浦島太郎
昔話の主人公の中で一番親しまれているのは、浦島太郎だろうか。
浦島太郎状態とか、今でもよく使われる言い回しだ。
ずっと前に、この浦島太郎のことが話題になったことがあった。
玉手箱を開けた後、なぜ老人に変わってしまったかについてだった。
太郎は漁師で、魚を捕らえて殺生していたから、その報いだったという穿った意見もあった。
亀を助けたのに、なぜ罰を受けなければならないのか、私には納得できなかった。
いずれにしても、老人になったのは太郎にとって悪いことだったというのが皆の認識だった。
私もまだ若かったし、歳をとるのは嫌なことだと思っていた。
それから何十年も経って、私はあの頃には想像もしなかった様な歳になった。
今では、太郎が老人になったのは、必ずしも罰ではなかったのではないかと思う。
若い頃を振り返ると、私は心が落ち着くことが無かった。
何かを成さなければならないと、強迫観念の様なものを持っていた。
理想だけは高く、現実の自分が他人より劣ることに絶望していた。
今はもう、そんなことはどうでも良くなった。
人生のレースで、1周どころか何周も周回遅れになって、かえって先頭がどこかなんて気にならなくなった。
歳をとるのも、悪いことばかりじゃない。
昨今の就職事情を見るにつけ、若い頃に帰りたいなどとは思わない。
|