最近の山行記録
2003年秋〜紅葉の仙人池〜
1.計画 仙人池から劔岳八ッ峰を見たいというのが今年の目標の一つだった。どうしても、3日は欲しいところ。体力も気力もかなり必要だ。 鳳凰三山の教訓を生かし、準備はなるべく時間を掛けた。コースは3通り考えられたが、室堂側から入り、宇奈月に下りることにした。心配なのはトロッコに乗れるかだったが、休日に黒部峡谷鉄道のрヘつながらない。問い合わせが殺到しているらしい。会社からかけてもらってやっとつながった。登山客用に10時頃に用意されるとのことだった。 |
3.行動記録 03/10/10 (金) 自宅〜千寿ヶ原 |
休暇を取り、夕方から出かけることにした。山の支度を車に積み、主人が職場まで迎えに来てくれた。天気が持つか心配だったが行くしかない。東海自動車道を通る。ちょうど、私が運転したところが、高速に入る前の一車線、カーブ多しの難所。帰りはこの道は止そう。富山インターで下り、回転寿司に寄る。富山の回転寿司は定評があるが、この店はあまり良くなかった。マスの寿司もつい買ってしまった。室堂に着く。駐車場はガラガラだった。適当に場所を探して立山駅に明日のケーブルの時刻表を見に行く。駐車場前でトイレを済ませ車中泊。宵のうちは良かったが、そのうちじわじわ寒くなってきた。Tシャツ、ネルシャツ、ヤッケを着たがまだ寒い。ついにシュラフを出す。 |
03/10/11(土) 千寿ヶ原〜美女平〜室堂〜別山乗越〜雷鳥沢〜劔御前〜劔沢〜真砂沢ロッジ |
5:30 | 起床。駅に急いだ。始発までまだ時間があったが既に行列が長かった。しかし、始発から2本目のケーブルに乗れた。バスで弥陀ヶ原高原を行く。途中のロッヂが懐かしい。ここで、一月あまりバイトをしていたことがある。道路際の木は枯れたようになっていて痛々しい。しかし、離れたところは鮮やかだ。ナナカマドの赤がひときわ美しい。終点室堂に着くとさすがに寒い。帽子の耳当てをおろす。屋上への出口付近、風の当たらないところでで鱒の寿司を食べる。 |
8:08 | 室堂出発。室堂周辺は登山道の整備が行き届いていてまるで観光地である。しかしこの季節、さすがにスカートの人はいない。ミクリガ池を廻って雷鳥沢への下り、登山靴が快調である。 |
9:10 | 雷鳥沢テント地。ここは劔岳への玄関口である。既に一張り張ってあった。 |
10:05 | 中腹。3連休の初日なので、登山者の列が続く。それに、遅れまいと必死に上っていくが、やはり、自分のペースで登らないとヘタッてしまう。途中山小屋のご主人らしき人が二人ひょこひょこと追い抜いていく。富山弁で話していた内容は、「この前○○がボッカで60キロのナントカヲ担いであがったそうだ。あいつは柄がでかいからな」「声もでかけりゃ態度もでかい、なんもかもでかい奴よ」思わず笑う。 |
10:47 | 劔御前小屋。やっと着いたら、小屋の前は座る余地がないほど混雑している。やっと空いたところに座り、昼食を食べていると、すいませんそこどいてください。ヤマケイです。取材してるんで。見ると、四国あたりの山岳会が劔をバックに写真撮影。来年の秋山号に出るのだろうか?なんだかなあ。もうヤマケイ買うのよそうかと思った。 |
11:15 | 出発。ザラザラする下りを軽快に飛ばす。登山靴は絶好調。 |
11:40 | 劔沢テント地。避難小屋あたりでちょっと道に迷う。ここからは沢筋を下る。途中から雪渓になっている。ワオすごい!この季節にこんな大雪渓が残っているなんて。日本三大雪渓の一つである。 |
13:00 | 長治郎谷出合い。ガスがかかっていて、劔のピークは見えないが、見上げると迫ってくるような岩稜が続いている。紅葉が鮮やかだ。しばし、見とれる。しばらく雪渓の上を歩く。私の真新しい靴は硬い雪をしっかり捕らえてくれて気持ちよく歩けるのだが、旦那様の靴は20数年前からのボロ靴、ほらコケタ!胸を打って痛そう。 |
14:00 | 真砂沢テント地。なんとまあ、避難小屋かと思わせるような狭そうな建物だ、たびたび雪崩に遭っているらしい。中には若い女性が一人でホテルの受付のような対応をしている。今日は満室のため、二人で一組の布団を使うようだ。ここは劔沢の風が吹き明け方は零下になるそうなので、しっかり着込むようにアドバイスされた。 |
15:00 | 食当開始。先ずはコーヒーをいれ一服。お湯を沸かして、乾燥おじやのパックに注げば出来上がり。味もまずまず、家でも使えそう。旦那様はうんうん唸って動けない。どうやら、肋骨を痛めたらしい。私も早めにシュラフに入る。 |
02/10/12(日) 真砂沢〜南股〜近藤岩〜仙人新道〜仙人池〜仙人温泉〜阿曽原 |
6:40 | 出発。雨。カッパを上下しっかり着込む。沢沿いに下る。ところどころ高巻きになっているので、道を見失わないように進む。鎖場、はしごもいくつかある。途中女性の単独登山者とすれ違う。わりと多い。私はひとりでは歩けない。 |
7:40 | 近藤岩。遠くからでも目に付く巨大な岩が沢の真ん中にデンと鎮座している。たぶん大昔上から転がり落ちたのだろう。単独行の男性が煙草をふかしている。しばし、言葉を交わしてから、近藤岩近くにある吊り橋を渡る。二股だ。ここから仙人山へのしんどい登りになる。北俣は落石で通行禁止になっていた。実際、登っている途中隣で大きな落石の音を聞いた。怖い。 |
8:30 | 尾根。元気のいい家族連れのパーティーに抜かされる。今日は仙人温泉までだそうだ。娘さんは本格的な大きなカメラを首からぶらさげていた。このコースはほんとに写真に撮りたくなる素晴らしいアングルがいっぱい。昨日の劔沢で写真ばかり撮って仲間に遅れがちな人がいて、「あいつは自分の目が信じられないのか」と陰口を叩かれていたっけ。 |
8:47 | ベンチ。私たちと同輩ぐらいの夫婦づれと話をする。この天気だし、阿曽原はやめて、室堂に引き返すという。なんでも、トロッコが満員で4時間も待たされるかもしれないという。私は例え待たされても、ここまで来て引き返すのはいやじゃ。 |
10:30 | 仙人池。やっと念願の仙人池に着く。くたびれて、池の前のベンチにぼーっと座る。残念ながら、劔はガスの中。池は小さく手鏡のようだった。周りを錦の紅葉に囲まれ、ここに猛々しい八ツ峰が写れば、まさに、描いたような絵はがきだ。あまりにも俗っぽいかも知れない。見えなくて良かったのかも知れない、と気を持ち直す。 |
11:00 | 出発。 |
12:55 | 仙人温泉小屋。小屋の真ん前に小さな露天風呂がある。風呂の前は絶壁になっていて、遠くの山々もよく見えるが、衆周の目前で裸になれるほどの自信はない。。登山者がたくさんいたので、主人だけ素裸になって露天風呂にはいる。「気持ちいい。極楽じゃ。」の連発。 |
13:40 | 出発。途中雪渓が崩壊し、ドドッと大きな音がする。壊れかかっていたり、スノウブリッジになっているところもあるので慎重に渡る。 |
14:35 | 2回目の雪渓下巻き。崖にザイルが1本どうして降りたものか。懸垂下降しかないだろう。若いころ一度練習をしておいて良かった。身体を崖から離し、足で軽く蹴りながら慎重に、且つ大胆に降りる。 |
17:30 | 阿曽原テント地着。今日は行動時間が10時間を超えた。バテバテだった。暗がりの中テント地の下の方にある温泉に行く。時間帯で男性、女性、自由と分けられている。ちょうど、女性が入れる時間だったので、テント設営は主人に任せて急いだ。暗闇の中で大勢の白い女性の裸体がぼんやりと見える。たぶん、中年女性が多いと思うが、はっきり見えない。更衣場所はなんにも目隠しがない。多分明るいうちは誰も入らないだろう。温泉に浸かり、ちょっと元気が快復したが、夜は何も食べられず、スープだけ口にした。 |
02/10/13(月) 阿曽原〜欅平〜宇奈月〜千寿ヶ原〜富山〜自宅 |
4:10 | 阿曽原出発。今日はどれだけ、早く効率よく欅平まで行けるかが勝敗の分かれ目だ。連休最終日とあって、みんな早起きだ。まだ暗いうちから懐中電灯やヘッドランプが行き交う。私たちは朝食を途中で取ることにして、早々にテントを畳む。途中、十字峡方面から黒部へ行く人たちが別れていく。夜明け前の薄明かりの中、前を歩く人が持つ明かりが提灯行列のように点々と続く。 |
6:15 | 折尾谷の滝。朝食。小雨が降ってきたが、カッパを来ても汗で結局濡れるので、着ないで最後まで行く。大小のパーティをいくつか抜かし、休憩も取らず水平道路をひたすら歩く。途中、木の枝が横に伸びて登山道の真上に来ているのに下を向いて歩いている、縦も横も声も態度も大きい主人は何度も頭をぶつける。私はトップなので、気が付いたら主人に教えているが、何しろ主人とは30センチの身長差。私が気が付かないのも多いのだ。木の枝だけでなく、昔の人が岩壁を穿って作った道の天上の岩が当たることもあり、さすがにしばらく頭を抱え込む。昔の人は小柄だったのだ。気の毒だが、私のせいではない。自分で気をつけて、そんなに私に八つ当たりしないで欲しい。私は頭をぶつけることはないが、新しい登山靴がくるぶしと足の側面に当たり、腫れている。当たらないように気をつけながらも、バカのように大股でひたすら歩く。最後はトロッコの駅に200メートル下る。そこで主人がつるんとこける。一瞬また、肋骨をどうかしたかと思ったが、ここでのんびりとはしていられない。薄情だがさっさと降りる。もうトロッコの音が聞こえる。「カキガタベタイ、カキガタベタイ」と唱えながら、バカみたいに駆け下りる。最後の下りでまた、2パーティ追い抜いた。 |
9:35 | 欅平。バンザイ、間に合った。既に30人ぐらいの登山者がいる。全身ずぶぬれで寒い。がたがた震える。上着を脱ぎセーターとカッパを着込む。駅で熱い蕎麦を食べて一息つく。 |
10:25 | トロッコ。無事登山者用に増発された臨時列車に乗り込む。同じ車両には、どこかの学生登山サークルが乗っていた。今時めずらしい。カッパを着ていても下着やTシャツがずぶぬれだし、窓が開いていたので風邪をひきそうに寒いが、疲れが出てうとうとする。 |
11:00 | 宇奈月。雨は上がらない。電鉄の駅の近くの銭湯で一息つく。ほとんどが登山客だ。銭湯の上がりまちには、どろどろの登山靴が並んでいる。もしかして昨日阿曽原の温泉でいっしょだった人たちかも知れない。みんな丈夫そうだ。疲れているはずなのに、きびきびして要領がいい。サッと空いている洗い場に入り、「○○さん、シャンプー貸して」とかいってるし、中には湯船に使って歯を磨いている!人もいた。 |
劔沢テント地から見た荒々しい劔岳 | 劔沢の雪渓ではしゃぐ私 | 迫力あるスノーブリッジの崩壊 |
雨に煙る二股の吊り橋 | 紅葉の中を仙人へ行く | 秘湯仙人の湯「極楽じゃ」 |