32年前の甲子園
今年の夏の高校野球は、中京大中京の優勝で終わった。
9回2アウト、6点差から1点差まで詰め寄られてハラハラした。
やはり、甲子園では何が起こるか分からない。
テレビ中継で何度か名前が出ていたのが、32年前の東邦だった。
愛知県勢が決勝まで進出したのは、この時以来らしい。
あの年のことは、今でも覚えている。
1977年愛知県予選決勝、東邦と名電の対戦だったが、私はラジオで聴いていた。
結果は東邦の勝利、解説者が東邦の坂本投手をほめていたのが記憶に残っている。
どれほどすごい選手なのかと思った。
甲子園での初戦、テレビで見た坂本投手は子供みたいに見えた。
無理もない、まだ一年生である。
ついこの間まで中学生だったのだ。
何か不器用そうに投げる姿が印象的だった。
周りは鍛え上げられたごつい選手ばかりである。
ところが試合が始まってみると、相手は坂本投手を打ち崩せなかった。
甲子園の魔力に惑わされず、捕手のミットをめがけて無心で投げる。
私にはそういう風に感じられた。
坂本投手の快投は決勝戦まで続き、あと一歩で優勝に手が届く所まで行った。
あの夏、奇跡は確かに起ころうとしていた。
中京の優勝は43年ぶりで、すばらしい戦いっぷりだった。
もう見られないかもしれないと思っていた地元校の優勝を見ることが出来た。
それでも私にとっての一番は、32年前の夏である。
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