第21章 異界
「あっ!!あぶない。ユキ!!」
そう言うとソフィアはラリウゾットを発動する。オーガの一撃は氷の柱に阻まれ巨剣が弾かれる。
「サンキュウ。ソフィア♪」
そう言うとユキは舞武を発動する。が、オーガには効いた様子はない。
シュパ・・・
ひとつの短音と共にオーガが真っ二つになる。
真っ二つになったオーガの後ろにはシンが立っている。その腰にはすでに刀が収まっている。
「さっすがお父さん♪動き早いねぇ」
ユキが喜びの声をあげる。
「重剣士なのにな・・・」
俺がつぶやく。
「ほんと・・・はやいね」
隣ではソフィアが珍しそうにシンを見ている。
「それにしても・・・こんなレベルのエリアで良いのか?」
隣のソフィアに聞く。
「ここで会ってますよ・・・というより、どこでもできます」
「ここまで来た意味ないじゃん・・・」
ユキがなんだぁ〜と言う感じでソフィアの肩に手を置く。
「ごめんね」
ソフィアはすぐに謝る。
「それにしても・・・仲がすぐに良くなりましたねぇ・・・」
いつのまに俺の隣にいるシンは2人をみて口元には笑みが浮かんでいる。
ソフィアとユキは楽しそうに話している。
「お〜い、そろそろいいんじゃないか?だれも居ないみたいだし」
俺がそう言うとソフィアは
「そうですね・・・それじゃ、みなさん。一カ所に集まってください」
そう言うと俺達を一カ所に集めた。
ここで、俺達がなぜこんなところに居るかと言うことにふれておこう。
俺達はあの後、ソフィアの提案で放浪AIが集まる場所、放浪AIによって作られたルートタウンに行くことになった。
だが、ルートタウンでやればCC社に見つかるかもしれない。
そこで、ダンジョン内で行うと言うことになったのだ。だが、ユキはダンジョンの最深部でやると思っていたらしい。
「それじゃ、みなさん・・・いきますよ」
そう言うとソフィアは目をつぶると何語とかつぶやく。すると俺達を光の輪が包む。カオスゲートなどで移動するときと同じ輪だ。
少しの間、目の前が白くなると目の前に近代的な街が浮かんできた。
第22章 老人
「あっ、ここ♪」
そう言うとソフィアは一軒の家を指さす。その家は入り口近くの近代的な家と全く違い、レンガで出来ており、所々レンガがかけている。
「ただいま♪」
そう言うとソフィアは家の中に入る。俺達もその後に続く。
家の中は暖炉がひとつ、木の机と椅子が並べられている。奥にはまだ部屋がありそうだ。
暖炉の前には1人の老人が暖炉で沸かしたお湯が入っているだろうポットを持って、立っている。
目立つのは真っ白な白髪とつり上がった目、腰が少し曲がっている。
「・・・」
老人は俺達を見るとポットからお茶をカップに注ぎ始めた。
「え、と・・・この人が私の面倒を見てくれた人・・」
ソフィアが老人を紹介する。
「クロカスじゃ」
老人はそれだけ言うと棚からカップを5つ取り出すとそれぞれのカップにお茶を注ぐ。
「わしらにとってはあまり意味のない事じゃがな・・・」
そう言うと俺達に席を座れとうながす。
俺達はそれぞれ席に着く。家の中には重い空気が流れている。
「わしらは寝ることも・・・食べることも必要ない・・・」
そう言うと老人はカップに口を付ける。
「ま、気分だけだがな・・・」
老人はそれだけ言うと空になったカップを机の上に置いた。
「まぁ、今夜はゆっくりしていくと良い・・・ベットは奥にあるからな」
そう言うと老人は奥に消えていった。