せんかしの雑文

逆立ちするコマ

私が小学2年頃の話だが、逆立ちするコマというのがあった。

それは、菓子に付いたくじで当たる景品だった。
コマの底が丸く、回っているとだんだん軸がぶれて、最後は逆立ちするという物だ。
無性に欲しくなったが、当たるかどうか分からないのに、菓子の20円はもったいなくて手が出なかった。

ある日、その菓子が残り2個になっているのを見た。
景品のコマは、1つ残っていた。
今その菓子を買えば、必ずコマが当たると私は思った。
喜んで買ってくじを見たが、2個ともはずれだった。

がっかりしていると、店のおばさんが「コマを10円で売ってあげる」と言った。
どうも納得できなかったが、どうしても欲しかったので、10円を払った。
何だか騙された気分だった。

今なら、この結果には納得できる。
要するに残っていたコマは、当たりが無くなっても菓子を最後まで売り切るための餌だったのだ。
最初から、当たりの数よりも1つ余分にコマがあった訳だ。

やっと手に入れたコマだったが、じきに飽きてしまった。
何事も、欲しいと思っている間が一番楽しいものだ。
手の届かない物は、実際よりも価値が有るように見える。
手に入ってしまうと、その熱は急速に冷めてしまう。