ムーンライト・セレナーデ | |
ベルリンフィルのセロ弾きたちのアルバムは、アメリカの音楽にリスペクトしジャズから映画音楽から黒人霊歌果てはラップまでやっているが、やはりクラッシックにまとまっている。あのね、「旅立ちの時」に出てきた台詞なんだけど、「ベートーベンでは踊れない」のだ。最初のCaravanの出だしでCDの中身を間違えたかと思ったよ。チャイコフスキーの交響曲4番に似ていたのだ。(そういえばこのチャイコフスキーもベルリンフィルだ。亡きカラヤンの名演奏。出だしは管楽器だ)チェロの表現のバリエーションを駆使してしかも12人もいるから厚みがあり、とても一つの種類の楽器でやっているとは思えない。それで、演奏はいやらしいほど完璧でアメリカの音楽を素材に遊んでみました。私たち流に味付けてみました。という印象。でも、さすがにDeep Riverにはやられた。泣けてきた。編曲のウィリヘルム・カイザー・リンデマンはこの曲を、あの9月11日のテロのすぐ後早朝の静けさの中で仕上げたそうだ。チェロ音色の暖かさと重みと深さと哀しみが曲の背景とともにぐうっと胸を掴む。いや曲の背景を知らなくたって、誰が聴いてもわかると思う。やはりすごい人たちだった。 |