せんかしの雑文

走る電気

初めて名古屋のテレビ塔に連れて行ってもらったのは、私が小学2年頃だった。
夏の夜に家族で行った。
たまに出かけた街中は、光でまぶしく、ネオンが色鮮やかに輝いていた。
当時の家は、電灯は白熱球だしテレビは白黒で色彩に乏しかった。
だから、夜の街が余計に綺麗に思えた。
そんな中で、光が電線を伝わって走って行くのを見た。

私は、電気が伝わって行く時に光るのだと思った。
今から考えるとバカみたいな事だが、子供の頃は本気で信じていた。
たぶん、道を走る自動車のヘッドライトが反射していただけなのだろう。
あの頃の電線の被膜って、光を反射しやすい素材だったのだろうか。

テレビ塔の印象はもう忘れてしまったが、その時にテレビ塔のミニチュアを買ってもらった。
帰ってから友だちに見せていたら、アンテナの部分が取れてしまった。
すぐに壊してしまって、せっかく買ってもらったのに申し訳なかった。
私は何かをしてやる甲斐の無い子供だったと思う。