昆虫の記憶
子供の頃、遊び場にはたくさん虫たちがいた。
セミは、ほとんどがアブラゼミかツクツクボウシで、たまにニイニイゼミがいるくらいだった。
一度だけクマゼミを見つけたことがあった。
まさに宝物を見つけた感じで、虫取り網を取りにいって、急いで戻ってみたがもういなかった。
あの頃はクマゼミは珍しかったのだが、今みたいに増えてしまっては何の有難味もない。
建中寺境内の木には、玉虫やカミキリムシがいた。
玉虫には、色鮮やかなのと茶色い地味なのがあった。
オスとメスの違いなのかと思っていたが、どうも種類が違うのだそうだ。
そう言えば、バッタやカマキリにも、緑色のと茶色のがいた。
自動車のメタリック塗装を見ると、玉虫の金属光沢を思い出す。
シオカラトンボもよくいた。
水たまりにやってきては、水面をチョンチョンつついていた。
いつのことだったか、帝産バスの裏の空き地に赤トンボがいっぱい飛んでいた。
先に鳥もちの付いた竿を振り回して、たくさん捕まえた。
総門の近くの原っぱには、糸トンボがいた。
赤、青、緑の蛍光色がとても綺麗だった。
静かに群れて飛んでいる糸トンボが、虫の中で一番好きだ。
土手の木にとまっていたオニヤンマの黄色と黒。
境内でドッジボールをしていた時に飛んでいたアオスジアゲハの青色。
ケイトウの赤い花に群れていたセセリチョウの茶色。
記憶の中にいくつもの情景が残っている。
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