せんかしの雑文

物売りの記憶

子供の頃、近所の建中寺の総門の前に、時々物売りがやって来た。

わらび餅や石焼き芋は、友達と一緒に買って食べた。
夏のわらび餅はひんやりと冷たく、冬の石焼き芋はホカホカと温かかった。
石焼き芋は高いという印象があるが、子供の小遣いでも買えるようにまけてくれたのだろうか。

飴細工売りは、当時でも珍しかったのかも知れない。
私は、1度だけ買った覚えがある。
好きな形を注文すると、はさみで切り込みを入れて形を整え、色を塗って作ってくれた。

風鈴や金魚を売っていることもあった。
カブトムシは、何度か親に買ってもらった。
大きな金網のかごの中に、何十匹もカブトムシがいた。
オスもメスもいたのは、つがいで飼って卵を産ませるためだろうか。
私には飼うという意識が無く、おもちゃのようにいじり回してすぐに死なせてしまった。

今住んでいる所にも、たまに物売りの車が通って行く。
スピーカーからの録音の売り声は、あまり風情は感じられない。
知らないものは先ず詐欺を疑わなくてはならない世相では、なおさらだ。