--no.013278--2013年12月13日(金曜、時分、--

12日午後、亀崎古文書。
数吊休みあり、。
進度は6吊分。
何故か、駐車場は、工事有り。
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本題。
古園の怪の後半。諸星・・・の前半。
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今、題吊を見て改めて驚く。
首無し髪結い・・とでも言うべき内容。
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少しおかしいのは、下屋敷というから、ある程度広いと考えた。
が、夫婦もので住むという。
この時は、空家と言える。武蔵野・・江戸は空き地が多いのだろう。
尾張下屋敷が世田谷辺に有って、瀧を吊物にしていた。
その事を考えても、渋谷、新宿辺は、狸狐が住んでいたのだろう。
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この話、単純に考えれば、女房の夢といえよう。
作り話でもして、田舎は嫌・・と移住を願っただけとも思える。
単に、下町、浅草辺の長屋にでも住めば良いものを、
下り者の物知らずだ。
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手打ち・・だが、青山の皿屋敷を思い出した。
酒乱の殿だから、よくある事・・
が、お上から、切腹か何か、お咎めが有ったと考えても良い。
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諸星・・だが、
火山という説を解くひとが居る。俺も賛成。
乞う御期待だ。
一つ、・・月のよう・・と言うと、どういう図を想像するのか。
月は、三日月、満月・・その辺りが見えない。
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帰りに今問題になって居る、火事場を見てきた。
ただ、通っただけだが。

=====d20131212古文.mem=============
女は、鏡にくかひ、久々にて、すき櫛を入れしゆへに
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心が、さっはりとし、そして、目なれぬ風故、ひとしお
心地よしと、歓び、さりながら、此お礼には、おまへの
髪をあげまいらせん、わらわが、江戸風の手際をも
見せたく候、又、おまへも、此風に結直したまへと、うしろへ
まわれば、女房は、鏡に向ひ、その江戸風こそ、このもし
けれ。よろしく、たのみ候。《と、たばこなどいたす、女は
梳くしを入ながら、たばこをのみ、四方山の咄のうへ
女房「このやしきの広く造りなせしに、かく荒果し
は、いかなる故にぞ。《と、尋れば、かの女、髪を梳きながら、
「されば、もとは、大家の住たまひ、家居、付きつきしく
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建つらね、表門には、乗馬、ひまなく、いと、賑ひしが
殿、酒乱にて、あまたの近臣を手討にし、その折、歌と
いへる女を、聊の罪にて、首を切たまひそが、そのむくろと
首を別 々 に、此、広野に埋しが、おりとして、陰火
燃出、いつとなく、人口に、かかり、終ひに、家亡び、今は
余の候の下屋敷となりぬ。《と、語りければ、女房
夫は、おそろしき事かな、はじめより知りなば、参
らぬに、何を申も、都より来りて、案内をしらず
そして、今も、其幽鬼は、出候か。《と、問へば、「それはおり
ふしは、見し人も有り、とかく、小雨の降し、おりは
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出へきも、知れず。《と、云ひながら、梳しまひ、根そろへを
して、夫より、櫛の歯もぬかず、亦、はれしもせず
髪を手に、しかと持立居れば、女房はたばこにても
呑やと、ふりかへり、見れば、女の首はなく、胴ばかり髪の
根をしかと押へたり、あっといふて、庭を見れば首は、はる
かなすへに、にこにこと笑ひいたり。そのまま、絶入し
ところへ、夫のかへり、口に水そそぎなどして、よび
いれ、やうやう正気になりしが、早早、家を引はらひ
外へ移りぬ、となり。
   怪談破れ帳 巻之二おわり
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巻之三
  諸星、深山に、見怪
甲州の地士に、諸星尺右衛門とて、大剛の勇夫あり。
天正の頃、諸国を武者修行なさんと、おもひ立、家宝
備前兼光の刀をさし、鉄をのべたる杖をついて、まず
五機内より、丹波路へかかり、西国四国をめぐり、夫より
北国東国を経るて、都合三ヶ年の間に日本六十六国、残ず
めぐり終り、扨、甲府へ帰りたりしが、或雨中のつれづれ、とも
どち、相、集まり、四方山のもの語りをす、座席に諸星もいたり
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しかば、面々、諸星にむかひ、貴殿、日本六十余ヶ国残らず
修行有しと、承る、実も、あっぱれなる次第也。扨又、修行の内
定めて上思議なる儀も有つらんと、問ふに、諸星、答へて
其あまねく、諸国を廻り候といへども、世の中に、さして奇
変も候はざりしかども、唯一ッ、ふしぎなるものを見たり,某
越前の川田山より、飛騨へ超へる山路にて、夕ぐれのころ
麓の谷より孤兎のたぐひ、何疋となく、逃出たりしが
脇の谷へ、ことごとく入たり。我、何さま、この谷に曲者あれと、好物
ながら、岩をつたひ、木の根へとりつき、半町あまり、下りける
に、はや、日はくれて、昼にはあれねども、小山のごとくなる
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大石、ぼくのごとくに地上より生出、四方には、草木、夥しく
有りしが、かの石の間より真黒に虹のごとくなるもの、空へ
上りしが、其中に月のごとくなるもの、次第次第に出たり、其光の
あたりを、輝かし白昼よりもなを、まして、落ちりし、木葉
岩の苔までも、あきらかに見ゆる故に、その変化も自か
見へたりかたちは、地のごとくにて、色くろく、かの月のごとく
幾つともなく、出しものは、右のものの、眼なるべし、半分,岩間
より出て、半分はかくれ、その末とおぼしき処を知らず、頂
上に口、有つて、炎のごとく、なるもの、吹出すに、その炎、はるか
虚空へもえ上りて、消うする、又、同じっく、吐出すに、初のごとく
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だんだん、かの????の光り、すさまじ、すぐに、我方へ
近寄きたる、そのおそろしき?ふるにものなし
某、?しく、かなふまじと、思ひしゆへ、そうそうに、かの
谷をよじ、登りてはるが、遠く逃さり、一、二町も行て、
加の方をかへり、見るに、空のあかるき事、暗夜に
篝をたくがごとし、某、行過るに、したがひ、だんだん
かのひとりも、うすらぎしか、いかなるものや、ふしぎ
なる事に思ひ、其夜、亥の刻過に一宿をもとめ
里の者に右のよしを、かたり、かのもの申すよう
その変化は見ず候得ども、なるほど、かの辺りに???
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毎夜一二度つつ狼煙のごとく光り、見え候と語り?
足誠に稀有なることのなりと、咄せしかば、一?
の諸人ここ語りえぬものかれと、いずれも、ふしんし
きるとなり、山みずか、陰蛇のとくひなるべし
深山、幽谷には得しれぬものも有とかや
 るすノかいぶつ
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