食料・農業・農村問題を一緒に考えましょう
日本共産党の農業再生政策
日本共産党の農業再生政策 2011.10.8
コメは日本国民の主食です。たまにはパンや麺類も食べます。アメリカなどは、肉が主食ということ。ポーランドではジャガイモが主食。コメは大量の水が必要ですが、日本は世界屈指の多雨地帯ですから、コメを栽培するのに適しています。日本の農家 は経営規模が小さいことで、採算性が悪いとよく言われます。日本の地理的条件からすれば、大規模化は限界があります。山間地や住宅地に囲まれたところでは、大型機械を使った耕作がやりにくいことを考えれば、大規模化ばかりをコメ農業の改革というのは地理的特殊性をみない無責任な発言です。
日本共産党は、農業者すべてを応援する農業再生政策を掲げています。選挙で農家の票が欲しいための民主党の政策とは違います。生産費を償う生産者価格を保障することが原則です。
大規模化するには、機械などに巨額の費用を投入しなければなりませんし、その減価償却分をペイするだけの収入がなければなりません。ところが、米価はどんどん下がるばかりで、収入減で機械代の借金が返せなくなります。家族経営でやれる面積はせいぜい10ヘクタールですから、それ以上の規模拡大は従業員を雇った法人経営でなければできないことになります。
日本共産党は家族経営で成り立つ価格の保証が大前提の農産物価格補償を掲げています。TPP(環太平洋経済連携協定)の外国農産物輸入自由化では、価格の暴落でほとんどの農家が農業を続けられなくなり、日本の食料自給率は12%にまで落ち込むと想定されています。食糧主権を主張してコメなどの関税を下げないことが何より大事です。
1.世界の穀物事情
オーストラリアの小麦やコメの不作、バイオ燃料との原料の競合などによって、穀物や飼料などの価格が高騰しています。長期的にも食糧不足が懸念されています。ところが農産物輸出国に圧倒的に有利なWTO( 世界貿易機関)体制のもとで、日本の農業は生産額が2割も減り、輸入の拡大によって自給率が6%も下がり40%になるなど、縮小を続けています。世界の主要国の穀物生産量と自給率は次のとおりです。
国名
人口
穀物生産量
穀物自給率
中国
13.1億人
3.2億トン
99.8%
インド
11.0億
1.8億トン
97.3%
アメリカ
2.9億
3.4億トン
131.8%
インドネシア
2.2億人
0.4億トン
88.3%
ブラジル
1.8億
0.6億トン
91.4%
ロシア
1.4億人
0.6億トン
99.3%
日本
1.2億人
0.06億トン
21.4%
メキシコ
1.0億人
0.3億トン
63.8%
ドイツ
0.8億人
0.4億トン
101.6%
フランス
0.6億人
0.5億トン
173.7%
イギリス
0.6億人
0.2億トン
99.7%
オーストラリア
0.2億人
0.4億トン
333.7%
日本の食料自給率は40%ですが、コメ、麦、とうもろこし、大豆など飼料を含めた穀物自給率は21.4%しかありません。
2.日本農業の現状
日本の財界が求め、小泉内閣が進めたFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)の交渉では、財界に都合のよい貿易や投資の「自由化」の見返りに、農産物の輸入をいっそう拡大し、日本の農産物価格を引き下げています。「ミニマムアクセス米」として外国産米を毎年77万トン輸入し、それを備蓄して数年したら古米として放出して生産者価格を引き下げている。平年並みや豊作では価格が暴落することになる。
新たな「食料・農業・農村基本計画」では、わずかに残された価格支持制度を全廃した上、大多数の農家を支援の対象から切り捨て、300万近い農家を40万程度の大規模農家・法人に絞り込もうとしています。小規模農家が参加する「集落営農」も支援の対象にするとしていますが、政府の要件を満たすのは、わずか15%です。H19年から始まった「品目横断的経営安定対策」は認定農家の経営を安定化するためのものとして米価の変動への対策と生産調整(コメの減反)を進めるために、コメや小麦、大豆に対して、補助金を出す制度で、H15年まではすべての農家対象であったものをH16年から認定農業者(4ヘクタール以上経営、北海道は10ヘクタール以上)に限定して補助金を出すことにしました。
その結果、コメの生産量では6割以上を占めている多くの小規模農家が「コメ政策」の対象外になり、生産計画からはずされ米価暴落を招いています。米価暴落は、大規模稲作経営をも立ち行かなくさせています。
コメ農家はワーキングプア
1995年
2006年
生産者米価(60キロ)
20,204円
14,825円
家族労働報酬(1時間)
1,000円
256円
農家の減少・高齢化止まらず就農者の45%が70才以上
採算の取れない稲作農業に新規就農する人が減り、高齢化が進んでいる。
政府は企業的農業経営を促進するために株式会社の農地取得を認めています
「農用地利用集積」(耕作できない農家の農地を町が仲介して耕作できる農家に貸す制度)を進めている。
借地料10アール 1万2千円/年
3.日本共産党の政策
いま重要なのは、食料が国民の健康と安全を支える基盤であることを見据え、世界でも最低水準である日本の自給率を、計画的に引き上げていくために、輸入野放しと農業切捨ての政治を転換することです。
(1)価格・所得保障を実施します
「品目横断的経営安定対策」をやめ、やりたい人、続けたい人を規模の大小にかかわらず支援します。
価格保障を柱にして、条件不利地などへの直接支払いによる所得補償と組み合わせて実施します。
政府の100%拠出による不足払い制度を創設して、コメの品質の向上を図りながらコストに見合う生産者の目標価格(60キロ当たり平均1万8千円程度)に近づけます。
政府が豊作時に100万トンの備蓄米を農家から買い上げ、価格の暴落を防ぎます。
新規就農者に月15万円を3年間保障します。
(2)食料主権を守り、アジア諸国との多様な農業の共存と連携をめざす
農産物輸入の完全自由化に反対し、「食料主権」を保障する貿易ルールの確立をめざします。
国内農業の維持、食料の安定確保はどの国にとっても大事な権利です。WTO交渉で、日本のコメを自由化の対象からはずすなど農業協定を改定させ、食料主権を回復することを強く主張します。
どんどん下がる日本の食料自給率
日本の食料自給率は2004年度、40%に下がりました。人口1億2千万人のうち国内でまかなえるのは4800万人。あとの7400万人は外国の農産物に依拠しています。飼料も含めた穀物自給率については27%でもっと深刻です。国の独立が脅かされている状態ですが、政府はさほど重大視していない様子です。アメリカにすがっていれば何とかなると、能天気を決め込んでいるようです。
自給率が下がる原因
1.農業を基幹産業として保護していないこと。 2.アメリカなど農産物輸出国の圧力に従って、農産物の市場開放を進めている。 3.財界の指図に従って、農業保護予算をどんどん削減している。
食料は日本の大地で生産することが基本
世界的に砂漠化が進む中で、高温多湿の日本は農業生産に適しています。食料自給率 向上めざすことは食料供給の安全保障からも当然です。
国内では農薬の規制が厳しくなっていますが、外国農産物はあいまいで、危険が大きくなります。日本に輸出するために同じものを作りつづけている外国の農地は生産力が低下しています。
貿易では植物検疫(植検)で毒薬を使用する
農産物の輸入では害虫が国内に入るのをくい止めるために、港で強力な消毒剤を降りかける植物検疫を行います。残留農薬以上に心配なところです。
遺伝子組み替え食品は発ガン性が 種子の遺伝子を組替えることで害虫や細菌に強い種子を作り出すことができましたが、栽培された食料には発ガン性が指摘されています。せっかく農薬の使用を抑えても、食料自体に発ガン性があっては心配です。
単一栽培よりも複合栽培のほうが安心 単一の農産物を大量生産したほうがコストが安くてよいようにいいますが、いろいろな作物が共生していた方が作物自体も丈夫になりますし、豊作・不作での乱高下を緩和できます。
家族経営を基本とする
小泉内閣は農業に株式会社の参入を認めました。「小規模経営は非効率、大規模経営を育成して、土地の有効利用を図る」と言っていますが、それはまちがいです。市場経済万能主義では農業は成り立ちません。農地が他に転用されるのを防ぐことができなくなります。有機農業や無農薬栽培のように消費者の立場にたった農業がなりたたなくなります。企業活動は利益優先ですから、手間のかかることは避けます。株式会社農場は資本力に物を言わせて、市場を支配して農産物価格を操作するようになります。経営破たんすれば、それを受け継ぐ農家は簡単には現れず、農地が荒廃するか、他に転用されることになります。
農業委員会は行政委員会であり、政府の農業政策を推進する役割があると同時に農家の声をくみ上げて農政に反映させる役割があります。農業委員は公職選挙法に基づいて選ばれますが、東浦町では ずっと無投票です。
農地の権利移動や転用を審査して、許可・認可する。(毎月1回定例会)農家を装って開発会社が農地の転用をすることがあります。これを厳しくチェックして農地の保全を図ります。
農地法に基づいて農地の移動について許可・認可します。
あなたの要求
規制される場合
農地を買いたい
農業を一定規模で経営する人に限定
農地を宅地にしたい
優良農地は原則、許可しない
農地を買って宅地にしたい
市街化調整区域内は難しい
農業への新規参入を歓迎します
どうすれば新規参入できるか
愛知県では40アール以上の農業経営を行うことが農地取得の基準になっています。農家でない人がいきなり農地を買うことは農業委員会は許可しませんが、農地を借りて耕作をして実績を積めば、経営拡大のために農地を買うことができます。本当に農業をやる気があれば、新規参入は歓迎されます。中には、農地を転売して稼ごうとする人があるので、厳しい制限を設けているのです。
ご相談は平林良一(0562−83−4379)か産業課農業委員会事務局( 0562−83−3111)まで
農業者年金への加入促進 後継者が減って、保険加入者は激減。逆に高齢化で受給者が多く、農業者年金財政はピンチ。政府は今後、公的資金3兆円を投入するとしておりますが、財界の圧力で削られる可能性大です。
農地などの権利関係の仲裁をする。小作料の標準額を決める。 10アール当たり13,000円(年額)ほどの小作料は高すぎるといわれています。働き手のいない地主の代わりに農地を耕して、保全しているのだからタダでもいいという意見があります。昔から、有償で貸していた農地を返してもらおうとする場合、相手の生活を保障する金品を払う慣習があるが、そのことでもめるケースが多い。
農業共済の損害評価を実施する。 米の場合、田んぼ10アール当たりの収量約480kgの3割減、336kgを下回った量だけ被害の補償が受けられるということで、めったに適用されないことに不満の声があります。
農業基本計画などを策定して農業の振興を図る。(担い手農家に作業を集約する指導が進んでいる)一家族1千万円の粗収入の経営を誘導するというものですが、兼業農業が成り立つこの地域では専業農業を育てるのは難しい面があります。
農地面積の単位
メートル法
100u
1000u
10000u
100万u=1平方キロ
アール
1a (アール)
10a
100a=1ha ヘクタール
100ha=1平方`
尺貫法
30坪
300坪=1反
3000坪=10反=1町
100町
典型的な都市近郊農業 後継者は他の職業についているため農業は高齢者が担っている。農家の高齢者は元気がいい。80歳過ぎても農業やっています。東浦町は町外から通ってくる「入り作」が多い。東海市や大府市などで農地が公共事業で買収されて東浦町の農地を買いかえるケースが多いため。
|
面積平方` |
経営面積 ha(属人) |
農家数 |
専業農家数 |
生産物 |
森岡 |
4.42 |
88.92 |
113 |
22 |
ぶどう |
緒川 |
8.88 |
164.06 |
194 |
35 |
ぶどう、花卉、肉牛 養豚 |
緒川新田 |
3.92 |
75.08 |
61 |
14 |
乳牛、ふき |
石浜 |
6.55 |
143.11 |
146 |
15 |
ぶどう、花卉、乳牛 |
生路 |
2.89 |
134.06 |
123 |
20 |
ぶどう |
藤江 |
4.42 |
91.91 |
121 |
12 |
いちご、うなぎ |
合計 |
31.08 |
694.14 |
758 |
118 |
|
2000年4月1日 JA知多、JA東知多、JA西知多が合併して知多半島全体をエリアとするJAあいち知多になりました。愛知県下でトップの巨大農協で、その規模は組合員数47,319人、貯金残高6,331億円、共済保有高2兆3,846億円、職員数1,040人。中部新空港やアクセス道路建設などで大型開発が進む知多半島で農協が受け皿になろうとしていることは明らかです。
問題点 ☆農業振興に寄与するための農協でなくなる恐れ ☆職員のリストラ、人減らしが必ず行われる ☆協同組合の原則である民主的な運営がおろそかになり、株式会社的経営に変質する恐れ ☆支店の統合により高齢者などの利用が不便に☆金融業に偏重して、職員はノルマの達成に血眼になる。
農協は組合員サービスを名目に金融、共済事業はもとより旅行業、葬祭業、財産管理業、結婚仲介業、住宅開発業など何でもやるようになっています。本来の農産物の売りさばき、農業資材の販売は比率が下がってきています。
自民党支持を決めている農協は矛盾を深めている
農協幹部が何党を支持するかは自由だが、農協組織を自民党の支持基盤にしようとするのは民主主義が組織原則の農協の自殺行為です。幹部が政府とのパイプが太ければ自分たちの言い分が通りやすいと考えるのはまったく短絡的です。幹部の役割は組合員の声に忠実でなければならないのに、逆に自民党から農業つぶしの市場開放路線を押し付けられ、農家をそれに従わせる役割を果たすようになっています。自民党は、日本の農業を縮小して日本の市場を外国農産物に明渡そうとしています。300万戸の農家のうち1割だけ残してあとは自然淘汰されるにまかせようとしています。自民党にとっては政治献金をコンスタントにくれる、財界のほうがずっと大切なのです。日本の工業製品の輸出に支障となる貿易摩擦を減らすためには日本の農業を減らすしかない、と決めたのです。ところが皮肉なことに、この深刻な不況は、貿易障壁を取り払ったことの反動がきているのです。国内の農産物は高すぎるといって外国農産物の輸入自由化を進めたと同じように、日本の労働賃金は高すぎるといって、賃金を抑制し、挙句は海外の労働力を求めて企業が出て行った後の産業空洞化が不況を招いたのです。国境がある限りは、自国の産業を守り、国民生活を守るために貿易に一定の規制をするのは当然です。自民党ではこの事態を打開することはできません。日本共産党こそ、自民党にとって変わることのできる、新しい政権をになう実力を持った政党です。
米が過剰だとか、生産性が低くてコストが高いといわれますが、果たしてそうでしょうか?
政府はミニマムアクセス(輸入最低限)米80万トンも輸入して米の自給率まで下げています。小麦の自給率、大豆の自給率、とうもろこしの自給率、飼料作物の自給率は10%以下です。
機械代、肥料・農薬代が高い上に施設の利用料が高く、ほとんど採算割れすれすれで生産しています。
米の価格が高すぎると言われますが、消費者が言い出したものではありません。アメリカの穀物商社と日本の総合商社が国際価格と比べて高いと言っているだけで、4人家族1ヶ月5000円ほどの米代が高すぎるという実感はないとおもいます。子供の塾代や携帯電話使用料が1万円前後であることからすれば、むしろ安く、生産者価格はさらに安すぎる状態です。
日本は国土3700万ヘクタールの17%、600万ヘクタールしか平地がありません。そのうちで、農地になっている面積は8割の500万ヘクタール、政府の減反目標は100万ヘクタール、全国の水田面積300万ヘクタールの3割になります。
これまでは米の減反面積で補助してきましたが、今後は大豆、小麦の転作面積に対して補助する、となってきました。
★米の輸入自由化は止め、備蓄米300万トンを政府の責任で確保する。
市場原理万能主義や自由貿易主義が農業分野にも横行していますが、農業と商工業の本質的な違いを理解しないものです。農業は自然と共存して生産する産業ですが、商工業は自然を壊して生産するのがほとんどです。商工業のような大量生産、大量販売は農業には問題があります。農業を保護することが税金の無駄づかいのようにいう人たちは、銀行に何十兆円も公的資金をつぎ込むことをどう思っているのでしょう。金融は生産活動の血液だといいますが、食糧生産があってこそ国民の生産活動を支えることができるはずです。農林水産業こそ国の基幹産業として手厚い保護が必要です。
★食料の自給率を当面60%をめざし、将来的には70%、80%に引き上げる。
★生産者米価を1俵2万円を保障する。農業機械、農薬、肥料などの価格を下げさせる。
★株式会社企業の農地取得を規制し、家族農業を基本にする。
★農産物の輸入自由化は規制する。セーフガード(輸入規制)を発動する.
★農産物の価格保障、新規就農者への所得保障をする。
私は町会議員活動の傍ら123アールの田んぼを耕作する兼業農家です。この規模では全部米を作付けしても100俵ほどの米で120万円の生産で肥料代、農薬代、用水代などを差し引いて80万円の粗収入となります。しかも、米の減反でこの額も大きく下回ります。農業委員としてどう農業を振興していくかを考えるとき、果たして規模拡大だけで展望が開けるのか疑問です。規模が小さいので1台150万円以上もする大型機械は持てず、田植え機と稲刈り機は数人の農家と共有しています。規模の小さい農家が大きな機械を買うのは,早く農作業を済まして会社づとめをするためで、その収入で農業を支えているわけで、政府が「職業として成り立っていない規模の農業」 と言うのは圧倒的多数の農家を冒涜するもの。旧ソ連の国営農場や集団農場、毛沢東時代の中国の人民公社が農民の生産意欲を失わせていたように、大規模経営万能論は抵抗を感じます。自民党は300万戸の農家を30万戸に陶太させようとしています。農業の将来を考えているのではなく、農業予算を大幅に削減することしか考えていないと思います。
農業のよさは自然とのふれあいのある職業ということだと思います。もちろん作物の生育を楽しむというのもありますが、野生動物とのふれあい、美しい景観作り、天候との闘い、病虫害との闘い、水の管理、温度の管理、土壌の管理などさまざまです。台風が接近すると、農作物に被害が出ることを心配します。稲の場合は、風の倒伏は防ぎようがありませんが、大雨によって土手が崩れることを防ぐために、水を落とすことをします。何ヶ所かの畦を切るわけです。丈夫な稲に育てれば倒伏にも耐えられます。
昨年の東海豪雨の時には私の田んぼの土手が大きく崩落しました。土のうを200個ほど積み上げ、土砂を100トンほど投入しました。すべて、人力でやりました。77歳の母もすべて手伝ってくれました。健康審査で母の骨密度は同年齢の平均よりかなり高い、つまり丈夫ということでした。
近年、残土による水田など農地の埋め立てが無秩序に行われて、住環境の悪化の原因になっています。農地のかさ上げ、切土は農業委員会の許可が要りますが、黙って工事を行ったところで問題が出ています。残土の内容の問題、かさ上げ工事の仕方の問題、悪臭・煙の問題などさまざまです。残土処理業者への指導監督と同時に住民の監視で不法なことをやらせないようにすることです。
残土の内容 山などを削って出る残土、川や港湾などを浚渫して出る残土、下水道工事や地下鉄工事などの掘削残土、工場跡地を整地して出る残土、コンクリート建造物を破砕して出る残土、道路の改修工事から出る残土など。これらを混ぜ合わせて埋め立てする場合があり、見た目によくても有害物質を含む場合がありますので、十分注意する必要があります。
かさ上げが高すぎて他の農地の排水が悪くなるケース、道路が川になるケース、土手が崩れる事故などが問題になっています。
残土と一緒に建設廃材、生活ごみなどが運び込まれ、それを燃やしたし、腐らせたりして悪臭や煙の被害が発生するケースがあります。
1.土作り(土壌改良剤、肥料散布)⇒できれば12月にやりたい。
2.圃場(田んぼ)整地⇒均平でないと、水管理がしにくくなる。
3.苗作り⇒温度管理が難しい。
4.代掻き(水平化)⇒均平に仕上げる。
5.田植え⇒手で植えていた時と比べて、たいへんな省力化。機械が壊れやすいが。
6.除草剤散布 (なるべくやらないのがいいのですが、手間を省くために、やむを得ず)
7.水管理⇒これがしっかりしておれば、病気も出ません。
8.農薬散布 (病気が出ると、たいへんな減収になり、品質も落ちるため、やむを得ず)
9.落水⇒この頃台風がきて、被害が出やすい。
10.稲刈り⇒手で刈っていたときは、猫の手も借りたいほどの忙しさ。バインダーで2列ずつ刈る。コンバインなら、あっという間に終わってしまう。機械メーカーのもうけた分だけ農家の所得が減ってしまいました。
11.はざ杭組み立て⇒はざ杭を田の中に組む作業は刈るよりも時間がかかる。
12.はざ掛け乾燥⇒天然乾燥は地球に優しいのに、コンバインで収穫したところから見れば時代遅れと写る。
13.ハーベスタ-で脱穀(もみにする)⇒兄弟まで呼んで手伝ってもらう。
14.搬出⇒農協のライスセンターまで運ぶ。もちろん、脱穀と同時作業。
15.人工乾燥⇒ほとんど必要ないが、雨が多いときは水分過剰で乾燥が必要になる。
16.籾摺り(玄米にする)⇒家で保管するために玄米にする。
17.保管⇒5俵入りの缶に保管。ねずみや穀ゾウムシに食われないように。
18.精搗(せいとう、白米にする)⇒玄米30キロ、400円の精米料を出して、白米にする。 農協は10キロごとの白米券を発行する。もちろん保管料・精米料を払った上のもの