せんかしの雑文

夢に出てきた駅

その駅は、私の夢の中に何度か出てきた。
どこの駅なのか、なぜ夢に出てくるのか、まったく心当たりが無かった。

ある日、偶然、インターネットで写真を見かけた。
JR中央線にある定光寺駅の写真だった。
高い位置にあるプラットホームと長い階段、山の中にあるそれは、夢に出てきた駅だった。
そして小学5年の夏の記憶が戻ってきた。

夏休み間近、クラスの5人くらいが鉱物採集に行く話をしていた。
私も、その計画に混ぜてもらった。
石を割るのに「たがね」という工具が必要だというので、近所の刃物屋に買いに行った。
私は、たがねをなたねと言い間違えて、恥ずかしい思いをした。

当日は、千種駅の近くに集合した。
中央線が電化されたのは、その少し前のことで、学校から記念に乗車しに行ったことがあった。
それ以前は、名古屋市内でも蒸気機関車が勢いよく煙を吐き出して走っていた。

定光寺駅で降りて山道を歩き、川原に下りていった。
川の水は冷たくて、初めは少し怖かった。
慣れると、風も気持ちよく、鉱物なぞそっちのけで川遊びに夢中になった。
結局、せっかく買ったたがねが活躍することも無く帰路についた。

ただそれだけの出来事だった。
特に印象に残るような変わったことも無く、なぜ駅だけが夢に出てきたのかは、今も分からない。