泌尿器科情報局 N Pro

症例012

症例提示

60才 女性

既往歴 なし

常用薬 なし

現病歴  
発症日 バス旅行に行き、トイレが混んでいたため、排尿を我慢した。その後尿意があっても尿が出ない状態となった。その後は排尿時痛があった。  
1日後 近医受診し、膀胱炎として抗生剤投与を受けた。排尿時痛は2日で改善した。  
2日後 腹痛が出現し、産婦人科クリニック受診した。卵巣のう腫と診断され、総合病院産婦人科に紹介となった。  
3日後 総合病院産婦人科受診しMRI撮影。巨大卵巣のう腫の診断で手術予定となった。  
その後徐々に腹痛悪化し、浮腫、腎機能障害も出現。予定を繰り上げて手術を行うこととなった。  
25日後 全身麻酔導入後に尿道カテーテルを留置したところ、1800ml排尿があり腹部腫瘤が消失した。開腹手術は中止となった。その後腎機能障害も改善した。  
29日後 尿道カテーテルを抜去し、導尿管理とした。  
44日後 今後の治療に関して依頼あり当院紹介初診。

検尿 軽度膿尿あり

ADL 異常なし

認知機能 低下なし

理学所見 異常なし

神経所見 異常なし

MRI(前医撮影)

答えを知ったうえで読影しているので、よく注意して見れば、尿道との連続性も確認でき、膀胱であると判断できます。相当大きなのう胞性病変ですので、これを見た産婦人科医が膀胱と判断できなかったのを一方的に非難するのは酷かもしれません。

膀胱エコー

壁の肥厚を認めます。やや頭側へ伸びた形になっています。トラベクレーションは認めません。

脳MRI

異常なし

腰椎MRI

異常なし

今後の治療方針をどうするかを考えてみてください。