最近の山行記録
2002年夏〜雨飾山と出湯〜
1.計画 とある席で「秋の雨飾山がよかった。」「行きも帰りの温泉に入れて良かった。」「あっという間に頂上だった。」などと、私よりいくつか年上の方が二人、口をそろえて言われた。 そういえば、学生時代に登ったことがある。頂上がかわいい双耳峰になっていて、高山植物がきれいだった。日本百名山にも選ばれているし、今年の夏山は手軽にこの山にしよう。 インターネットでコ ースを調べる。小谷温泉から入るのが一般的らしい。宿は何処も満員だったので、テントを持っていくことにする。 |
3.行動記録 02/08/03 (土) |
7:45 | 自宅出発 晴れ 天気予報では、後から悪くなるらしい。もし、崩れそうだったら、温泉に入ってくるだけでも良い。パジェロは今のところ機嫌がよい。 |
11:30 | 白馬。小谷温泉に12時前に着いたら、今日のうちに登るつもりだったが、こんな時間になったので、今日は登らないことにする。コンビニで、カメラの電池を買う。隣におみやげ屋があったので、Tシャツと、そば茶を買う。そば茶は、奥志賀高原のホテルで出会って以来探しまくっていたので、嬉しい。3袋買ってみやげにする。レジで精算すると、店のおばさんがぶっきらぼうな声で「おまけです」といってリンゴ飴と佃煮の小さい袋をくれた。嬉しかった。 白馬を過ぎて小谷村に入ってからガソリンが乏しいことに気づく。もうないかと思っていたら、やっと見つけたところで満タンにしてもらう。待っている間、ふと見ると、ペットボトルで作った風車がスタンドの脇にいくつもある。「月とキャベツ」に出てきたのと同じだ。あれが十数個垣根に咲くヒマワリのようにしてあって、風が吹くと一斉にカラカラと回り出す。色とりどりにペイントされていて、とても愛らしい。お札を出しお釣りを待っている主人に指さし、「どうやって作ってあるか見てきて」と頼むと、店の人が気づいて「あれはワシが作ったんじゃ」と誇らしげに教えてくれた。その、頑固そうな日焼けした顔が、あのかわいい風車と似つかわしくなくて、なんかおかしかった。作り方は3種類あった。あとで、作ってみよう。 |
14:00 | テント地着。ウグイスの声が出迎え。ここは海抜何メートルなのだろうか?高原の風が涼しい。しかし、ここは全く記憶にない。私は確かに雨飾山に登ったはずなのに。村営雨飾荘が目の前にある。さっそく小屋によって見る。 時間が余ってしょうがないから、テントを張った後、車の荷物の整頓を 始めた。テニスシューズが2足。ボール。折り畳みのいすが2脚。これは山崎まさよしの野外コンサートに買ったものだ。これは使えるから出してと。釣り竿が4本。なんと1本の先が折れている!またしても私の竿だ。カバーがかけてなかったのだ。ああまた、修理に出さなくちゃ。それから、スキーカバーが2枚に、タイヤチェーンに、車止め。鰐口クリップのついたコードを片づけようとしたそのときだ、「すみません、あなた。テントのオニイサン。」はいなんでしょうと主人。「実は車が動かなくなりまして、ちょっと見てもらえませんでしょうか。」初老の婦人だった。額に汗をいっぱいかいていかにも困った様子だった。片づけは中止。主人はちょうど、私が片づけようとしたコードを受け取ってそのピカピカの車に老パジェロを寄せた。車にはご主人とおぼしき人が額に汗をいっぱいかいて困った様子。最初車の向きがうまくできなくて、コードを2本繋いだがどういうわけかうまく回らず、隣の車に場所を空けてもらって、じゃまになった、杭も抜いちゃってもっと近づけ、コードを1本ずつにしたら成功。見ていた人たちから拍手があった。老夫婦に感謝され、お互い様ですからと言ってもどうしてもとおっしゃるのでトマトと缶ビールを頂いた。 |
16:00 | 露天風呂に入る。雨飾り荘の裏歩いて3分。ブナ林の中にあって階段の途中で男風呂と女風呂に分かれてる。脱衣場の横に大きな賽銭箱のような木箱があり、こんな紙が貼ってある。『ここは小谷村の人が共同で運営しています。入泉料はいくらかこの箱に入れてください。』つまり、志でいいのだ。小銭を300円入れた。私の前にいた二人連れがあがってしまって、私一人だった。硫黄のにおいがして、なんだかしょっぱいがなかなかきれいなお湯だった。汗を流してさっぱりして、主人を待っているがなかなか出てこない。出てきたと思ったら、肘のところから血がにじんでいる。なんでも、風呂の中で話が弾んで、じゃまたと言って、いい気持ちで出たとたん足を滑らしたそうだ。幸いけがは肘だけですんだらしく、本人は受け身ができたと自慢げだったが、私はその絵を想像して、ちょっと情けなかった。このとき話した人は主人が名古屋から来たと聞いて、若い頃西穂のピークで会った名古屋の会社員は明日会議があるのだが、今日中に戻れるだろうかと訊いてきたそうだ。それは、無理じゃないでしょうか。 |
17:00 | 食当開始。お湯を沸かすだけ。レンジでチンを買ってきたのだ。昼間おまけにもらった佃煮とお礼にもらったトマトも彩りを添えてくれて満足。隣の人がたき火をしていたのがちょっとうらやましくも、明日は5時に出発しようということでビールを飲んで7時にはシュラフに入る。 |
23:00 | やっと、眠れたのに、突然バスのエンジンの音と、がやがやという人声で目が覚める。主人はすでに起きていて体にはい上がってくる山蟻どもと格闘していた。トイレに行く途中、バスの運転手が所在なげにたばこを吸っていたので事故で遅れたのかと思い、「何でこんな時間なんですか?」と訊いてみた。「ご希望で」と言うことだった。何でも福井7時出発とのこと、30人ぐらいの人がテント立てている途中だった。バスのエンジンが止まらないのは、ライトを当てているのだった。「申し訳ありませんね。」といったので、いいえ。といいながら、やっぱり、迷惑だなと思った。団体は恐ろしい。 |
02/08/04(日) |
5:00 | 起床。晴れ。すでに薄明るい。登山口の駐車場が満員にならないうちにと思い、朝食はそこで食べることにする。 |
5:45 | 登山口出発。湿地が続いている。水芭蕉が葉っぱだけになって木の板の道の両側に続く。最初はゆるめの登りになっていて登りやすい。 |
6:15 | 樹林帯の中で1本。暑いので長袖のシャツを脱ぎTシャツだけになる。何も口にせずすぐ出発。アジサイに似た花が鮮やかな青をしている。ウグイスがこっちだよこっちだよと言うようにずっといい声で鳴いている。 |
7:00 | 沢に出る。沢の水は凍えるほど冷たい。雪解け水だ。まだ沢の所々に雪渓が残っていた。チョコレートは溶けていたので、飴を食べる。水をペットボトルに持ってきたが一人500mlでは足りない。 |
8:00 | 樹林帯を抜け見晴らしのいい稜線で1本。急な登りが続いたのでそうとうこたえる。一組の初老の夫婦と抜いたり抜かれたりしている。高山植物が乱れ咲いている気持ちのいい稜線だ。相当大きなぬめっとした岩場が見える。あれが有名な布団菱だ。 |
9:00 | 頂上着。2組のパーティーがいる。写真を撮ってあげたり、撮ってもらったりした。私がバテバテの様子だったのか、缶詰のパイナップルをご馳走になった。晴れていたが遠くのアルプスは見えなかった。稜線がすごい鋸山や鬼の角のような形に見える鬼が面山はよく見える。主人は学生時代、鬼が面から登ったという。私はきっと、梶山新湯側から登ったのだ。だから、この登り口は記憶になかったのだ。頂上にいた一人のご婦人はたばこをスパーッと吐きながら、一昨日は妙高、昨日は火打だそうだ。どうして、そんなに元気なの?という中高年ばかりである。 |
9:30 | もう一つのピークの石仏にお参りしてから、下山する。後から後から登山者が登ってくる。急な狭い岩場では待っていないと行けないので、すごく時間がかかる。山では登る人優先が原則である。途中、30人ぐらいの団体に出会った。例の夜の11時にテント設営してた団体かもしれない。リーダーらしき人がその二人が登ったら、先に降りてくださいと声をかけていた。30人を引率するのは気を使うことだろう。樹林帯に入ろうとしたところで、確か私たちの前を行っていたはずの夫婦に出会う。ご主人がゆっくり降りている。私たちに先に行ってくださいとのこと。足がつってしまったらしい。「もう少しだったのに残念でしたね。」というと、「ええ、8合目まで行ったんですけど、日頃の運動不足のたたりですわ。」と自嘲ぎみ。それは私にも言える。400mの急な下りの連続で、膝が笑うこと笑うこと。 |
10:50 | やっと沢に出る。頂上から1本できたのが無茶だった。すっかり、ばててしまった。水はあと、200mlほどしかない。沢の水は飲めない。顔を洗うだけにした。15分ぐらい休憩してからまた、つらい登り。二人とも口数が少ない。登りが終わるとまた、急な下りだ。木の根がいやらしい。もう膝が馬鹿になっていてリズミカルに降りられない。樹林帯でゆっくりゆっくり下っていると、登りで追いつ追われつした初老の夫婦が後ろから抜いて行かれた。私の足元がおぼつかないのを見て、足を痛められたんですか。湿布薬ありますよ。と、声をかけてくださったが、いや、甘えているだけです。と、主人が言う。私と同じね。と明るく言ってさっさと降りて行かれた。いや、主人も相当疲れている様子。3度ぐらい転んでいた。やっと、沢沿いの湿地になり、ほっとする。道を横切って流れていた小さい沢にタオルを浸し首に巻く。ひやっとしてもの凄く気持ちがいい。水芭蕉の木橋を歩いていると、また後ろから人が来る。避けるために片方によると、すれ違いざま「あっ」というのでよくよく見るが知らない人だ。どうやら、昨日主人がお風呂でいっしょになった人たちのようだ。しばらく話し、私たちを置いて「では、また、温泉で。」と言って別れた。 |
13:00 | 途中何度も休憩しながらやっと、登り口に着く。自動販売機があり、すぐに、ミネラルウォーターの缶を飲み干す。やはり、水不足だった。最後は一口しか残っていなかった。車で降り、温泉に浸かる。3人の先客があった。みんな、初老の人たちばかりだ。一人の人は毎日500グラムの砂袋を足につけてトレーニングしているという。私は・・・。何にもしていない。反省。 |
14:30 | テント地出発。しばらくしてすごい雨。高速を走っていると、山沿いに太い稲光が見えた。後から登ってきた人たちは大丈夫だったろうか。私たちは少しも雨に遭わずに大変ラッキーだった。 |
20:00 | 自宅着。雨飾山は侮れない山である。 |
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シモツケソウと鬼ケ面岳 |
もう一つの頂上にある石仏 | バテバテの二人 |