泌尿器科情報局 N Pro

症例016-2

解説

腰部脊柱管狭窄症のある73才女性が、1週間前から徐々に進行する、排尿障害で受信しました。尿意が消失し、排尿後に腹部の用手圧迫で排尿があるとのことですので、大量ではないものの残尿があるようです。症状だけから神経の障害部位を予測するのは、時々外れることがあるので、あくまで予測と考える必要がありますが、尿意の消失とDUが疑われるため、下部脊椎から末梢神経の障害を疑います。

となると、腰部脊柱管狭窄症の悪化を疑いたくなるのですが、下肢の痛みやしびれなどの訴えはなく、腰椎MRIでも腰部脊柱管狭窄はごく軽度ですので、腰部脊柱管狭窄症では、排尿障害は説明できません。

下肢の症状が無いので、仙髄から末梢神経の障害を考えるべきで、亜急性に出現していることを合わせると、頻度を考えるとそれほど多くの疾患は想定されません。