◆シフターの「飛び越し」防止について
 シフターには、一般に「飛び越し」防止機構が盛り込まれています。専用の部品が付いている訳で
はなく、シフト機構を構成する部品の位置関係で「飛び越し」を防止するようになっています。
「飛び越し」とは、たとえば、1速から2速へシフトアップした時に、2速を通り越して3速に入っ

たり、3速までいかないにしても、2速と3速の中間まで(中間ニュートラル状態)いったり、ある
いは、3速から2速にシフトダウンする際に、2速を飛び越して(この場合は)ニュートラルになって
しまうことです。
 シフトアップよりも、シフトダウンの際に発生しやすく、コーナーの手前などで、一気にシフトダ

ウンする際に発生することが多いと思われます。

「飛び越し」の発生メカニズム
 チェンジペダルを踏むとシフトカムが廻されます。廻されたカムは「運動の法則」(慣性力)で回り
続けようとします。それをストッパレバーがシフトカムの谷に入り込んで止めているのですが、慣性
力が大きいと、ストッパレバーでは止めきれず、シフトカムが回り過ぎて発生します。

 R100RSに乗り始め、そのシフターを見て永いこと疑問に思っていたことがありました。それ
は、R100RSには「飛び越し防止」機構が無いのです。
 シフトカムの山形状には、山の先端が丸いモノと尖ったモノの二種類あります。当然、尖ったモノ
の方が中間ニュートラルにはなりにくいのですが、飛び越し防止とは異なります。

 ある時、たこやきさんの乗るR100GSのシフターの写真を見たら、謎が解けました。

R100RS(初期型)
R100GS(89年式)

 上の写真は、左が「飛び越し防止」が付いていないモノ、右が「飛び越し防止」が付いているモノです。
シフトカムの山形状が違いますが、この形状のシフトカムはR100RSの後期型で採用されています。も
う一つの大きな違いがレバーの形状です。

 GS用は、赤印のところの形状が変わっています。
この部分の形が「飛び越し防止」のキーとなるところです。
どのようなメカニズムかというと・・・。

シフトダウン時
シフトアップ時
 シフト操作をすると、青矢印のようにレバーが動きシフトカムが回転します。
レバーがシフトカムを送り切った位置で、赤矢印の二箇所でシフトカムが廻り過ぎないように規制されます。
これが、いわゆる「飛び越し防止」で、レバーを送り切った状態にして、更に手でシフトカムを回すと判ります。

・余談
 今更、こんな古いバイクでレースをする人はいないと思いますが、万一、R100RSでサーキットでも走

ろうという人は、レバーをGS用のモノに交換することをお勧めします。

motobinsのHPにこんなものが載っていました。


「IMPROVED GEAR SHIFT CAM KIT (RETROFITS) ALL 5 SPEED 2v TWIN GEARBOXES /6 1976 ONWARDS」
と、書いてあるので、対策品なのかな。
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