A Fool

莫迦・・・だよなぁ。こんな気持ちになるなんてよ。
・・・俺様らしくねぇ。

自嘲気味につぶやいて、俺は隣で眠っている三蔵の顔を見た。
今日は一気に大都市から大都市へと移動したからな、
結構疲れもたまったんだろう。
久しぶりの宿だし、ゆっくり寝たらいいさ。

けど、人間に鑑賞するなんざ、何年ぶりなんだろう?
500年は軽くこえてるな。
コイツと旅を始めてからもう何ヶ月経ったんだ?
結構長く一緒にいる気がする。

「うーん」
一瞬ずっと見ている俺に気付いたのかと思ったが、
単に寝返りを打っただけの三蔵にちょっとだけほっとした。

こんなのただの早合点にしかすぎねぇんだ。
最初はなんてことなかったんだ。
あのバカにほんの少しちょっかいをかける程度だったのにな。

だけどよ、今のこの気持ちをとめるのは・・・多分、絶望的に出来そうにない。

少しだけ捲くれた布団をかけ直し、三蔵の寝顔を見つめた。

情けねぇ。ホントだよ。
・・・俺さ、お前結構気に入ってるんだぜ?

出来るだけ小さな声でそっと伝えてみる。
聞こえてねぇだろうな・・・。

だけどよ、どうやってこの気持ちを伝える?
でもってそれを伝える機会はあンのか?

ふと、不安がよぎった。
このまま旅を続けて、気の合う仲間だけだと思われるのは
なんか嫌だ。あいつらと同じなんて言われたら・・・悔しい。

なぁ、分かるだろう?
幸せそうに眠る三蔵の顔に問いかけてみる。
答えは当然返って来ねェけど。


俺の気持ちに気付いて、お前もそういう風に思ってくれれば、
それだけでこの心の痛みも終るんだ。



ネットでの初めての文章にこんなものを書いてしまいました。
ぐは、恥ずッ!
えーと、元ネタはゴダイゴの『西遊記』に収録されている『A FOOL』です。
歌詞自体は英語なので、ちょっと自分風に訳してから
それっぽくアレンジをして、肉付けもしてみました。

あとは、ですね。
三蔵としか記述していないのは玄奘でも玄娘でも
どっちにでも取れるようにしたかったからなんです。
・・・私の中では玄奘なんですが(苦笑)。

感想は…あればお聞かせ願いたいですが、
ど、どうでしょう??
次作が出るかどうかコレの反応次第にしようかと思います。