--no.15348--2014年10月10日(金曜、8時00分、--

9日の古文書、亀崎。
少し遅くなったが、間に合う。
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柿をもらうが少し硬い。まだ早い。
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さて、本題。
今秋、で、2月の紀行文。春まだきの頃、
だが、その辺りの季節感が良く出ていて吊文だと思う。
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秋はとく、立帰りきて、・・・の歌が有る。
半年間の旅は矢張り長い・・・だろう。
今、私程度のたびは2泊、か、3泊。
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あだちが原・・は、謡曲で聞いた事がある。
まだ、江戸時代前、当然、京からみれば、未開の土地。
江戸時代末の作者がでも、その・・安達が原は有吊。
その紀行だから、面白い。
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熊の子が出てくる。
俺は以前、高速道の無い頃の郡上辺りで、猿が檻に居たのを覚えている。
旅の偶然は印象は深い。
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=====d20141009古文書.mem===========
箱館日記

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  涙は、神も、うけずやあるらん
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夫より、徳二郎の、すく、野山のけしきをみるに
雪、村消て、松斗、寒げにたてり、
  霞まねど、野山の松に、ひとしほの、
  春のけしきは、あらわれにけり、
日暮なんとする頃、大沢に着く、十日、晴たり、
大沢を出て、行々、みるに、山より、外の物なし、
二荒山は、雲か雪か、わかぬまで、空高く、見ゆ
けふは、御山に着ぬべしと、聞に、いと、うれしく、何と
なく心もうきたちて、寒さも、うち忘れ
のり物、すだれ、巻上て、いそがせ行に、はやう
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お山のふもとに着ぬ。大谷川の流。山嵐にひびき
合て、耳、どよむ。ききわたる、あけの御橋、水のおもて
かがやきたる、たうとしなと、いわんも、中々也、かし。
のぼる程に、猶、雪ふかく、高根より、落つるみず
白布引はべなるごとく也、五丁斗も、のぼりて
正住坊といふに、着。庭、いと広う、御山の、きわなれば、
雲の立ゐも、ほどちかく、まことに、此よの、外の心ちす。
湯あみし、夕げの物して、あすなん、拝礼の供など
取あつめて、けふのつかれを忘れぬ。十一日、晴たり。
けふは空、殊に晴たり、晴わたりて、雪けのまし水
落添て、大谷川の、流の音、いと高うかに
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聞えければ、
  千代、よわふ、山の声かと、聞えけり
   大谷川の、浪の、しらべは、
夫より、乗本は、御宮に、のぼる。おのれも御山の
うち、おがめと、案内の者、いたしたれば、ここかしこ
残りなく、まうで、めぐりぬ。玉のいらか、こがねの戸
びらの御よそほひ、くわしう、書とどめんも、所、せ
ければ、もうしつ、正住坊に、帰りて、ひるの物して
今宵は、今市まで、行かんと、いふに、御山も、今をか
ぎりと、思ひて、心の中に、命、有てば、今一たびと
祈つつ、出たちぬ、夕つかた、今市に着。
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(パス)
十二日晴。 今市をいでて、ここより、よこみち
に入。かろうじて、衣川に、いでたり、あらき流にて、
河はら広し。茲を、わたるとて、
  きぬかわの早瀬をみれば、心さへ、ともに流て、行かとぞ思ふ、
やがて、とどろくといふに、いず。茲にも山川有。
  山の雪、とけておつとも、みえなくに、ほぞ谷川の、音ぞとどろく
よし原、玉にふ、なといふ所、松原多し、俄に、小雨ふり。
来て、休らふ陰も、なければ、いかに、しんと、思ふに
日には、いく度も、ふりきぬ、今なん、晴ぬべし、と人の
いへば、少し、心、おちぬて
 みの笠も、取程もなき、村雨に、ねれて色増、玉にふの松。
-------------p08a-----私-------------------
茲に、はふき川といふ有。
  幾瀬とも、限り知られぬほうき川、吊によくかなふ、所也けり
茲より、那須野の原に、かかる、行、ゆけど、人影もなし
ただ、荻、薄のかれふのみにして、さだかなる道もなき
所を、分、行くに、俄に、山より雲、立重りて、あられ
ふり、神なり、さわぐ、いかに成行、わがみならんと
いける心ちも、せず、面、つつみせんと、すれど、風、はげ
しくて、みな、吹やぶらる、稲妻のひかり、広野の
末迄も、みえて、昔、かまくらの右幕府の御狩の
時も是には、まさらじ、など、めにみる心地して、
只、仏神を念んじ 、奉る、其印にや
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程なく、晴て、夕日、影ほがらかに、みえ、わたれる
しばしの間に、夜の明たる、心地す。
 萩薄、かれふを分て、春風の、吹も、みにしむ、那須の、しの原
夕つがた、太田原につく、十三日、晴、太田原を
いでて、帰り、みすれば、雲のうちに、那須野の
岳みゆ、けふは、いと、のどかにて、野山を、やく煙り、
遠近に、みえわたりぬ
 野辺をやく、煙の末に、打、霞、なすの岳はかたわら《に《たつ、
夫より、阿といつる所に、いず、ここに、遊行柳といふ有り、
しがし休て、
  しばしとて、清水のもとに、立寄は、さしくむ物は坂也けり
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茲に、阿部の宗トオの籠りし山とて、岩のうへに
洞穴、いくつともなく、有、雲岩寺、殺生石、しかく石
などいふは、茲より、一里も、奥と聞が、ゆかず、ここは
下野、陸奥の堺にて、神の古社有、礼して
行、程なく、白川のすくに着、茲よりは銭も
丁銭の数になり、問屋と、いへる、もの、軒、数々と唱へ
すべて、人の物いひ、手ぶりも、かわれることども、おほし
かねて、江戸、千浪うしの、家にて、折ふしすべし
子なれば、冬頭ぬしのかり、とぶらわんとて、此家の
おきなに、聞つれば、此家のとなりとこなふ、小ラバ
行てあらん、案内をよ、と、いひたれば、としよに
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(ぱす)
茲にきて、?の着給ふを、待居ぬといふ、さらば
といへば、文冬ぬし、ききつけてきましぬ、まず
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また、あす、逢んとて、別れぬ、十四日、晴、冬豊ぬし
とくも、きたりて、「秋は一日二日、茲に休らわせ給へ、
諸共に、紅葉かり、せん《などいへば
  秋はとく、立帰りきて、君に又、あぶくま川ぞ、嬉しかるらん
さはいへ、里まで、み送らん《といふ、また別れの、おしまるるも
わびしければ、いひて、立いでぬ、夫より、あぶくま川を
わたる、いと、けしきよし、午うちさがる頃より、雨降
いでて、何となく、袖もぬれつれど、風、吹いでて、晴ぬ。
世の人のよく知たる、あんちん、とかいふ人の堂、又、清姫堂、
うらみの淵とかいふ、有。ここは、祢田と、いふ、所なるべし
小田川、茲に、石地蔵有、むかし、化て、仙台の人に
切られたり、とて、首、其儘、道ばたに有。
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誠なりや、しらず、夕つかた、須賀川につく。
十五日、晴。けふは、ねはんなれど、旅なれば、何ひとつ
供も侍へ奉らず、故里に、残したる子や、孫らや、
れのい御寺にまうずらん《など、はるかに思ひやる、
須賀川の先に、五百川といふ有、何故に、さは、いふぞ《と
かごかく、おのこに、とひたれば、「むかしは、都よりここまで
くるに、五百めの川なれば、かく、なん、いふ《と、したりかほに、
いふも、おかし、茲に、高倉の宮の社有、此山のうへに
おはか有、といふ、うけがたし、郡山、福原のすぐ
過て、松浦、佐夜姫社、じゃこつ堂、竜宮
より取たる、つり鐘有、年々、元日のあしたにのみ
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つくといふ、是より、安積郡なり、浅香山、まつ
いと多し、ここに吊物とて、餅かる、水むまや、有
しばし休みて、浅香山の音色を、みるに、雲間
はるかに、安達、太郎山、みゆ、其麓に、黒塚の
跡、あだちが原などありといへり
  今は、はや、鬼の住へき、跡もなし、あだちが原は、人の行き来す、
  いにしへを、たどうるるかな、浅香山、麓のぼべは、まよふともなし
此ひだりの方の、山の中に、山の井、浅香の沼あり、とぞ
是より坂を下りて、本宮、鋤田といふ所也、夕つかた
二本松に着、十六日晴、二本松、茲は丹羽のとのの
領したまふ所とて、城あり、いと賑わし、福島、茲に

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nasi
------------------12a,12b--,13a----------------
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も、城あり、賑はかし、又、茲より、信夫群也、さらゆき
の、はしをわたりて、
  さらやきの、橋のたもとに、立よりて、聞と音なふ、人なかりけり
茲を少し行と、水うまやあり、くまの子の、としはいくつと、
とひたれば、みつに、なりぬといふ、くだものとらせて給へ《と、
いふに、まな人々、おもしろがりて、さまざまのものとりて
あたふれば、いと、悦こばしげに、いひけり、かく、せばき、
こに、こめられて、くるしからん、と、おもへば、かなし
  旅人の、かくる情けに、生立め、哀れくまのこ、親なしにして、
夫より、十綱のわたしを、渡る、むかしは、綱手にて
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              完
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