--no.013223--2013年12月07日(土曜、時分、--

--------------------
今日俄然中、文字を読んで、電子化した。
以下だ。頁は30から、33の8頁。
当日、読んだが、スピードが上がった。
でも、次回は担当にならないと信じる。
-----------------------------
江州の幽霊の後半。
古園の怪の前半。
---------------
江州の幽霊の結論を言えば・・
殺した女の幽霊を感じ無い、豪傑・・とでも言うか・・
でも、この男を考えると、おかしい。
疑われた男も殺したが、その事は出てこない。
そもそも、二人を殺したのは、疑い・・
これは、暗殺に近い。湖上で、殺す。
嫉妬などするような男では無い。
では、単にめんどくさくない様に、湖上に誘ったか。
--------------------------
結婚しても、無心でせびる女が面倒なだけ・・
それを始末しただけ・・
-------------------------
いづれにしても、儒教的でも無い、仏教的でもない。
民主主義的な現代人が、上条理と避難もできない。
其の辺に、余韻が残る。
----------------------
価値観は多様性が有って良い。
=============d20131205古文.mem===========================
帰たまふ、出迎ひ、たてまつれ、我は、先へけへりしとの
---------------------p030a-----------------------
事。さればこそ、燈火の用意して、参るたり
と、云ければ、角弥、おどろき、まさしく、船中
にて、一討に、しつるものの、先達て、帰り
ぬるは、上審と、思ひ、僕を先にたて、我門に
いたれば、はや、門へ出むかふは、うしなひし女也
「はや、帰らせためへぞや、《など、聞へ、まめやかに、
湯など、盥に、汲み、あしを、そそがしめ、茶抔
さし出す体、常に、替らず、角弥も其夜はつど
つどに、いらべて、臥所に入ければ、かの女もつづ
ひて、入、平生のごとく、添ふししたり。扨、夜明け
---------------------p030b-----------------------
れば、女、とく、起出、まめやかに、家事、いとなむ。角弥
は、大勇の健男なれば、事ともせず、常の体にて
くらしける。月日には、紀の関守もあらづして、ほどなく
湖にて、女を害せし月の其日に当たぬ、女は角
弥にむかひて、「今日なん。殿の御顔もちすぐれ
たまはず《「何事か、心に、かかる事や、おわする。妾に
つつまず明させたまへ《と云ひければ、「いや、何も心に
かかる事もなし。家内はゆたかにして、金銀に、乏
からず。そして、そなたと、我が中もよろし
何事をか、心にかけん《と、敢て、とりあはず、女、また
---------------------p031a-----------------------
おしかへして、問へど、角弥、こたへなければ、女の外
の咄しに、紛らしぬ。とかくして、其年もたち、又
むかふる月になりしかば、夫日は、雨、そぼふり、何か
物淋しきに、女は常よりも、美々しく、化粧て
角弥と膝をつきならべ、「いかにや、殿、今日こそ、思
ひあたる事なん、有たまふべし。何か、かくし思ひ
たまふや。《と、尋れば、角弥、何のいらへもせず、やや
ありて、「我家に財宝、充、家僕、沢山に家業
をなす。このうへに、望なければ《と、云ひさして、奥に
入りぬ。夫より、女も何事もとはずして、年月を送り
---------------------p031b-----------------------
しに、程なく、七年の忌に当りしに、女は、いつもより
とく、起出、角弥が前に居より、膝をつき合せ
「殿、今日こそ、何か思ひあたる事あるらめ、顔色の
つねにかわりたまふ《といへば、角弥、にこにことわらひ「おく
何をか、いふ。我に少しも、愁ひなければ、また、心にかく
べき事、なし《と、いと、のどやかに、答へし時、女の面色
にはかに、朱をそそぎたるごとく、眼、さかつり、口より
はくいき、炎々として、すさまじく、しばがれたる、こは
ねにて、世にも、殿ほどに気丈はあらじ、過つる年
湖にて、むじつに害されしより、あわれ、折あらば
-------------------------p032a--------------------
一口に、くらひ、恨をはらさん。と思ひしに、折として
尋れど、その答、「勇にして、近よりかたし。今日こそ
は、少しにても、過つる事、思ひ出したまひ、恐ろしと、
思う事、心にうかみたらば、すぐさま、咽ふえに喰ひ
つきてん。と、思ひしに、勇威、すぐれて、近より
かたし。あら、口惜しや《といふかと、思へば、庭に飛
おり、一条の黒雲に、うちのり、琵琶湖の方へ
とび行ける。家僕はおどろき立騒ぎど、角弥は
少しも、おどらかず、さもあらん《とじかり、心に紊
折過けるが、其後、何の怪しみもなく、家、ますます
----------------------p032b-----------------------------
栄へりとぞ、大胆のほど、聞あへるほどの人々、おそる
しとなり
   古園の怪
花洛二条の辺りに、まずしく、くらす夫婦あり。夫
さへ、地?の、わざわひにて、家財を焼失し、たよるべきかた
なき折から、二条御番所の御共に付て、やうやう、鳥
が鳴く、あずまへ、下りぬころしも、卯月、しげる若葉の
遠山にしるべ、有て、夫婦、おち付、いとなみをなさん事と
はかる茲に其殿の別荘、今は荒果、菜園となりしが
------------------p033a---------------------
此処をまもるべき人を尋る折ふし、都者の夫婦
渡世もなきと聞、世話する人ありければ、幸ひと歓
家ぐなど、調へ、かしこにいたり、今まで住捨し先の
守が家を払ひ引移りぬ。とかくして、住馴しまま、近き
町家の児女なぞに髪を結ひ美しき、紐などつけ、
遣はしければ、いつとなく、なじみ出来て、その女人、髪
の風、都のさまなれば、ひとしほ、面白く、云ひはやしける
頃しも、冬がれの、空、むら時雨して、物淋しきに、夫
は、用事ありて、出行、妻ひとり、埋燈のもとにより
外面を見渡せば、方十町あまりにひらけたる、荒野に薄
----------------------------p033b--------------------
尾花の風に、折ふし、はるかに、見やる、崖の松柏、覆ひ
真暗なるありさま、物凄く、あほゆる、ゆうまぐれ、いと
うつくしき、女のそともより、入来り、かの妻のまへにより
今日は、あるじもおわさぬに、ひとり淋しく思ひたまふらめ。
わらわは、近きあたりのものなるが、御身の髪を結はせたまふ
を、聞、及び、かの都風に結ひて、ほしさに、尋参れり
御手よごしながら、たのみまいらす。といへば、女房もつれ
づれなれば、「夫は安き御事。いざいざ。《と鏡台とり出し
梅花をのべて、梳たて、ほどなく結ひあげけるを
女は、鏡にくかひ、久々にて、すき櫛を入れしゆへに
--------------------p034a-----------------------

----------end of page-------