つぶされたアトム
私の一番古い友達は、1歳年下のI君だった。
互いの家がすぐ近所だったので、物心付く前からの付き合いだ。
私は優柔不断でぼんやりしていて、I君の方がしっかりしていた。
歳の関係が逆なら良かったのかもしれない。
I君からすれば、私は随分頼り無く見えたことだろう。
私が小学2年頃の出来事だった。
その日は雨上がりで、近所の建中寺総門近くの水溜りで遊んでいた。
I君は、鉄腕アトムのおもちゃを持って来ていた。
しばらく遊んだ後、そのアトムを水溜りの中に残したまま、少し離れた場所に移動した。
その時、車が走って来てアトムをひきつぶして行ってしまった。
私は、車が来るのに気が付いていた。
私が行動力のある子供だったら、運転手に知らせていただろう。
実際は、ただ見ているだけで何も出来なかった。
そもそも年長者なら、水溜りの中に置きっ放しにしないよう注意するべきだった。
私の気の利かなさのせいでI君に迷惑をかけた事は、他にも有る。
懐中電灯を壊した事や、プールの会員券を無駄にした事など。
私は、友達甲斐の無い子供で、それは成長しても変わらなかった。
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