泌尿器科情報局 N Pro

Watt Factorとノモグラム

Watt Factorの解釈

Watt Factor(WF)が消費できるエネルギーで表した、膀胱が収縮する性能の指標であることを理解できたでしょうか。とはいえ、WFの計算には膀胱容量(V)を3分の2乗する必要があり、そのまま活用するには不便です。もう少し活用しやすい方法がないかを考えてみます。たとえばQmaxの時点のVなど、Vが一定であると仮定すると、WFの式は定数kを用いて次の様にできます。

WFが一定と言うことは、 が一定値ということです。
PdetkQが一定値となるグラフを横軸P、縦軸Qにプロットすると、反比例曲線となります。

WFが一定となるグラフは、左へa、下へb/2πk移動させたものなので、実際のグラフは反比例曲線の一部が切り取られた、右下下がりの曲線が残ります。

縮尺を変えると下のような状態になります。

WFの大きさを変えて、複数WF一定値のグラフを書くと、右下下がりの曲線が何本か引けます。これを直線で近似すると、Schäferノモグラムの、収縮力の判定ラインになります。

UDSを行ってQmaxとPdetQmaxがわかれば、Schäferノモグラムを用いれば大体のWFを知ることができます。なおその近似直線のQ=0の切片は、尿道が閉鎖しているときの膀胱の収縮圧であり、その膀胱容量でだせる膀胱の最大の収縮圧です。その値をBCI(bladder contractility index)と言い、以下の式で求められます。

膀胱は全力で収縮させようとしている限りはいつも同じWFまでしかエネルギーは消費できません。実際にQmaxがどうなるかは、尿道の閉塞度によって決まります。