
そうこうしてるうちに電車はようやく最寄駅へ辿りつく。が……
『只今、全線で運転を見合わせております』
「運転再開するかな?」
「さぁ? ま、再開されなくともバスで送ってもらえるだろうから何とかなると思うよ。」
しかし、この考えは甘くないことを数十分後思い知ることになる。
「とりあえず家に電話かけとこう。親も心配してるだろうし」
「そうだね。」
なわけで電車を一旦下り、改札を出て電話をかけに行く。
僕は携帯電話は校則で所持を禁止してるし、
「あまりかけないし、どうせかかって来ない。かけるだけなら公衆電話使えばいいし」という理由で購入すらしていない。
可憐の学校でも携帯電話は所持禁止なので、携帯電話を持って来てない。
――あ〜ぁ、こんなことがあるんだったら校則無視して携帯電話持ってればなぁ。
――でもこんな時にしか使い道無いんじゃぁなぁ。
――でも自然災害はいつ起こるのか分からないしなぁ……。
「はぁぁぁ〜〜〜〜」
なんて葛藤をしつつ公衆電話があるところへ。
「ほとんど並んでないね。よかったね。」
てことで待ち時間無しで家に電話をかける。
とりあえず電車が止まったこと、いつ運転再開するか分からないことを伝える。
そして父が家に帰ってくるのが19:30頃になるだろうからその頃にまた電話をかけることに。
「これからどうするの、お兄ちゃん?」
「また電車に戻ろう。これだけ雨が降ればすぐ止んで動き出すだろう。」
これまた甘くない考えだったのだが。
ともかく、止まってる電車の片方に乗り込む。
万が一動き出すとなっても後に出る方なのでより休めると思ったからだ。甘いが(苦笑)
ちょうど2人分の席が空いていたので2人で座る。
――――2000/09/11(Mon)18:40頃・名鉄 電車内(停車中)――――
まだ雨は止まず。てか、強くなってないか?
4号車(最後尾)の車掌室の前で携帯電話をかけてる人がいる。ちと盗み聞く。
「あぁ、もう1時間近く止まってるよ。外はすごい雨だから、これじゃいつ動くか分からないな。
それにもう既にレール見えないし(苦笑)」
何ですとぉ!?
「レールが見えない……って?」
兄妹そろって何もすることがなくぽ〜っとしてる間にどうやら水かさが増えたらしい。
兄妹そろって車掌室の方へ。そして覗く。
……しっかり浸かってるねぇ(苦笑+汗)
「ごみ袋が浮いてるよぉ^-^;」
「誰が捨てたんだよ、まったく。始末が悪いなぁ」
とはいえ、ごみ袋が浮いてるってことは完全にレールの上までは水に浸かってる=車輪にも水がかかってるってことか。
これじゃあと何時間かかるのか分かりゃしない。雨もいまだ降り続いてるし。
そんな中、アナウンス。
『水かさが増してきたので全列車を●●側に出します』
向かいに座ってた“じょしこぉせぇ”どもが叫ぶ。
『えぇ〜〜っ!●●に行くのぉ〜〜!?』
阿呆か、おまいら↑。
「お兄ちゃん、この電車、別の方に行っちゃうの?」
「行かない、行かない。一時的に車両を移動するんだよ。多分、●●側に1両分くらい寄せるだけだよ。」
「やっぱり、そうだよね。よかった。」
そうこう言ってる間に扉が閉まる。向かいの“ぢょしこぉせぇ”どもがわめく。
……うるせぇ。ちうかもちっとTPO考えて行動しろよ>“ぢょしこぉせぇ”ども
そしてぴったり1両分移動したところで止まり、再び扉が開く。
“ぢょしこぉせぇ”ども安堵の表情。…………見てるこっちは苦笑い。
でもって僕の腕時計と電車の時報が共に19:00を告げる。
「さて、2回目の電話をかけに行くよ。」
「まだ早いよ。予定の時間までまだ30分もあるし。」
「けど、公衆電話に何人並んでるか分からないからな。ま、早いに越したことはないってことで。」
この予想はしっかりと当たった。すぐ並んで、電話をかけたのは19:25頃。
伝えたことはレールが沈んでいつ復帰するか全く分からない、と言うか、もういくら待ってても復活しないだろうということ。
聞いたことは、親父がこっちに向かってるということ。とりあえず一安心といったところか。
「お父さんが来てくれるんだ……よかった☆」
僕には脱出口が見えたような気がした。本当に気がしただけだったけど(汗)
電話をかけ終わって……ベンチがたまたま1席空いていた。
席は1つ……『(2)妹を膝の上に乗せてすわる』でれっつごぉ☆(4月号爆)
「…何か疲れてきちゃったね……」
「僕も……」
……何だか…眠ぃ……
――――2000/09/11(Mon)19:50頃・駅構内のベンチ――――
気づいたら20分程寝てしまっていたらしい(汗)
ついでに水かさも増してきたらしい(再汗)
さっきまではバス乗り場の段差の下までだったのにもうそこ越えてきちゃってるし。
足元のかばんは盗られてないようで一安心。ちうかこんな状況で盗っていく輩などいないか。
「ん……」
「可憐、おはよぉ……眠。」
「寝ちゃったね。」
「うん。僕も。」
「今は……19:48だけど…どうするの、お兄ちゃん?」
「親父が来るまでここに居よう。」
しかし、その望みもすぐに断たれることになる。
雨の向こうから声が聞こえる。拡声器を使ってるようだ。
『駅は大雨による増水の為、車両進入禁止です。この信号は直進してください。』
ほら、すぐに断たれた(爆)
「これじゃお父さん来られないよ……」
兄妹を絶望が支配する(大袈裟)
「……とりあえず電車に戻ろう。」
ちうわけで再び止まっている電車内に戻ろうとしたけど…
「あれ?あそこにも公衆電話がある」
ホームへの渡りを降りたところで可憐が気づく。
「…ほんとだ。」
灯台下暗しね、気づかなかった(汗涙)
「それじゃ次はここでかけるとして、一旦電車の中に入ってよう。」
――――2000/09/11(Mon)20:10頃・駅のホーム(電話待ち中)――――
――ぽたぽた。
「ホームの屋根から雨漏りしてる…(汗)」
――こぽこぽ。
「あっちの蓋からは水が沸きあがってるし…(汗)」
「何か、怖いね。」
「怖いも何も、いつ駅が崩壊するか(ぉ・笑い事ではなひ)」
「雷もまた増えてきたみたいだよぉ。」
ぴかぴか。――若干の間――ごろごろ。
「でも近くには落ちてないから。大丈夫だよ。」
びかっ!!
今までより明らかに明るい光。
刹那。
ごごおおぉぉぉぉ〜〜ん!!
光と音の時間差約0.4秒。<細かい(苦笑)
「きゃっっ!!」
音だけでなく、その衝撃波が世界を震わせる。
――間。
そして周囲の驚きの声。
「…………今度は、近くに落ちたみたいだね……」
「どの方向に落ちたか大体の見当がつくな(苦汗)」
「駅には落ちないよね……?」
「そんな簡単には落ちないだろうな。それに多分さっきのは、駅に雷が落ちないように建てた避雷針に落ちたとも考えられるし。」
結構適当な事を言ってみる(ぉ
ま、結局気休めだったのだが、可憐が安心したようで僕も一安心。
電話は……大丈夫だったようだ。これで二安心(爆)
――――2000/09/11(Mon)20:30過ぎ・駅のホーム――――
順番を待って再び家に電話をかける。
どうやら親父は既に、駅周辺に来ているらしい。
……来てるって、どこにさ(汗)
とりあえず、親父が居るであろう、駅前のデパート方面へ向かう。
「お兄ちゃん……可憐たち……帰れるんだよね…」
「そりゃ、大丈夫だろ。いざとなったら歩いていくしかないだろうけど、それは無いと思う」
「うん。」
「それに親父は伊勢湾台風の経験者だしな、一応。」
これは実話だったりする。
「で……ここからどうするか、だな。」
駅の西出口はまるで太平洋(爆)
デパート側に渡るには……深さ約30cmの所を行かないといけないな。
「…おい、孝、可憐」
背後に親父の声……どこにいたのさ(汗々)
「とりあえず鞄を渡せ、靴を脱げ。あとは足元に注意して父さんの後ろについて来い」
「うん。」
「わかった。」
僕と可憐は鞄を親父に渡し、靴を脱ぐ。
そして親父の後ろを二人でついて行く。僕と可憐は一緒の傘に入る。
実はちゃっかり相合傘だったりするのだが、そう嬉々してもいられない。
――――2000/09/11(Mon)22:00頃・自室――――
「何とかなったな……一時は親父の車も止まりそうだったし」
「けど、残されてる人はどうなっちゃうんだろう……」
「………救出されることを切に願うよ。」
「でも、バスが進入できないんだよね、駅には。」
「う…ん……」
「それに、これ……すごいね。」
TVは西枇杷島の惨状を伝えている。
僕たちが駅にいる時、新川の堤防が切れて西枇杷島の方に泥流が流れ込んできてしまったらしい。
「すごいって言うか、悲惨…」
僕たちの被害なんて、本当に微々たるものなんだなと思った。
すでに床上浸水してたり、車がじっくり水に浸かってたり、腰まで水に浸かりながらも必死に歩いてる人がいたり。
本当に、僕たちはまだ恵まれてる方なんだな……
「学校、大丈夫かな……」
――――After the matter――――
結局翌日(12日)は学校は二人ともお休み(電車が止まったままだったため)、
その翌日(13日)は電車が一部復帰したけど、生徒の半数が出校できなかった為、休校。可憐の学校も同じく。
ちうか、名古屋(正確には栄生)で折り返してたから、僕の場合、学校までは時間をかけて歩いていかなければならなかったし。
学校へ行く途中で被害の大きさをまざまざと見せ付けられて、大きくため息をついてみたりしたくなってみたり…
最終的に授業が開始されたのは14日からとなりました。
けれども。床上浸水に遭った人が僕のクラスにも一人いました。
その人、学校を休んでまで家の後片付けをしてたそうです。
「自然は時に恐ろしい」
「災害は忘れた頃にやってくる」
……その通りでした。
――――――――あとがき――――――――
初めてSSの類を書いたフレイアですが、いかがだったでしょうか?
書き方とかよく分からないままに書いて……ま、徒然なるままにってことで(ぉ
顔文字とか(苦笑)とかって使っちゃいけないんでしょうか?
あと可憐の設定が結構てきとーで穴がありそうなんですが(汗)
それに視点が二つもあったりするし(主観と客観が入り混じってる)これは書いた日付が違うから?
でも同日でも主観で書いたり客観で書いたりしてるし(ダメぢゃん)
この物語については前書きの通りですが、これは自分の身に起こったことを忘れないようにで^^;
ちなみに書き始めはそれがあった翌日(2000/09/12)なのです。
でもって書き終りは10/22…40日も後だったりします。
だって自由時間が途中で減ったしぃ(何それ^^;
ま、完成しただけで良しとしましょう。
ちうか、良しとして欲しいのぉ(ぉ