第3章 初陣

「じゃあな・・・」
「おう、じゃあな・・・今度パーティを組もうな」
ケニーは少し残念そうにホームの前まで送ってくれた。
「そうだな、気が向けばな・・」
「つれないやつ・・・」
ケニーはクックックと笑う。
金髪と青い目、白い鎧の剣士・・・昔から変わっていない・・・
まあ、俺のデザインも変わっていないが・・・俺の職業は剣士だ。デザインは茶色の髪の毛に黒い瞳、茶色の革製の鎧だ。
「それじゃ」
一言、そう言うと俺はカオスゲートに向かって言った。
カオスゲートの前に立つとケニーに聞いたワードを選んでいく。
そう、β版の『NAVEL OF LAKE』の場所・・・『Δ 隠されし 禁断の 聖域』だ。
俺はそれらのワードを選ぶとそのエリアに転送された。


     第4章 異変

そこはきれいな景色が見れた。橋が途中で切れ、その先には聖堂がある。 
「β版とは特に変わったとこはなし・・・か」
ここは敵も出てこないしアイテムもイベントも無いらしい。ケニーはそう言っていた。
「とりあえず・・・中に入ってみるか・・・」
聖堂の入り口に向かう。右側のドアが半開きになっていた。
中からはオルガンで奏でられた曲が流れてくる。その右側のドアから体を入れ、中にはいる。
そこには、モンスターも居ないし、PCもさしたるイベントもないせいか、誰もいない・・・はずだった。
俺はケニーにそう聞かされていた。
だが、そこで見たのはモンスターだ。大きな杖をもっている。
いや・・杖ではなく十字架だろうか・・・
そんなことを思いながらもそのモンスターを見る。
モンスターの後ろでは鎖に縛られた少女の像がある。
モンスターはいきなりその十字架を聖堂のはじに向ける。そこにはPCが一人居ることがわかったが、デザインは暗すぎてわからない。そのPCの後ろにはいつの間にかモンスターの十字架がある。
「な、なに・・・この・・・モンスター・・・」
そのPCがなにやら驚いた様子で十字架に張り付けにされる。
そして、モンスターの腕からなにやら出てくる・・・
「腕輪・・・?」
なぜか直感的にそう感じる。実際それはモンスターの手首から出ている。
その腕輪からなにやら飛び出てくる。その線とも言えるグラフィックはPCに突き刺さる。そして、弾け・・・PCが消える。
「なっ・・・」
驚く・・・さしたるダメージも無しにPCが消える・・・
そのモンスターがこちらに気づく・・・
「やるか・・・・」
覚悟を決める。だが、勝てそうには無い。
モンスターがこちらに十字架を向ける。動こうとするが、動けない・・・
「くそ!!動けよ・・・」
コントローラーのボタンを必死に押すがPCが動く気配は無い・・・
いつの間にかPCの後ろに十字架がある。
モンスターが先ほどの腕輪のスキルを発動する。
くそ・・・ここで、俺もやられるのだろうか・・・
その時・・・俺の目の前を1人の少女が横切る。不思議にその少女は宙に浮いている。
モンスターはその少女に気づくと少女を追いかけるようにして消える。
そこで、俺は脱力する。コントローラーも汗でびっしょりだ。
「はぁはぁ・・・・」
しばらく、そこからは動けなかった。


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