●変わらない「吊り掛け車」たち

 私は30年以上、名鉄ファンをやっておりますが、私の子供時代から変わらない釣り掛け車も数こそ少ないもののいくつか残っています。
 1500V線区では3400系だけとなりました。逆に600V線区には近代化の遅れもあってかモ510、モ750、モ570、モ590、モ600の5形式が健在です。趣味的見地からすれば喜ばしいことですが沿線住民の利用者にとっては喜んでもいられないでしょう。最近になってモ590の冷房化が始まったことは今後しばらくは活躍してくれるということですね。

 このモ590は美濃町線の専用軌道区間では軽快に走ってくれますので、乗っていて心地よい車両です。軌道条件が悪く台車もコイルバネとあって乗り心地はよくはありませんが、モ600よりは足が速く感じるものです。
 3400系やモ510は「イベントトレイン」としての役目もありますので当分は現役で頑張ってくれそうですが真夏のモ510はつらいですね。
 最近、新聞報道にもありましたが廃止対象路線の谷汲線・揖斐線(本揖斐〜黒野)の廃止が現実となればモ750もお役ご免となるでしょう。小・中学校時代に乗った頃(1970年代)は手動ドアでしたので、自分でドアを開けるのが楽しみでした。当時はワンマン運転ではなく大半が2連で運用されていてク2320、ク2150、ク2180といった制御車が相棒として連結されていました。
 モ570はあまり乗る機会はありませんでしたが白熱灯の室内灯が印象的です。個人的にはこの車両が最もスカーレットの似合わない車両ではないかと思っています。
 モ510は「PRM貸切オフ」でお世話になった車両ですが、昔はモ520というニセスチール車と組んで走っていて市内線区間は続行運転という時代もありました。
 モ600は新製時から扇風機がついていたのが名鉄車両としては珍しく、そういった印象ばかりが強かったです。現在でも唯一の扇風機付き車両です。今年は美濃町線にも
新造車両が投入されるようで1両を残して退役の予定です。
 3400系は4連時代しか乗っておりませんので、最近の様子はわかりませんが、鋳鉄製肘掛けの転換クロスシートと真鍮製の網棚(昔はミストグリーンに塗装されていた)で乗務員扉の斜め上には特急用のサボ受けがありました。扇風機は1979年頃より取り付けられました。中間車のサ2450は戦後製の最終増備車で台車も当時の新製台車(FS13)でしたから乗り心地は良かった印象があります。当時での水準にすぎませんが・・・
 今回は6650(6750)系や3300系、モ870といった釣り掛け車両には触れませんでした。モ870は転入車両ですし、6650(6750)系や3300系は私にとってはごく最近の車両なのです。

(文・写真:ND502氏)

 

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