最近の山行記録
2001年夏〜黒部源流を巡る〜
1.計画 今年こそ夏山に行くぞ。雲ノ平に行きたいな。と、6月頃。 2.準備 夏休みを確保する。 |
3.行動記録 01/08/04 (土) |
6:40 | 自宅出発 晴れ 気がかりなのは老パジェロの調子。昨晩、主人がラジエーターの点検をして詰まっていた穴を直したが・・・。 |
7:12 | 名古屋都市高速 |
7:30 | 小牧 |
9:10 | 東海北陸自動車道ひるがのSA 空気が高原らしくさわやかだ。 |
11:18 | 自動車道終点清見IC〜国道41号漆山から有峰に通じる林道に入る橋。 あまりにも細い道なので橋の近くの民家の人に確かめる。 |
11:50 | 林道の上り坂途中 ラジエーターから湯気が上がってきたので車を休ませる。それにしても凄い道なので不安。ところどころ落ちたばかりの岩が転がっている。反対から下りてきた富山ナンバーの車に確かめる。この道で良いらしい。 |
12:10 | 水温計が下がってきたので出発。ちょうど近くに沢があったので水を入れる。 |
12:25 | 有峰有料林道料金所 通常1850円のところ、今日と明日は「飛越交流サマーin有峰2001」と題したイベントで無料とのこと。ラッキー! |
12:45 | ダムの堰堤を渡ろうとした時突然、激しい雨。前が見えない。そのうち雷も。 |
12:55 | ビジターセンター 凄い雨、雷のため車の中で待機。少し眠る。 |
13:40 | やっと、止んだ。今日は太郎までは無理と判断。イベントの出店で売っていた飛騨牛の焼肉ややきそば、みそこんにゃくなどを食べる。小室等が野外ステージでリハーサルをしているのを尻目に、グランドゴルフも楽しむ。記念館で有峰の歴史を見学。 |
15:35 | 折立キャンプ場へ出発。 |
15:50 | 折立着。車が多い。みんなすでに上がったのだろう、テントの数が少ない。広いキャンプ場で設備が整っている。テントをたてる。雨が心配だ。夕食は、さっき買ったトマトとフリーズドライの野菜スープと釜飯。便利なもんだ。昔、合宿で一斗缶にジャガイモ,にんじん、米などを詰めた苦労は何だったんだろう。 |
18:00 | 消灯。しかし、隣のテントがうるさいので眠れない。しかたなく、山で飲むつもりのビールを開ける。うるさいテントは21:00まで起きていた。夜中に小雨。 |
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有峰に通じる橋。大丈夫かな。 |
ラジエーターがギブアップ。路肩に車を止める。 |
料金所の注意書きの看板。熊が出るらしい。 |
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突然の雷雨。堰堤が霞んでいる。 |
居直ってグランドゴルフを楽しむ。 | 有峰湖周辺の地図の看板。 |
01/08/05 (日) |
5:10 | テント撤収。出発。どうやら、雨はあがったようだ。 |
5:20 | 上り口。愛知大学遭難碑に合掌。 |
5:55 | 1600m付近。カエルにびっくり。ウグイスが良い声で鳴いている。イワカガミなどの高山植物が多い。鍬崎山の峰が良く見える。 |
6:50 | 三角点 有峰湖が見える。まだ、先は長い。 |
7:55 | 2300m付近。快晴。下は雲海になっている。 |
8:40 | ベンチ。あと2kmの表示。 |
9:40 | 太郎小屋着。テント地は少し下ったところらしい。ここでストーブを出し、昼食。ラーメンときゅうりとソーセージ。小屋のトイレは外からも入れるところがあって便利だった。水場もあり快適。薬師岳に登る人、薬師沢へ下る人、黒部五郎方面へ縦走する人、折立へ帰る人が入り乱れている。しかし、山の若者はいつから姿を消したのだろう。殆どが中高年者だ。昨日雨で足踏みをしたので、天気が良いうちに距離を稼ぐ事にする。 |
11:00 | 薬師沢へ出発。りっぱな板の道が作ってあって歩きやすい。途中で、中1ぐらいの男の子と主人ぐらいの年代の親子連れを追い越す。実はこの父子とは後に不思議な出会いを繰り返すことになる。 |
11:55 | お花畑。沢をいくつか超えるたび、はしごなど急登があるが、楽しい道だ。 |
12:55 | お花畑の中に木のテーブル。そろそろ、くたびれてきた。天気はいいし、周りの雰囲気は高天原のようで、最高。 |
13:15 | 薬師沢小屋着。付近でテントは張れないとのこと。雲ノ平までは3時間の急登である。水平距離1kmで垂直距離500m!とても行く気になれなかったので、今日は小屋に泊まることにする。素泊まり5400円。川原でTシャツを洗濯し乾くまで昼寝。例の親子連れも川原で水遊びをしていた。 |
15:30 | 夕食の準備。牛丼、コーンスープ、コーヒー。 |
18:00 | 就寝。 |
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三角点。遠くに剣が顔を出している。 |
太郎平へ。森林限界を過ぎ高原の雰囲気。 |
薬師沢で洗濯と昼寝。テントも干した。 |
01/08/06 (月) |
5:40 | 薬師沢小屋を出発。沢沿いに行きたいというので高天原まで大東新道を行くことにする。 |
6:30 | A沢の手前。黒部源流である。もう少し下ると奥の廊下につながる。前にも後ろにも私たちの他に誰も居ない。山と渓谷だけだ。2.3ヶ所巻くところがあったが、あとは中州を徒渉しながら、道しるべを見失わないように効率良く歩く。 |
7:10 | B沢出合い。ここから、山道に入る。かなりの急登。昨日の雨で滑るところが有る。 |
7:50 | 奥岩滝からの沢。C沢かもしれない。ようやく、人と出会う。 |
8:50 | 樹林帯。主人はバテ気味。 |
9:25 | 雲ノ平への分岐。 |
10:25 | 高天原山荘。残念ながらニッコウキスゲは時期が遅く、ぽつんぽつんとさいているだけだった。しかし、池塘は昔のまま。回りの山も昔のまま。山荘も昔の雰囲気のままだ。ザックを小屋に預け、この山行の最大の目的の露天風呂に行く。10分ぐらい下った沢沿いにあった。風呂は混浴と女性専用に分かれていて、主人は高校山岳部の集団に混じりうるさかったそうだが、私の方は、小屋のバイトの女性がひとりだけで実に実に気持ちが良かった。お湯は硫黄の匂いがして、白く濁っていたが、どんどん涌き出ているのできれいだった。ちょっと熱めで、山の涼しく乾いた空気の中で疲れた体を休めて、極楽気分である。髪の毛も洗ってこざっぱりとし、岩に腰掛けて主人を待った。ようやく、主人が出てきて、立ち上がった瞬間、右足が嫌な感触。ナント!靴の底が!剥がれているではないか!後ろ半分がスリッパのようにパックリとなっている。靴紐で応急処置をして、この後どうしようか思案をしながら小屋に着く。とにかく、昼食を食べ、小屋から、針金とペンチを借り、主人に靴を修理してもらう。小屋の人の話では、靴の底が剥がれるのは最近よくあるとのこと。私のは5年ぐらい前に買った、キャラバンシューズ。今回は雪渓もないから、軽いのにしようと考えたのが裏目に出た。よく見ると左の方も劣化していて危ないので、両足とも針金で補強してもらう。この靴で雲ノ平へ行けるか?あの急登はいやだ。もう、あきらめて太郎へ戻ろうと主人が言う。ねえ、いっそのこと、三俣から黒部五郎を回って太郎へ行かない?急な所がないし、稜線を歩きたいよ。ということで・・・。恐ろしい行程が始まった。 |
13:15 | 山荘を出る。温泉で良い気分になったのに、なんか、重苦しい二人。できれば、小屋に泊まりたかったなあ。と口に出さず黙々と歩く。途中分岐でちょっと、ためらったが、また、いつか行こうと雲ノ平はパス。 |
13:55 | 水晶池手前。すれ違った人に「何処まで?」と訊かれ、「三俣小屋まで」と答えると、「あんな遠くまで?ご苦労様」だって。更に気分が重くなる。この先にきれいなお花畑があるそうだからそれを楽しみにしよう。 |
14:45 | ガラ沢で一本。先ほど小屋にいた人が追い越して行く。軽身だからか速い。今日は水晶小屋からワンデリングらしい。疲れた。行動食のレモンをかじる。 |
15:30 | 高山植物のお花畑。気持ちのよい傾斜の登りなのに主人は持病の腰の調子が悪いのかさっきから歩くのが遅い。今までずっと私がトップを歩いていたが、こんなに待たせる事はなかった。このままでは小屋に着くまで日が暮れるかもしれないと思い、主人のザックと私のザックを交換する。お前大丈夫か?と念を押すが大丈夫、かつては20kg担いだこともあるし、これくらいの登りは平気だからと変な自負。しかし、テント、ストーブ、燃料、コッヘルが入っている主人のザックは重かった。肩紐とベルト部分を調節して一歩ずつあえぎながら登る。主人は私のザックでさえつらそう。 |
16:20 | 岩苔乗越。着いたらザックといっしょに後ろに倒れた。こんな時間まで行動する事は山では危険だ。午後から天気は悪くなるから、午前中に行動するのが常識である。気はあせるが二人とも疲労しきっている。ビバークしようにも、テントが張れるようなところではない。しかたなく、三俣小屋をめざす。ザックを元どおりに交換する。主人は下りはいいらしい。私はこんな岩だらけの急な下りは苦手だ。ここから300m沢沿いに下る。ほんとの黒部源流だ。記念に一口沢の水を飲む。ビバークできそうな場所を見つけるが、もう少しがんばろう。あまりにも長い下りで何度も地図を見る。下のほうで草が刈ってあるところがあって小屋に続く道だということが分かる。 |
17:20 | 小屋へ続く巻き道の登り口。長い下りが終わってホッとする。チョコレートを食べる。もう、いつ暗くなるか分からない。行動時間はおよそ12時間になる。体が重い。しばらく行くと道端の草むらにツェルトを張っている老人に出会う。歯を磨いていた。もう夕食は済ませたのだろう。「さっき草を刈っていた小屋の人に、小屋に泊まれと言われていたから、もし、訊かれたら遭難してたと伝えてくれ」と冗談。今日はここでビバークするそうだ。風も当たらず、水場も有り、下は高めの草地でビバークには絶好の場所だった。これから、沢沿いに下り薬師沢へくだるつもりらしい。60代だろうか70近くに見える。10年間ずっと一人で山にきているそうだ。なんとなく、うらやましい。 |
17:30 | 「黒部源流の標」通過。写真に撮らない。あまりに疲れていたから。 |
18:00 | 小屋への最後の登りの途中で一本。さっきの老人は40分で着くからがんばってと励ましてくれたが小屋はまだ見えない。薄暗いのにまだ、ウグイスが鳴いている。ザックが肩に食い込む。後ろから誰かに引っ張られているようだ。二人とも足元がふらついている。 |
18:30 | ようやくテント地。喜ぶ元気も残っていない。主人がテントを張っている間、小屋へサイト料(二人で1000円)を払いトイレに行き水を3L汲んでくる。テントに戻ると主人が隣のテントの主と話していた。この人も老人である。なんと、ここに4日目だそうである。山には変人が多い。私たちもかな?ここは稜線に近く夜は零下にまで冷えるそうだ。確かに寒気がする。さっそくセーターを着こむ。 主人が夕食を作ってくれるが、気分の悪い私は横になったままシュラフにくるまり一口も食べれない。スープでさえ吐き気がするので、お湯だけ一口飲んだ。二日酔いはした事がないのだが、きっとこんな苦しみなのだと思う。ビニル袋に吐いた。チョコレート色だった。ビールのような苦い味がした。夜中にも吐いた。今度はレモン色だった。その後、ようやく、眠れた。いつのまにか、雨が降っていた。ビバークした老人の事が頭をかすめた。 |
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大東新道。ほとんど道らしい道はない。 |
B沢出会い。ここから巻いて山道になる。 | 左の葦簾で囲ってある方が女風呂。 |
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高天原山荘で私の靴を修理。 |
岩苔乗越しから稜線の道を眺める。 | バテバテながらも地図で地形を確かめる。 |
01/08/07(火) |
4:30 | 起床。雨。気分が良くなり、スープとおじやを食べる。今日の天気はどうなるか。天気図が知りたいので、三俣山荘でストーブに当たって、書架にあった本を見ている。白籏史朗の直筆の詞書きがある写真集があった。家にも同じ筆跡の詞書きがある写真集があったので嬉しい。天気は午後には持ち直すようだが、昨日の今日なので無理をしないで、黒部五郎までにする。 |
8:30 | 出発。合羽を上下とも着こむ。雨でほとんど視界が利かない。黒部五郎の巻き道を行く。岩の登りが続く。大学のパーテイーとすれ違う。今は合宿と言えどキスリングは皆無だ。アタックザックにザックカバーを付けていた。ああ、大きいごみ袋を忘れたのが悔やまれる。濡れていけないものはザックの中でビニル袋に包んであるがちょっと心配。こんな雨は学生の時以来だ。 |
9:20 | 下り、2650m付近。花の写真を撮る。 |
10:30 | 黒部五郎山荘への下り。這い松の枝が横に伸びていて適当なところで切ってあるのに気がつかず幾度か膝を打つ。 |
11:10 | テント地。主人も私もここは初めてだ。周囲の緑に小屋の赤い屋根がかわいい。靴の針金が切れたのでここでも貸してもらう。やはり、底が剥がれる人は多いそうだ。10人ぐらいは居たとのこと。中は増築したばかりだそうでとてもきれいだ。今度は小屋泊まりで来たい。 |
14:00 | 夕食。三俣山荘で買ったまま持ってきたビールを飲んで早く寝た。 |
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*三俣のテント地で雨が止むのを待つ。テントはダンロップの3テン。スリーシーズン用。優れものである。買ったばっかり。軽量、細部まで使い易くしてある。写真のように入り口部分フライが大きく、ちょうどストーブが炊ける。 |
01/08/08(水) |
1:45 | 起床。星が見える。月は満月が少し欠け卵型。 |
4:05 | 出発。主人は小屋の入り口であの太郎平から一緒だった親子連れに会ったと言う。望遠鏡を持って星を見ていたそうだ。とすると、私達と同じコースかもしれない。暗いので懐中電灯の明かりで歩く。 |
4:45 | 周囲が明るくなってきたので、止まってご来光を待つ。しかし、まだしばらくかかりそうだ。ウサギギクが道を案内するように咲いている。懐中電灯をしまう。 |
5:20 | 今度こそ日の出だ。月がまだ残っている。山の一部がまぶしく光る。太陽は偉大だと思う。稜線コースを取って良かった。 |
6:30 | 雪渓を超え急登の途中。チングルマの写真を撮る。花が終わった後のフサフサに朝露が光ってとてつもなく美しい。イワヒバリがいるが素早くて見逃した。分岐にザックを置いて、黒部五郎岳に登る。 |
7:00 | 黒部五郎岳の頂上。360度のパノラマだ。素晴らしい上天気で遠く、剣、立山、槍、穂高、も見える。テント地から一緒だった学生パーテイーに写真を撮ってもらう。いつまでも居たいが今日は先が長い。 |
7:45 | 出発。 |
8:35 | 名もないピーク。這い松の陰で用を足していると、太郎方面から10数人の団体が来る。なかなか腰が上げれない。 |
9:15 | 中俣乗越。地図にある水場がない。ストーブを出してスープと飲み水を作る。昼食を取っていると、さっきのパーテイーやら、例の親子連れやら、菅笠をかぶった単独行の老人やらが追い越して行く。靴を修理し直す。 |
10:00 | 出発。 |
10:50 | 赤木岳手前のコル。主人は登りにかかるとため息をつく。私は下りにかかるとイヤな気分になる。誰も居ない事を幸いに二人で山の歌を思いつくままヤケになって歌う。 |
11:50 | 北の俣岳2661m。学生の時、男子の春山合宿は打保から入り神岡新道を通ってここから薬師に行ったそうだ。高山にしか居ない黒っぽい蝶が何匹も飛んでいる。とても動きが速い。短い夏の短い命。 |
12:20 | 名もないピーク。太郎まで遥かだ。飲み水がなくなる。 |
12:55 | 太郎への下り。道がえぐれて岩がゴロゴロしている。登山道を水が流れ、自然破壊をしているのだ。人間の身勝手さを思う。今のうちに何か手を打たないと、もっと削られるに違いない。 |
13:30 | 太郎平小屋。手がむくんでいるのと、日に焼けているので痛い。小屋でうどんを食べたかったが時間外なのでできないとのこと。残念。昼食を取る。ポタージュスープ、カンパン、ソーセージ、レモン。もう最後だ。食べ物が底をついてきた。 |
14:00 | 出発。果てしない下り。疲れると花の写真を撮る。 |
14:55 | 三角点手前。 |
15:50 | 三角点。 |
16:30 | 携帯電話で今日の宿を予約する。国民宿舎白樺ハイツ。18:00までだったら夕食のコースを選べると言うので主人は張りきるが、私は死にそうで足が出ない。なにしろ、急な下りだから。 |
17:30 | 折立着。長かった。このあと、有峰の宿であの親子にまた出会ったのだ!私達がロビーで受け付けをしていると、「またお会いしましたね。今お着きですか。」と、風呂上りのゆかた姿で言われた。ちょっとくやしかった。また、何処かで会うかもしれない。名前ぐらい訊いておけば良かった。ビールと白いご飯と魚がおいしかった。 |
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黒部五郎の大カールと帰りそびれた月 |
水晶岳と鷲羽岳の間からご来光 | 黒部五郎岳の頂上から遠く剣を望む |