海の底の物語

2003年3月 グレートバリアリーフ グリーン島沖にて
ナポレオンフィッシュのしっぽと私

 

序章  えっ、海に潜るの?!
 「おい、春休みはオーストラリアだぞ。」テニス帰りの夫は、Hさん夫妻を連れてきた。海外旅行の経験豊富なHさん夫妻に引っ張られて、オーストラリア二日目、私たちは初めてのダイビングを体験することになった。私は自慢じゃないが泳ぎは苦手だ。25メートル泳げるかあやしい。クロールは息継ぎが上手くできないし、平泳ぎは手足の動きがバラバラで2,3回水を掻くと沈んでいく。最初はなんども後込みをしていたが、「泳げなくてもいいんだよ、潜るんだから。」というH夫人の声に励まされ、意を決した。それから、3,4回近くの近くのプールに通い泳いだがすぐには上達しない。不安を抱えたまま、とうとう、その日が来てしまった。 

第1章 全部が宝石だ
 ケアンズの私たちの泊まったホテルから5分も歩けば波止場だった。オーストラリアの日差しは夏の終わりとはいえかなり強かった。波止場に休憩所があり、カラフルな帽子を売っていた。欲しくてたまらなかったが我慢した。(後で、スーパーマーケットで同じようなのを買った)日本だったら、絶対買わないだろうと思う。私は、すっかり開放的な気分になっていた。オーストラリアの空気が不安感を無くしてくれた気がする。船が着いた。思ったより、大きい船だった。2階建てで、大きさは教室3つ分ぐらい。中に入ると、日本人スタッフが、アンケート、契約書の説明、行程などを説明してくれた。船の中には大型ビデオが何台かあり、どれも、体験ダイビングの説明を繰り返し流していた。後で考えると説明を聞くよりこの映像がとても役に立ったと思う。船に乗る前に、休憩所で無料のコーヒーを飲んだのと、そこのおじさんがくれた酔い止めの薬のせいか、そんなに船酔いをすることもなかった。デッキにでると、そこには、全部が宝石のような海が広がっていた。

続きはそのうち