解説 名鉄パノラマカー
-1961年7月号「鉄道ピクトリアル」の新車情報より-

「鉄道ピクトリアル」記事 私見・現状 解説
 はじめに.
パノラマ・カーについてはさまざまな話題があるが、ここでは公式な要項についてご紹介したい。

1.構想

 電車は乗客の喜ぴを求めるものであるべきだ−−この考えの下にこの車は生まれた。
 この車は従来のデラックス車の改良ではなく、全く新しいアイディアに基づいて出発した。
 すなわちミュージックポックスなど金を掛けて豪華にするのでなく、多くの乗客を乗せ、且つ本質的に新しいもの、よいものを作ろうとして考えられたものである。

2.形式・編成

 形式は7000系となって、両端車は7000、中間車は7050と7150形となった。
 なお、それぞれM1とM2の2種あり、名鉄ではM1は補機付、M2が主制御器付で、国鉄のMM’の如く2両をもって1ユニットとしている。
 編成はオールM6両編成3本、計18両であるが,将来は中間にM4両を増備して10両編成とする予定である。

Mc1 -Mc2'-Mc1'-M2' -M1' -Mc2
7001-7052-7151-7052-7051-7002
7003-7154-7153-7054-7053-7004
7005-7156-7155-7056-7055-7006

3.製作年月及び用途

 今回の第1期車の製作年月は3編成とも36年5月である。
 実際に第1編成が完成したのは36年4月22日で、この時報道陣に発表したが、試運転を終っての公式完成は5月である。
 用途は差当り名古屋本線 豊橋−名古屋−岐阜間の特急用に使用し、直通特急のほとんど全部がパノラマ・カーに置き換えられる。通勤時にも主力として使用し、特急料金はとらない。


(今なお現役!7001F第1次車)

 2000年5月をもって、パノラマカーは満39歳となる。今なお、現役で古さを感じない。これは、「1.構想」にも書かれている「開発」に対するコンセプトのおかげかもしれない。もし「特急専用車」だったら、デザイン、車内設備等の「陳腐化」は否めず、パノラマスーパーがデビューした時に廃車になっていたかも知れないし、これほどまで、ファンに“愛されなかった”かも知れない。

「将来は中間にM4両を増備して10両編成とする予定」・・・残念ながら、「実現」しないどころか、今なお「8連」がMAXですから・・・。
中京圏の発展の期待というものが伺える一文です。

「Mc2'-Mc1'」・・・デビュー当初は「簡易運転台」があったんですね。この「簡易運転台」昭和43年に撤去されたそうです。

「通勤時にも主力として使用し、特急料金はとらない。」・・・当時の、名鉄の「クロスシートの思想」「都市間輸送に対する考え方」の「集大成」といったところでしょうか。

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