2018・2


  付番制度もスタート? 預金をめぐる最新諸事情!

   預金口座とマイナンバーが紐づく!!
    付番制度の目的と効果は?
   要確認!相続贈与対策と預金口座

 

 マイナンバー制度が本格的に始まって2年になります。2018年1月からは、預金口座を紐付ける「預金付番制度」がスタート。納税者の情報の一元管理はとうとう預金口座にまで。



【マイナンバーの現状は】


導入から早くも2年経過!
 マイナンバー制度は「社会保障・税制度の効率性・透明性を高め、国民にとって利便性の高い・公正な社会の実現」を謳って2016年1月から導入されました。これにより、税や社会保障の各種手続きに、マイナンバーの申告や記載が求められるようになりました。








マイナンバーカードの普及は?
 マイナンバー制度は国民一人ひとりに12桁の個人番号を割り当て、顔写真付きでICチップ搭載のマイナンバーカードを希望者には交付しています。昨年12月時点で交付総数は1,300万枚で、交付率は10.2%で約10人に1人に。






「預貯金口座付番制度」とは?
 簡単に言えば、預貯金口座とマイナンバーを紐付けして管理する制度のことです。マイナンバー導入の大きな目的の一つである正確な所得把握を実現するには預金の把握は不可欠ということで、マイナンバー法が改正され、預金口座への付番が決定しました。

<付番制度、導入目的は2つ>
ペイオフ対策
  銀行が破綻した場合、一人あたり元本1,000万円と利息が保護される。
  その際、預金保険機構は預金者がその銀行に複数の口座を持っていないかを確認する。
  口座ごとに付番されていれば、名寄せし易い。
当局による調査の効率化
  税務調査では、銀行にマイナンバーを示して預金者情報を提供してもらうことで、納税者の所得や資産の把握が可能に。一方、生活保護申請者が隠し資産をもっていないかの照会も容易に。
   





名寄せが金融資産にも及ぶ!
 銀行口座への付番が始まると、預金資産が複数の銀行の複数の口座に分散されていても、税務当局が預金総額を把握し易くなります。税務署はこれまで、不動産については名寄せして所有者と所有物件を把握していましたが、これで金融資産の把握も可能になります。








財産はさらにガラス張りに!
 税金の申告書や各種の支払調書にもマイナンバーが付されており、税務当局はマイナンバーで個人の財産や収入の一元管理を目指しています。今後、預金口座までが管理されることで、個人財産は税務署に完全に筒抜けになると言っても過言ではありません。








証券口座はすでに2016年から!
 2016年1月のマイナンバー制導入時から、証券口座は新規開設時に、既存の口座は2018年末までの届け出が義務付けられています。これは証券会社は特定口座で税金計算、納付、支払調書の交付を行うため、制度開始から適用対象になっており、既存口座は猶予期間が3年設けられているためです。







任意であって義務ではない?
 預貯金の付番制度が開始しましたが、今回は金融機関側による預貯金口座と名義人のマイナンバーを紐付けの管理が開始するだけで、顧客側のマイナンバー提出が「義務化」されたわけではありません。

<金融機関からお知らせの例>
 「マイナンバー法の一部改正」に基づき、2018年1月1日より「預貯金口座付番制度」が開始されます。同制度に伴い、預金口座をお持ちのお客様へ「個人番号」のお届けをお願いすることが必要になりました。
 なお、お届けは当面「任意」となっており、現時点ではお届けいただけない場合でもお引取に影響はございませんので、念のため申し添えます」。







銀行のマイナンバー対応が変わる
 今回の制度開始は銀行に影響するものがほとんどで、顧客側への影響はほとんどなく、マイナンバー提供を拒むことは現状可能です。
 

<金融機関が求められる対応>
●プライバシーポリシー(個人情報取扱い指針)の策定
●ペイオフ時の資料提出
●マイナンバーで検索可能な状態で預金情報を管理





義務化は2021年から?
 預貯金口座の付番制度は2018年から開始ですが、証券口座と同様に考えると、2020年末までの3年間の猶予後、2021年からの義務化が予想されます。個人の金融資産の把握と一元管理への大きな流れは止まらないようです。










【付番対策とタンス預金】


 タンス預金が国家予算規模?
 タンス預金は年々増加傾向で、大手シンクタンクの調査によると家庭に眠るタンス預金は2017年2月末時点で43兆円と、ちょっとした国の国家予算並みの金額に膨らんでいるとか。

<タンス預金増加の理由は?>
●20年超も低金利が続き、預けても増えない。
●いざという時に自由に動かせるお金を手元に。
 (急に相続が発生した際、預金が引き出せない)
●マイナンバーなどで資産を捕捉されたくない。

 こうした背景から、銀行や郵便局から現金を引き出してタンス預金にしている人が増えているよです。タンス預金の存在を知らせないままご本人が亡くなった後、遺族が隠し場所ごと廃棄してしまうリスクも。ゴミ処理場などで「多額の現金発見」といったニュースはこうしたケースがあるようです。






 半分がタンス預金に眠る?
 ここ数年、1万円札の発行残高の伸びが千円札を上回っています。千円札でタンス預金をする人はいないので、この伸び率の差の積み上がりがタンス預金になっているようです。2017年9月末の1万円札の発行残高は約93兆円ですが、半分近くがタンス預金ということに。

<現金大国ATMコスト2兆円>
 我々日本人は現金好きと言われるが、ボストン・コンサルティング・グループの推計によると、日本の現金決済の比率は65%で先進国の平均(32%)の2倍以上。現金の取り扱いが多いためATM網が張り巡らされ、便利さゆえに現金決済が減らない。ATMの維持費は現金輸送も含めると年間2兆円と試算される。







 世界的に高額紙幣廃止論?
 海外ではマネーロンダリングに悪用されやすい高額紙幣を廃止する動きも。ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は、現金の増加が脱税などの地下経済の拡大を示していると警笛を鳴らし、日本に対しても1万円札の廃止を呼び掛けており、同議論は世界的に高まっています。

<高額紙幣廃止の各国事情>
E U 2016年、欧州中央銀行は18年末までに500ユーロ(約7万円)紙幣の発行停止を正式決定。同紙幣は実社会ではほとんと流通していないが、世界中でマネーロンダリングや犯罪に使用されていた。200ユーロ紙幣が最高額となったが、こちらも一部学者が廃止を提言している。
米 国 EUの500ユーロ紙幣廃止決定を受け、クリントン政権で財務長官を務めたローセンス・サマーズ氏が「100ドル紙幣の廃止」をワシントン・ポスト紙で提言して以来、論議が継続中。現在、米国で100ドル札は商店などで受け取り拒否に遭うことも。
インド 16年11月、モディ首相が前触れもなく突然500ルピー(約800円)紙幣と1,000ルピー紙幣の廃止を宣言し、社会が大混乱。1年が経過し、政府は脱税抑止と電子マネー普及につながったと発表したが、不正資金撲滅には効果なしとか。
中 国 もともと、最高額紙幣が100元(約1,600円)と低い。昨今の経済成長を受け、国内外から高額紙幣発行を求める声が多かったが、中国政府は高額紙幣がインフレを助長すると考えており、電子マネーも普及した昨今、新札発行の可能性はほぼなくなったようだ。








 日銀発行のデジタル通貨?
 元イングランド銀行金融対策委員のウィリアム・ブイター氏もロゴフ教授に賛同しつつ、「高額紙幣を廃止し、半ば強制的に銀行に預金させることで日銀による集中管理型デジタル通貨に移行すべき」と説いています。

<仮想通貨に対抗!デジタル通貨構想>
 驚異的な膨張を見せるビットコインなど仮想通貨への危機感もあり、世界の中央銀行が法的な裏付けを持つデジタル通貨の発行を検討している。日銀も金融政策の有効性を守るためにデジタル通貨を構想し、研究を進める意向を示している。黒田総裁は仮想通貨について「仮想資産に呼称を変えるべき」と発言して注目された。





 デジタル・キャッスレス化で?
 今、日本のみならず世界的な流れは何かと理由を付けて、①高額紙幣廃止、②デジタル化(キャッスレス化社会促進)、③国民資産把握の方向に。2016年7月には「キャッスレス化社会」を推進しているスウェーデンでは事前アナウンスの下、強制的に旧式スウェーデン・クローナ紙幣が使えなくなりました。








 タンス預金の1万円札束が!
 もし新円への切り替えが行われ、旧札は銀行でマイナンバーを提示の上、新札と交換することになれば、マイナンバーによる捕捉を逃れていたタンス預金や裏金があぶり出されることになるのでは?タンス預金なら資産把握を回避できるという認識は甘いかもしれません。












【相続・贈与にみる預金事情】


 相続で直面する預金凍結!
 親御さんが亡くなった途端、預金口座からお金を引き出せなくなって困ったという話をよく聞きます。これは死去を知った銀行が直ちに口座を預金の出し入れができない状態にしてしまうためです。相続発生時の預金の取り扱いについては、これまで実務上、法律と違う認識がされていたことや、最近になり最高裁判決が出たこともあり要注意です。








これまでの論点と判例では?
 「預金は遺産分割の対象になるのか、ならないのか」が大きな問題でした。

<昭和29年最高裁判決>
 相続財産中の「可分債権」は法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する。 (平成16年判決も同様趣旨)

 預金は「可分債権」なので、遺産分割対象外で分割協議がなくても相続分は銀行から引き出すことができるということです。しかし、通常は銀行で預金凍結されるという現実があります。






 責任回避のための凍結だった!
 実際には、相続人全員の承諾書や遺産分割協議書がない限り引き出しに応じないのは、後で遺産分割で紛争になって責任を問われることを回避するためだったようです。







最新の判決で分割対象に!
 最高裁はこれまでの判決を見直し、「遺産分割対象になる」と方向転換(2016年12月19日判決)。その後、定期預金、定期積金も含め預貯金全てが遺産分割対象とされました。



<最高裁判決は実態に合わせただけ>
 見直しの理由は、特定の相続人に多額の生前贈与があった場合、預貯金が自動的に相続分で引き継がれると不公平なため。実際の分割協議や家裁の調停では預貯金を含めて配分を決めるケースが多く、こうした実態に沿う形に見直されたようだ。



 遺言や生命保険金があれば・・・
 相続人全員の合意のもと、円満に預金を引き出せることが一番ですが、難しいことが予想される場合は事前対策が必要です。
 ①遺言 : 他の相続人の同意なしでも引き出せる
 ②生命保険 : すぐ請求できる受取人固有の権利




 マイナンバーで名義預金が!
 名義預金とは、親や祖父母が勝手に子どもや孫名義で預金をしている口座のこと。2013年から14年で発覚した申告漏れは現金・預金等が4割近くを占めていますが、その多くが名義預金と考えられます。マイナンバー導入後は子や孫のマイナンバーを入力するだけで瞬時に口座を洗い出すことができるように。






 贈与したつもりが名義預金?
 相続対策として子や孫に毎年生前贈与をして相続税財産を減らしているケースでも、名義預金とみなされて、相続税の対象となってしまうことがあるのでご用心!

<失敗しない生前贈与のために>
 名義預金と判断されないためには、贈与の事実を形に残すことが必要です。
贈与契約書の作成
 贈与の際には書面にて証拠を残しておく。
銀行振込で通帳に記帳
 現金贈与でなく、通帳に「いつ・誰から・誰にいくら」贈与があったかの証拠残す。
口座の管理は子に
 子の印鑑を用意し、通帳も親が管理しない。
贈与税の申告と納税
 贈与税の非課税枠110万円を超える贈与をして申告し納税しておく。
毎年同時期の同額贈与にしない
 連年贈与として、合計額の一括贈与とみなされるリスクがあるため。











     




       
自宅の8割評価減―“家なき子”に大きな改正が!
生活の土台に配慮
 小規模宅地の評価減は、亡くなった方の自宅や店舗用、貸付用の土地を最大8割評価減できる特例。自宅や個人事業など、相続人の生活の基盤となる不動産に過大な相続税をかけないための制度です。
 どの土地を誰が相続するとどれだけ評価減がとれるかは、相続人の状況で大きく変わるので、早めにシミュレーションし、対策を打っておきたいところです。

宅地区分 内  容 適用面積 減額割合
居 住 用 被相続人の自宅敷地 330㎡ ▲80%
個人事業用 個人商店、個人工場などの敷地 400㎡
同族会社事業用 同族会社の事業用敷地 400㎡
不動産貸付用 アパート、駐車場など賃貸中の不動産 200㎡ ▲50%


もめてしまうと評価減できない!
 特例を使うには、申告期限までに遺産分割協議を確定し、相続税申告することが条件!相続争いになると、評価減前の財産で相続税を負担することになります。将来評価減をとるつもりなら、取り扱いにはご注意を!
老人ホーム入居後の対応に注意!
 要介護認定を受け老人施設等に入居した場合、空き家となった自宅を事業用や貸付用にすると評価減がとれなくなります。将来評価減をとるつもりなら、取り扱いにはご注意を!
自宅より都心の賃貸マンションが有利!?
 複数の土地がある場合、どの土地で評価減をとるかがポイント!80%評価減の方がメリットが大きいと思いがちですが、地方都市の自宅敷地で▲80%評価減をとるより、都市の賃貸マンションで▲50%評価減をとる方が有利なこともあるのでお忘れなく!



”家なき子”の改正ポイントはここだ!
 自宅の評価減を使える相続人は下記のとおり。
 配偶者 : 同居でも別居中でも使えます。
 同居の子 : 申告期限なで居住し所有すればOK(ただし2世帯住宅は下記参照)
 別居の子 : ①被相続人に配偶者がいない、②被相続人が他の親族と同居していない
          ③家なき子の3条件に該当すればOK
 自宅所有者が、わざわざ家なき子になるため、自宅売却といった節税対策を打つことがありますが、テクニックを弄して自宅にそのまま住み続けるなど極端なケースについては、今回の改正で特例の対象外に!

家なき子とは?
 親の自宅以外に住んでいて、相続の3年以内に自分や配偶者等の所有する自宅に住んだことがない
家なき子とは認められなくなるケース
 相続時点で、過去に一度でも所有したことがある家に住んでいると評価減は使えません。
 ★自宅を同族会社へ売却し社宅として居住 → ×
 ★自宅を親族名義に変更して居住 → ×
 ★自宅は第3者へ売却し、賃貸マンションに居住 → 〇

※今年3月末時点で家なき子にあたる場合は、2020年3月末までの相続で小規模宅地の評価減が使える経過措置あり。




2世帯住宅は投機に注意!
 昔ながらの完全同居でなく、外階段でつながる別居タイプの2世帯住宅が増えていますが、建物を区分登記し、長男宅を長男名義にしているケースでは注意が必要です。これだと両親と長男は同居していることにならないので、土地の半分しか評価減できません。
 建物全体が父名義、または親子共有なら、父の自宅と認められるため土地全体を▲80%減できます。今からでも見直しておいては?


 
民法改正で“自宅の居住権”新設へ
 現在審議中の民法改正案では、配偶者の居住権が新設される見込みです。高齢の配偶者の住む場所と生活資金を安定的に確保するのがその目的。
 “居住権”という配偶者の権利を建物に登記し、その部分の相続税を負担する仕組みです。居住権の評価は、土地建物の所有権より低くなるため、配偶者はその分預金などを多く引き継ぐことができることとなります。
 居住権の期間は、「終身」のほか、「遺産分割が決定するまで」という短期バージョンも設けられるとか。
 また、婚姻期間20年以上の特例で生前贈与された家や遺言で配偶者に遺された家は、他の相続人の遺産分割の対象外となるようです。