第27章 預言者

 「ねぇ・・・どう言うこと?」
 ユキがソフィアに聞く
 「そんな事言われても・・・」
 ソフィアの目の前で透明になっていき・・・そして、鉄アレイに吸収されたかと思うと
鉄アレイごとリオンは消えていた。
 「とりあえず・・・クロカスの家に行きましょう・・・そこで悩めばいい・・・」
 そう言うとシンは先頭に立って歩いていった。
 いたるところが焼け焦げていたりバラバラになった木箱や家がある。
 「お主達・・・無事だったか!!」
 そう言うとクロカスは家の前で出迎えてくれた。
 「リオンはどうした?」
 クロカスがそう言うとソフィアは意味ありげに少し唾を飲むと
 「データドレインされた・・・私と同じ・・・」
 「ふむ・・・先客がいる・・・とりあえずわしの家に入ると良い・・・」
 「先客?」
 ユキは顔にハテナと言う文字を浮かべている。
 家の中に入ると1人、フードを被った男が椅子に座ってお茶を飲んでいる。
 「どうも・・・はじめまして・・・」
 男はシン達を見ずに挨拶をする。
 「どうも・・・と言いたいところですが・・・こちらを見て挨拶していただけますか?」
 シンは口の微笑を浮かべた。
 「ふむ、たしかにそうだな・・・」
 そう言うとフードの男は椅子から立つとシン達のほうを見る。
 「はじめまして・・・シルフィスです・・・一部の人間は預言者と言いますよ」
 そう言うとシルフィスは頭のフードを取ると口元に笑みを浮かべた。


     第28章 連星

 「つまり・・・あなたは鉄アレイはもともとソフィアとリオンを狙ってたというのですか?」
 「そうだ・・・では鉄アレイの目標はわかったが・・・この2人を選んだ理由は?」
 シルフィスは更に質問を投げかける。いや、質問と言うか試すと言う感じだ。
 シルフィスの特徴は黒い鎧、所々に紋章が刻まれている。
髪の色は金髪、髪型は適当に切られた髪のような印象があるが後ろに髪が跳ねていると言う感じの印象も受ける。
目の瞳は青に近い、腰に剣を下げている。本人が言うには職業は魔法剣士、β版の職業だそうだ。
 「それはなぜか・・・?その答えは2人に関係するもの・・・」
 「データドレインだぁ!!」
 ユキが声をあげる。
 「そのとおり・・・冴えているな・・・お嬢ちゃん」
 「へへへ♪」
 ユキはうれしそうに髪をポリポリとかく。
 データドレインのことは先ほどクロカスからシン達は聞いていた。
 「では、なぜ黒幕・・・イヤ、鉄アレイを差し向けた奴の意図は?」
 「ん〜・・・」
 ユキは腕を組んで悩んでいる。
 「データドレインがほしかった・・・と言うところだな・・・」
 家の玄関から男の声がする。
 「・・・どうも、こんにちは。アルビレオさん・・・」
 シルフィスが声の方を見ずに男の名前を当てる。
 「<碧衣の騎士団>・・・!!」
 クロカスが声を上げる。
 「まぁ、落ち着けよ。クロカスさん」
 そう言うとシルフィスは手に持っているお茶を口に含む。
 「今の彼はいちユーザーでしかないんだから・・・」
 「・・・なに!?」
 クロカスがシルフィスの言葉に驚き声を上げる。
 「今はプライベートにきている・・・それと、あるものを渡しにきた・・・と、言うところだろう・・・」
 そう言うとシルフィスはアルビレオの方に向き直る。
 「よくわかったな・・・そのとおり、俺は頼まれた物を届に来ただけだ」
 「頼まれた?」
 ユキが頼まれたと言う部分に疑問をもつ。
 「・・・ここに居るシルフィスという奴に渡してこいと社長直々の頼みだ」
 「でも、あなたが来る必要はないのではないんじゃないんですか?
元来<碧衣の騎士団>は放浪AIを消去する事は活動内容のはず・・・
<碧衣の騎士団>の騎士長のあなたが来るところとは場違いと思いますが・・・
それに届物ならリョースや部下がやれば良いことじゃないんですか?」
 シンはアルビレオを見ながら少し警戒している様子だ。
 「これは、公式発表ではないが・・・<ザ・ワールド>を正常化するために
リョースはカイトというPCとその仲間たちとなにやら作戦を実行中らしい・・・先ほど、リョースの部下が数名意識不明になった・・・」
 アルビレオは少し顔を伏せながら話した。
 「でもさ、社長直々なんて・・・すごいんだね。シルフィスさんって!!」
 ユキがシルフィスを見ながら目を輝かしている。
 「それは、俺も興味がある・・・あんた、何者だ?」
 アルビレオも不思議そうにしている。
 「そうだな・・・俺の自己紹介を触れておくか・・・リアルのことも含めてな・・・」
 そう言うとシルフィスは自分のことを話し始めた。
 「そうだな。本名は伏せておくとして・・・俺の職場はWNC(世界ネットワーク・カウンシル)の調査団。
そして、CC社の社長の幼馴染・・・これでたいていのことはわかったと思うが?」
 「では、あんたは今回の<ザ・ワールド>での事件を調査しに来たのか!?」
 アルビレオは声を荒げる。
 「世界中の人がプレイしてるんだ。WNCの職員がプレイしていてもおかしくはないだろう?
それと、今回のことは社長から頼まれたことだ。これで納得してもらえると思うが?」
 「たしかに・・・それは、おかしくはないですね」
 シンは口元に微笑を浮かべている。
 「さて、自己紹介もすんだことだし・・・社長からのプレゼントを渡してもらおうか?」
 そう言うとシルフィスはアルビレオからアイテムを受け取った。
 「・・・さて、俺も仕事に戻るか・・・」
 「仕事?」
 シンは聞き返しながら刀の鍔を切る。
 「勘違いしてもらいたくないな・・・無意味な24時間メンテだよ」
 アルビレオはそう言うと転送消滅した。


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