第9章 武器

「なにを引き出しますか?」
NPCの商人は決まったセリフしか言わない。目の前にアイテム欄が開かれる。
その中の武器の欄には1つのアイテムしかない。
・・・『天剣デュランダル』・・・
β版のレア物だ・・・手に入れたのは異様な出来事だった・・・
β版が終了したあの日・・・逆様の男に会った時に手に入れた代物だ。
「ほんとに良いのか?こんなのもらって・・・」
ケニーはそんなこと言いながら手に入れた剣のもう1本を手に入れた。
俺が手に入れたのは『天剣デュランダル』、ケニーに渡したのは『魔剣カラドボルグ』どちらもレア物だ。
だが、ただのレア物ではない。手に入れた場所が場所だからだ。
『NAVEL OF LAKE』・・・謎の男からだ。
あの後、アイテム欄を確認すると2つのアイテムがあった・・・『天剣デュランダル』と『魔剣カラドボルグ』・・・・
そのアイテムを預けたままなのだ・・・つまり、実戦では使っていないのだ。
「おい、リアン・・・どうしたんだいきなり?」
俺の後ろには先ほど呼び出しておいたケニーが居る。その手には『魔剣カラドボルグ』が握られている。
「使ってんだな・・・それ・・・」
「おっ、これか?お前からの最初で最後のプレゼントだからな」
ケニーには手に入れたいきさつを話していない・・・
「で、なんのようだよ?」
「気が向いたんだよ・・・」
そう言うとケニーをつれてΩサーバーのルートタウン、リア・ファイルに転送した。


     第10章 バグ

『Ω 異形なる 者達の 驚異』
これが、ケニーとの冒険に選んだワードだ。
俺は心の中で密かに願ってたのかもしれない・・・
あの、モンスター・・・スケィスの仲間に・・・いや、同類かな・・・・それに会いたいと・・・
「おい、早くダンジョンに行こうぜ!!」
ケニーが行きたくてたまらないらしい・・・
「わかったよ・・・」
そう言うと『快速のタリスマン』を使いダンジョンの方へ向かった。
ダンジョンの中にはいると景色が一変した。
たしかにダンジョンに入ればフィールドと違い、石造りの洞窟になる。
そこまでは、ふつうのダンジョンだが・・・なにやらおかしい・・・画面にノイズが走ったと思うと、
壁や地面、天井に至るまでなにやら数式が出てくる。
「これは・・・・」
「バグ・・・エリア・・・か?」
不意にケニーからバグエリアと言う言葉が出てくる。
「バグエリア?」
「そういう噂を聞いただけだ・・・実在するとは・・・」
ケニー自身驚いているようだ。
「どうする?引き返したくなったか?」
俺の質問にケニーは
「まさかな、こんなにおもしろい所があったんだ・・・神像部屋まで行こうぜ」
そう言うとケニーはダンジョンの中を進んでいった。


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