2018・1



 5分でわかる2018年度税制改正大綱!


  わかりにく~い所得税改正!
   相続対策は封じ込め!?
    27年ぶりの新税登場!

 

 税制改正大綱は現時点では改正案ですが、2月下旬ごろに通常国会へ提出され、衆議院と参議院の各委員会で審議・採択後に3月末には確定と、内容が大幅に変更されることはありません。関係ありそうな項目を今すぐチェック!

≪2018年度税制改正大綱のポイント≫
暮らしは?】
〇所得税の基礎控除は増える人と減る人が
  38万円から48万円へ引き上げも、所得2,500万円超だとゼロ!
給与所得控除を一律10万円引下げ
公的年金控除を一律10万円引下げ
  基礎控除の引上げの代わりの措置
青色申告特別控除は10万円引下げ
  でも電子申告すれば10万円は上乗せ
国際観光旅客税が登場!
たばこ税は1箱60円増税へ
森林環境税は一律1,000円

消費税率10%引上げ (2019年10月) 
【企業は?】
賃上げ減税、増加額の25%の税額控除
  賃上率25%で給与支給増加額の25%の税額控除
設備投資時の固定資産税の軽減特例を強化
  3年間の税率軽減特例
大法人の電子申告義務化

【相続・事業承継は?】
10年限定の事業承継税制の特例登場
  親族外承継、業務悪化法人にも使いやすく
一般社団法人での相続税節税は不可能に
家なき子の相続税節税に制限
相続税申告書の添付書類は簡略化

 〇減税   ●増税   ◇中立


 働き方の多様化に対応
 所得税は今年もは働き方改革を背景にした改正で、その増税規模は900億円!
 フリーランスや子育て・介護しながらの在宅ワークなど、働き方の多様化に合わせ、個人事業主に配慮した形で見直されました。ただ、どの項目もただし書きだらけ! ただでさえわかりにくい所得税計算が、さらに複雑になります。
 これからは、自分の税金がいくらになるのか、試算するのも一苦労かも・・・。






基礎控除を増やして調整弁に
 
どんな人も控除できる基礎控除は、10万円増額の48万円になります。その代わり、給与所得と公的年金控除は10万円ずつ引下げに。

<特例その1> 高所得者は基礎控除がゼロ!?
 合計所得2,400万円超の高所得者については、段階的に基礎控除が減額され、2,500万円を超えるとゼロとなります。





一部サラリーマンは増税も
 給与所得控除は一律10万円減額に。上限も現行220万円から195万円へ下がり、年収850万円超は一律195万円に。

給与年収 給与所得控除額(現行比) 基礎控除
300万円 98万円 ▲10万円 +10万円
500万円 144万円 ▲10万円 +10万円
700万円 180万円 ▲10万円 +10万円
850万円  195万円 ▲25万円  +10万円
(増税)
 
1,000万円 195万円 ▲25万円 +10万円
(増税)
 
3,000万円
(所得2,500万円超)
195万円 ▲25万円 0万円
(増税)
 

<特例その2> 子育て世帯等には負担軽減特例
 22歳以下の扶養親族や特別障碍者控除の対象者がいる場合、年収850万円を超えても給与所得控除(最高)210万円がとれる特例が設けられます。 



公的年金控除減で負担増も
 公的年金控除額も一律10万円引下げに。新たに上限も設定され、年金収入1,000万円超で195.5万円控除となります。ちなみに年金収入だけで1,000万円という方は全国で3,000人とか・・・。

<特例その3> 高所得者には増税特例が!
 事業所得や不動産所得など公的年金以外の所得が1,000万円を超えると、公的年金控除額は▲10万円、2,000万円を超えると▲20万円と増税に。





青色申告者は電子申告を!
 事業・不動産所得の65万円の青色申告特別控除も10万円引下げに。ただし10万円の青色申告特別控除適用者や白色申告者には改正がなく、基礎控除増加分だけ減税になります。

<特例その4> 電子申告すれば65万円控除OK!
 電子申告すれば従来通り65万円控除がとれます。書類提出の方は電子申告への切り替えを!

【所得税増税になるのはこんな人
 年収850万円超のサラリーマン(子育て世帯等を除く)
 公的年金が1,000万円を超える人
 公的年金あり年金以外所得が1,000万円超の人
 所得が2,400万円を超える人





法人には賃上げメリットを継続!
 法人向けの賃上げ税制は2018年4月1日以降見直しになります。要件を満たせば、最大で増加した賃金の25%を税額控除(上限:法人税額の20%)できます。

平均給与等増加率 税額控除率
前年比1.5%以上 給与支給増加額 × 15% 
前年比2.5%以上 次のいずれかなら 25%
①教育訓練費が前期比10%以上増加
②経営力向上計画の認定を受ける







【IT化をさらに推進】 


 電子申告しないと“無申告”!
 
日本の電子申告制度(e-tax)の普及率は75%、ただし、大法人では2社で1社の利用にとどまります。個人向けは前述の青色申告特別控除の特例が設けられましたが、法人には強制力のある項目があがっています。2020年4月以降開始事業年度については、資本金1億円超の大企業は、法人税、消費税申告書等の電子申告が義務づけられます。
 サイバー攻撃や災害等で電子申告できない場合は、税務署長の承認を受けて書面提出することができますが、理由なしに電子申告しなければ無申告とみなされることに。






年末調整書類の一部も電子化へ
 2020年10月以降、生命保険料、地震保険料、住宅ローン控除の証明書は会社へ電子的に提出できるようになります。紛失した証明書類の再発行待ちで、会社の年調業務がストップすることも少なくありません。業務効率があがるのは大歓迎では?

<一歩先行く“紙なし年調”ソフトも登場>
 巷では、スマホで質問に答えていくと年調データが登録されるシステムや、保険料控除証明書等の写真を送ると、代わりに年末調整データを登録してくれるサービスも登場!

           








【相続&事業承継、注目の改正】 


 家なき子節税にSTOP!
 一人暮らしの親の自宅を、持ち家がない子が相続すると、330㎡まで土地評価を8割減できる仕組みに制限が入ることになります。“自宅に住んだまま名義を子や同族会社に移しておく”といった対策は、自宅を持っているのと変わらないと問題視されていました。
 2020年4月以降の相続では、次のケースでは特例が使えなくなります。

★相続開始前3年以内に、3親等親族や同族会社の保有する家屋に住んでいたことがある。
★相続開始時の自宅を、過去所有していたことがある。







 一般社団法人節税にもメス
 実は今回注目の改正点のひとつ!
 「資産家が一般社団法人を設立し、保有資産を一般社団法人に移すと、相続税が永久にかからない!」と話題に。ところが一般社団法人の実質支配権は同族関係者に残るため、この仕組みには疑問の声があがっていました。改正後は、理事の半数超が同族関係者の場合、同族理事が亡くなると、“法人の純資産を同族役員数で割った財産が法人へ遺贈された”とみなし、一般社団法人が相続税を納税することとなります。
 純資産1億円で理事5人なら、2,000万円に対する相続税を2割加算で納付ということに!






 申告書に戸籍謄本の束は不要に!
 相続税申告書に添付する戸籍謄本は、原本でなくコピーOKに! 税務署提出や不動産登記のために戸籍謄本を何通もとるのは、実際相続人の大きな負担でした。登記所交付の“法定相続情報一覧図”も添付書類として使えるようになります。手数料無料なので、費用も大幅にカットできそうです。

<法定相続情報一覧図の手続き>
①相続人等が法定相続情報一覧図の原案と除籍謄本を登記所へ提出
②登記官が確認し、認証(戸籍謄本は返却)
③登記所へ交付申請(手数料ゼロ)



 事業承継は10年間がチャンス!?
 高齢化が進む中小企業の事業承継は、待ったなし!
 10年限定の新制度が登場します!
 あらかじめ都道府県あてに、“会社の後継者”や“経営見通し”について特例承継計画を提出すれば、贈与税や相続税負担ゼロで事業承継ができることに。

取得株式全部の相続税が猶予!
 上限2/3という制限がなくなり、相続したすべての㈱の相続税が納税猶予の対象に。
“相続時の従業員数8割維持”が実質撤廃へ
 中小企業には非現実的!と批判の声も多かった項目。新制度では業績悪化で人数が減っても、理由書の提出で納税猶予は維持できます。
両親からの贈与もOK
 先代経営者の父からの贈与だけでなく、母から後継者への贈与も納税猶予の対象に。


<新税も登場!薄く広く税収確保>
国際観光旅客税 2019年1月7日から出国の都度1,000円課税。
入国後24時間以内のトランジット、2歳未満は対象外
たばこ税 2018年10月から1箱60円増税
(値上げは3回に分けて実施)
森林環境税 2024年から個人住民税に1,000円上乗せ












         

 相続税の課税割合は全国平均8%!さて我が家は?
東京国税局の課税割合は12.8%
 2016年中に亡くなった方約131万人のうち、相続税の課税対象となったのは約10万6,000人でした。相続税の課税割合(申告書提出で納税額あり)は全国平均で8.0%から8.1%に上がっています。
 課税割合は相続税増税で昨年から一気に上昇しましたが、今年も引き続き高い水準です。地区ごとの国税局で比較すると高い順に東京12.8%、名古屋11.0%、大阪8.4%となっています。札幌(▲0.1%)と金沢(±0%)を除き、全国的に課税割合は上昇しています。


10件中8件で申告漏れ!
 2016年度の相続税の税務調査は、1万2,116件(前年1万1,935件)実施され、その82%で申告漏れ等が発見されました。申告漏れは全体で3,295億円で、内訳としては現金預貯金1,070億円が最も多く、有価証券535億円、土地383億円の順となっています。



贈与税調査のターゲットは無申告者
 贈与税の税務調査の8割は無申告者を対象に行われます。昨年は3,722件行われ、うち92%で申告漏れが発見されました。1件当たり申告漏れ金額が5,153万円で、うっかりではすまない金額です。
 2016年度は、申告漏れ規模が前年の10倍規模に拡大し、申告漏れ額1,918億円(前年195億円)に対し、453億円(前年49億円)が追徴されています。
 贈与税は、保険金の受取りやマイホームの名義等で“いつの間にか贈与”となるケースもあるため、基礎知識は頭に入れておきたいものです。



海外資産関連事案は重点チェック!?
 海外資産関連事案とは?
 ★相続財産の中に海外資産がある
 ★相続人や被相続人が海外に住んでいる
 ★海外資産に関する資料情報がある
 ★外資系金融機関との取引あり

 海外資産関連事案は、917件の調査が実施されました。うち117件で52億円相当の海外資産の申告漏れが見つかっています。規模こそ小さいものの、海外資産へは国税庁もかなり注力しています。


国外財産はもう隠せない!?
重点管理富裕層プロジェクトチーム
 2017年夏から全国税局に設置された、国税庁が力を入れている組織。保有資産が大きい人や、海外移住や国外財産利用の節税などをしている富裕層などが対象です。
国外財産調書
 年末時点で5,000万円超の国外財産所有者は、国外財産調書の提出義務があります。2016年の提出者数は全国で9,102人、金額で3兆3,015億円でした。調書未提出や未記載財産の相続税申告漏れが見つかれば、過少申告加算税が5%も上乗せされます。
国外送金等調書
 100万円以上の国外送金、国外からの入金については、金融機関から税務署へ報告されています。
海外との情報交換制度
 海外の税務当局がその国で日本人あてに支払われた「利子、配当、不動産賃借料、給与、株の譲渡データ」について国税庁へ提供する仕組みで2016事務年度は20万5,000件。もちろん人物指定での情報要請も行われます。