総門辺り
筒井通りから北へ向かうと、建中寺の総門がある。
この門のことは総門と呼ぶのが正しいようだが、子供の頃の私たちは山門と呼んでいた。
お寺の大きな門は全部、山門と言うものだと思っていた。
総門の手前、西側には柳の並木と公衆トイレ、東側には映画館があった。
ここが舗装されたのは、建中寺公園の外周に道路が出来た頃だった。
それまでは、砂利が敷いてあった。
天王祭りの夜店もここが中心だった。
私たちにとって総門は、ベースキャンプのような場所だった。
夏の暑い日でも、ここの日陰にはいると、スッと涼しい風が吹いた。
雨が降ってくると、ここで雨宿りをし、遊んだ。
裏の西側部分の土は、泥団子を作るのに適していた。
小学4年頃だったと思う。
学校が休みの日に、私たちは総門の所にいた。
小型の台風が近づいてきて、昼過ぎから雨と風が強くなった。
強い風に乗って雨が吹き込んできたり、近くの排水口にゴーゴーと音を立てて雨水が流れ込んでいた。
少し高揚した気分で、それを眺めていた。
夕方になって雨と風がおさまって、皆で一緒に近所の銭湯に行った。
台風の時に屋外にいたのは初めての経験だった。
私たちは、何か冒険を成し遂げた後のようにはしゃいでいた。
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