裏腹な言葉
子供の頃、変な物を無性に欲しくなった事が何度かある。
例えば、小学2年頃に、網で覆われたヘルメットが欲しかった。
当時放送していた『コンバット』や『忍者部隊月光』の登場人物が被っていた様なやつだ。
ある日、建中寺の境内で遊んでいると、少し離れた所にそのヘルメットを持った子がいた。
親しくないが、顔は見知っている年下の子だった。
しばらくすると、その子はヘルメットを置き忘れて帰ろうとした。
「ヘルメット忘れているよ」、私はとっさに呼びかけていた。
「黙っとけば良かったのに」、隣で友達がつぶやいた。
私も、黙っていればヘルメットが手に入ると一瞬思った。
でも口をついて出たのは、気持ちとは裏腹な言葉だった。
あわよくば手に入れたいという卑しい気持ちを、誰かに見透かされるようで嫌だったのだろう。
今からすると、何でそんなヘルメットが欲しかったのかと思う。
帽子代わりに被っているわけにもいかないし、すぐに要らなくなりそうだ。
案外、その子も飽きてしまっていたから、忘れそうになったのかもしれない。
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