せんかしの雑文

祖母の思い出

祖母は、私が小学5年の時に亡くなった。
たかだか10年ほどしか接点がなかったことになる。
それでも祖母は、私にとって大きな存在だった。

幼い頃から、私が自分の感情をぶつけるのは、祖母に対してだった。
母親は、良く私の世話を焼いてくれたが、精神的な影響は弱かった。
私が小学校に上がって、母親が働きに出るようになると、なおさら祖母との関係は深くなった。

祖母には、本当に色々な事をしてもらった。
遠足のお弁当を作ってもらったり、運動会に父兄として来てもらったり、 私が完成させられないプラモデルを、おもちゃ屋さんに頼んで作ってもらったり。
一度、毛糸のセーターを編んでもらったことがある。
祖母は、水色の毛糸で編んでくれたのだが、私はその色が気に入らなかった。
せっかく作ってくれたのだから、色なぞ気にせずに着れば良いのに、それが出来ないのが私だった。
結局、祖母は、セーターを茶色に染め直して来てくれた。

やがて、大腸ガンになり、人工肛門の手術をした。
最後の1年ほどは、家で養生していた。
マットレスを敷いてくれたとか、りんごのジュースを作ってくれたとか、 何でもない様な事に感謝し、もう思い残すことは無いと言っていた。
死期が迫ると親戚の人達が集まり、皆に見守られて静かに息を引き取った。

振り返ってみると、私の後天的な基盤の大部分は、祖母によって作られたのだと思う。