泌尿器科情報局 N

頻尿の原因

尿の回数が多くて困っている方は大勢います。この尿の回数が多くて困る状態を頻尿と呼びます。夜の尿の回数が多い場合には夜間頻尿と呼び、昼の回数が多い場合は昼間頻尿と呼びます。年齢とともに頻尿で困る頻度は増えてゆきます。高齢化社会に向かう日本でも、大変注目されている症状です。 頻尿となる原因は様々な要因があります。尿の回数は尿の量と膀胱の大きさで決まります。尿の量が多ければ尿の回数は増えますが、膀胱が大きければ尿の回数は増えません。尿の回数が増えるのはこのどちらか、もしくは両方に原因があります。

尿の量が増える場合

1日に作られる尿の量は、1日に飲んだり食べたりした水分や食事に含まれる水分や、栄養から作られる水分、便や汗、息から蒸発する水分などの差引をして決まります。下痢や発汗で大量に水分を失わなければ、食べたり飲んだりした水分の増減が、そのまま1日の尿量の増減になると考えてください。

1日の尿量が多くなれば、当然1日の尿の回数は増えます。ところが、尿はいつも同じペースで作られているわけではありません。飲んですぐに尿になるわけでもありません。水分を取ってから、尿になるまでの時間は、いろいろな条件が影響します。残念ながら高齢の方では、この尿を作る力が弱くなるために、水分をとってもすぐには尿が作られず、夜になってやっと尿を作り始めるようになります。そのため、1日の尿量はたいして多くないのに、夜の尿量だけが増えてしまい、昼はトイレに行かず夜だけトイレの回数が異常に増えてしまう結果となります。

尿を作る力に影響する要因としては年齢以外にも、心臓の力や、腎臓の力、ホルモンの作用なども影響します。そして意外なことかもしれませんが、塩分も尿が作られる時間に影響します。ただの水にくらべて塩水では、飲んでから尿になるまでの時間が長くなります。そのため夕食で塩分の多い食事をとると、尿を作る時間が遅くなり夜の尿量が増え、結果として夜の尿の回数が増えてしまいます。

尿を作る時間が遅くなった場合に、その水分はどこへ行ってしまうのでしょう。血管の中にはそれほど余分に水分をとどめておくことはできません。余った水分は血管の外にたまります。水分は重力に引っ張られるので、足に多くたまることになります。だれにでも経験がある足のむくみは、余った水分が足にたまっておこります。夜寝るときに横になることで、足に多くたまっていた水分がもとに戻ろうとしますので、夜に尿がたくさん作られ、朝には足のむくみはよくなっています。裏を返せば、足のむくみをなくす工夫をすることは、夜の尿を減らすことにつながります。