大唐西域異伝 〓第二章・三回〓 |
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再び歩き出した私たちは私が見た山が見える場所へと向かった。 私が見た場所。それは火炎山を右手側に見た小高い岡の一角。 まず悟空に私が見たものを伝え、悟空に上空からそれらしいところを見てきてもらう。 本当は私も一緒に行きたかったが?斗雲には悟空しか乗ることができない。 しばらく私たちは道端に座り込む事となった。 涼鈴は両足を伸ばし、足先を動かしながら遊んでいる。 紅孩児は黙ったまま空をじぃっと眺めていた。なんともいえない無言の時間。 空を横切る鳶の声だけが辺りに響いた。 「悟空、どこまで見に行ったのかな?」 ため息と共にぼそりとつぶやいてみる。 反応は何もなかった。 小一時間の後、目の前に悟空が現れ私たちに見てきた場所を伝えた。 そのカギ自体は見ていないが、一箇所だけ妖気を異常に発しているところがあったのだという。 このような門を管理するカギだ。その妖気に間違いはないだろう。 「じゃあ、急ぎましょう!どっちに行けばいいの?」 立ち上がった私は悟空の指示を待った。 「それがな・・・」 悟空がお茶を濁す。 それは大きな岩の上にあった。 まさに壁と言って良いほどのまっすぐな岩。上部は平らなのだろう。 かすかに生い茂る草木が見える。高さはおよそ10mくらい。フリークライミングの経験などないし・・・。 岩肌に手を触れた。少しだけ湿った質感が手の温度を奪い去る。 「どうやって登ったらいいんだろう・・・」 「問題はお前だけだな」 紅孩児の言葉に私は彼の方を振り返った。 あれ、紅孩児ってこんなに背が高かったっけ? 頭2つ分上にある紅孩児の頭。ゆっくりと足元まで視線を落とすと。 「あ・・・!」 足元が浮いていた。そこに見えない階段でもあるかの様に浮かぶ足。 驚いてしゃがんで足元を見てみるが、そこには何もない。 「そっか、紅孩児って浮かべるんだよね」 涼鈴が当たり前に言う。 「お前は神獣変化して上にいけるだろ」 「まあね」 「・・・・・・」 そうだ、私以外は人間じゃないんだよね。なんか・・・忘れてた。 目の前で神獣変化をする涼鈴。銀色のうろこを持つ龍へと姿を変える。 紅孩児は胸の前で印を結ぶとゆっくりとその体を持ち上げていった。 私は・・・ 「おい、早くしろ」 「はやくって・・・」 悟空の方を振り返る。差し出された手。なんだかわからないまま近づいく。 「きゃっ」 急に思い切り腰を引っ張られ驚いた。そのまま悟空に抱えられ?斗雲に乗せられた。 「んじゃ、上までヨロシクな」 悟空が?斗雲に声をかける。ゆっくりと上昇する雲。 抱えられた恥ずかしい格好のまま、私と悟空は岩の上へとたどり着いた。 そこには・・・岩の上とは思えないほどの光景が広がっていた。
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††小さな言い訳。†† なんかいそいで書くとダメですね。何書いているのかわかんなくなってきます。 また冬コミ準備のために更新が遅れる事が多々あるかと思いますが、 ご了承いただけるとありがたいです(汗) |
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