泌尿器科情報局 N Pro

症例033-3

解説2

UDS

(クリックで拡大)

1. 記録状況
EMGがうまく記録できておらず、イベントの記録もEMGに隠されて消えてしまっています。Pves、Pabdは良好に記録されており、サブトラクションも良好です。

2. 蓄尿期
Capacity 390ml
Compliance 良好
DO 蓄尿期の最後で振幅は低いのですがPdetの上昇が見られます。DUのある患者さんではDOがあっても振幅が低くなってしまい、DOの判定基準を満たさないことがあります。しかし病態としてはDOがあるとしてよいと思います。
尿意 EMGに隠れてしまい尿意のマーキングが読み取れません。

3. 排尿期
Qmax 10ml/s
PVR 残尿がありそうですが、正確な数値は今回提示したグラフからは読み取れません。
Pdet PdetatQmaxは30cmH2O程度です。  
腹圧 排尿をしようとして何度も腹圧をかけています。8年前のUFM、UDSと同じパターンです。

ノモグラム

排尿筋収縮力 W+
閉塞度 I

UDSサマリー DO+ DU+ BOO-

いわゆるDHICの状態です。手術のメリットは少ないと判断され経過観察となりました。  

なぜ尿失禁の訴えがあったのかは、詳しい記録が残されておらず不明です。また背景となる神経疾患の検索も行われていないため不明です。とはいえ、8年の経過でゆっくり変化しているため治療可能な疾患が隠れている可能性は低いと思われます。