大唐西域異伝 〓第二章・六回〓 |
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独角児が後衛となり、手前の飛蝗妖怪が一気に私達に襲い掛かってきた。 さすがと言うか、その跳躍力は目を見張るものがあり、さっきまで遠くに居たはずの飛蝗妖怪は瞬時に私達の目の前へと姿をあらわす。 突然の攻撃に完全な防御は出来ず、私は彼らの攻撃を、ただ錫杖で受け止める事しか出来なかった。 「や、やだやだ!」 すばやい攻撃をしのぎながらなんとか隙を探してみたが、そんな隙は見当たらない。 攻撃する事も、完全防御する事も、回復する余裕もない。 「玄娘! 大丈夫?!」 涼鈴の声が聞こえる。遠くから軽快な足音が近付き、近付いたと思った瞬間その足音は力強い音となり、地面に影を作った。 「よっこいしょ!」 バキィッ! 大きな音と共に振り下ろされる涼鈴の剣。 どうやら、自分に向かってきた飛蝗妖怪を倒した涼鈴が、私を心配してかけつけてくれたみたい。 ありがとう、涼鈴。 体勢を取り戻した私は涼鈴と一緒に残りの2体を退治した。 前に戦った時よりは…手際良く出来ていると…思う。 その頃悟空は独角児に先制攻撃を仕掛けていて、既にそこに私が入る場所は無かった。 ぶつかり合う力と力が火花を散らし、術法がお互いの体力を削りあっていた。 「てめぇ、そろそろ降伏したらどうだ!」 悟空が独角児を挑発する。しかし、独角児はニヤニヤ笑ったままだ。 二人はお互いを挑発する台詞と態度を取りながらも、攻撃の手は休めない。 「いい加減にしやがれ!」 「フッ…金剛輪!」 悟空の如意棒が振り下ろされると同じに独角児は秘術を唱えた。 「なにィっ?!」 独角児の両腕に付けられた腕輪が突然光を放ち、その光は放射線状に広がる。 そのあまりの光の強さに、私は目を閉じ、顔を覆った。 光は…暫く続いた後、何も無かったかのように消え去った。何が起こったんだろう? 「目眩ましは効かねェぞ!」 悟空はヘッと鼻を鳴らすと如意棒を片手でくるくると回し、バランスの良いところで如意棒を握り締めると、 渾身の力を込めて独角児に振り下ろす。が、しかし… 「なっ!」 「へへへ…」 悟空が振り下ろした如意棒を独角児は片手で楽々受け止めてしまった。 「ちょっと、悟空、マジメにやりなさい!」 涼鈴がサイドから独角児に切りかかる。だが、やはり同じ様に干将陽剣も片手で受け止められてしまう。そして涼鈴の体はそのまま頬梨投げ出されてしまった。 「涼鈴!」 急いで涼鈴に駆け寄り、その体を起こす。背中を打ちつけてしまったみたいで、背中を支えた私の手は赤く染まっていた。 「涼鈴、大丈夫?」 「う…。なん…とか。」 先ほどと同じように両手に祈りを込め、涼鈴の傷をとりあえずふさぐ事は出来た。 しかし…攻撃力のほとんどを失った私達にこれから先、勝算は持てるのだろうか?…とりあえず、やるしか、ないよね…。
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††小さな言い訳。†† お久しぶりです(滝汗)。 なんか前回から時間が経ってしまって、ネタが…。むしろ私が小説の続きを読みたいくらいです。 なんで4人で戦う事にしたんだろう…。一人一人の行動が多すぎて、なんか訳わからなくなってきそうです(だめじゃん!)。 |
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