第0章

「TheWorldやろうよ。秀ちゃん」
いきなり学校の教室で声をかけられたので振り向くと女の子が話し掛けてきた。
「なにそれ?」
と聞き返す男の子。
男の子の名前は晦堂秀介(かいどう しゅうすけ)。
双摩学園中等部二年の生徒で運動神経は誰よりもすぐれているが、勉強のほうはあまり出来ない。
けど性格は明るく、前向きなとこがありゲームが好きな男の子です。
「え〜!秀ちゃん。今人気のオンラインゲームTheWorld知らないの?」
と驚いている女の子。
女の子の名前は木下茜(きのした あかね)。秀介と同じクラスであり、また幼馴染でもあるのだ。
性格は面倒見のいい優しい女の子。
おっちょこちょいであるのが玉にキズだけど、人一倍に努力をする頑張り屋の女の子。
「うん、まったく知らない」
あっさりと茜に言い切る秀介。
「あきれた。ゲーム大好きな秀ちゃんが人気のゲームを知らないなんて」
と茜に言われると
「だってよ。前の中間テストが悪くて、ずっと家で勉強させられたしよ」
と拗ねたような言った。
「そりゃあ、あんなに酷い点をとる秀ちゃんがいけないんだし」
秀介にとって中間はあまりにもひどいものだった。
国語と数学と社会は平均点だったが英語と理科の点数が1ケタだったおかげで、
彼はしばらく勉強づくしの毎日をおくっていたのだった。
「じゃあ、今日私の家に来る?どんなゲームか教えてあげるよ」
という茜に
「なら、嶋也も誘っていいか?」
と秀介が言う。
「嶋也くんも誘うの?私は別にいいよ」
と答えと
「俺が後であいつに言っておくから、おまえは先に家に帰っていてくれよ」
秀介がそう言ってすぐ教室を飛び出した。
「ちょっと秀ちゃん!もうせっかちなんだから」
と頬を膨らませて怒る茜でした。
(久しぶりに一緒に帰ろうと思ったのに)
彼女は幼稚園のころから秀介のことが好きだったのだ。
無論このことは秀介には知られていないが、彼女にとっては今の関係で十分満足しているのである。
下手に告白して気まずくなることを恐れているからだ。
それなら確実に少しずつ関係を深めていくほうが茜にとってはいいからだ。
「けど、少しくらい私の気持ちに気づいてくれてもいいのに」
と小さな声で呟いた。


秀介は学校の図書室に入って本を持って本棚に戻している一人の男の子に声をかけると
「嶋也〜」
と話し掛けると
「秀、ここは図書室なんだからもう少し静かにしてよ」
と言い返す男の子。
彼は大原嶋也(おおはら とうや)。彼もまた秀介と同じクラスメートであり秀介の幼稚園からの親友でもある。
彼は勉強も運動も学年トップクラスで、女の子にも人気がある。
性格は誰にでも優しい時もあり、厳しい一面ももっているのだ。けど彼はどうしてもゲームだけはダメダメなのである。
「今日、茜の家でおもしろいゲームあるみたいだから行ってみようぜ」
と秀介は言うと
「今日、僕、図書の係にあたってるから行けるとしても、少し遅れていくことになるけどいいのかい?」
と答える嶋也。
「じゃあ、俺は先に行ってるからおまえも早くこいよ」
と走って図書室を出ていく秀介を見て嶋也は
「やれやれ、あいつはあいかわらずだな。」
といいながら本を本棚に戻していく嶋也。
「さっさと仕事終わらすか」


秀介は走りながら思った。
(TheWorldってどんなゲームなんだろ)
と期待を胸に秘めて茜の家に走った。
だが、それは運命の始まりでもあったのだ。


http://www.medias.ne.jp/~kuon/.hack.html