幸せだった大晦日
子供の頃から、私は大晦日が苦手だった。
毎年、周りは忙しそうで、何だか張り合いがある様子だった。
私はいつも、自分一人が取り残された気分で過ごしていた。
仕方なく本屋で立ち読みしたり、意味もなく自転車で走ったりした。
ある年の大晦日、よほど時間を持て余したのか、地下鉄で当てもなく遠くの駅まで行ったことがある。
なぜそんなことをしたのか覚えていないが、そこから家まで歩いて帰ってきた。
方向音痴なので道を間違えていないか心配だった。
大学生風の二人連れとタクシーが接触事故を起こしたらしく、言い争いをしていた。
はやく家にたどり着きたいと思った。
そんな私にも、幸せだった大晦日の記憶がある。
私が中学生の時だったと思う。
友だちと会った後、夕方帰宅した。
姉と一緒に、ゴジラの映画をテレビで見た。
夕食は、姉が近所のうどん屋から出前をとってくれた。
ただそれだけのことなのに、思い返すとなぜだか懐かしさで胸が一杯になる。
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