せんかしの雑文

祭りの思い出

私が育った筒井町には、天王祭りというのがある。
私が子供だった頃も、建中寺の総門前や商店街に露店が出て、山車が町内を引き回された。

小さい頃から、山車を見るのが好きだった。
朱色の屋根を揺らせて、お囃子を響かせながら、ゆっくりと引かれていくのを見ていた。
山車の中段に、十二支を刺繍した幕が巡らせてある。
その中の牛がギョロリと剥いた目、それが一番印象に残った物だった。

祭りは今では6月第1週の土日に行われるが、その頃は1日と2日に行われていた。
平日にあたる時は、町内の子供だけ小学校を早引けさせてもらえた。
山車を引くためだったが、途中で抜け出して露店をのぞいたりした。

いろんな露店があった。
金魚すくい、風船釣り、たこ焼き、リンゴ飴、カルメ焼き、輪投げ、似顔絵描き等々。
輪投げは、小さな景品は四角い台の上に載っていて、その台にスッポリはまらないともらえなかった。
普段見たら何でもないような景品だが、ああいう場で見るととても魅力的に思えた。

小学生の頃までは、祭りに参加しているのが楽しかった。
山車を見ながら綱を引いていると、誇らしい気持ちがした。
時々、アイスクリームが配られるのがうれしかった。
そのうちに、お囃子などで山車に乗せてもらえるようになった。

中学生になると、外からの目を意識し始めて、何だか恥ずかしく思うようになった。
不動会館で行われるお囃子の練習にも、だんだん出なくなっていった。
その頃一緒だった人の中には、その後もずっと祭りにかかわっている人たちもいる。
この世の中は、私のためではなく、そういう人たちのためにあるのだと思う。