前立腺肥大症の薬物治療
前立腺肥大症の薬について説明します。
1. 5α還元酵素阻害剤
2. α-ブロッカー
3. PDE5還元酵素阻害剤
4. 抗コリン剤
5. β3受容体刺激剤
6. その他
5α還元酵素阻害剤
デュタステリド(アボルブ)
男性ホルモンが前立腺の中で効力を発揮する形に変化するのを止める薬です。男性ホルモンの影響がなくなることで、非常にゆっくりですが前立腺が小さくなってゆきます。効果が安定するまでにだいたい半年ぐらいかかります。前立腺が小さくなるという点では本当の治療薬といえます。
しかし若い状態まで完全に治るわけではありません。飲むのをやめてしまえばまた前立腺は大きくなりはじめますので、ずっと飲み続けないといけません。つまり、手術をして治してしまうか、治療をあきらめるかするまでは、ずっと死ぬまで薬を飲み続ける必要があります。
また、あまり前立腺肥大症が進行してしまうと効果は不十分となります。また前立腺の大きさが大きいためではなく、前立腺の形のバランスが悪いために排尿の調子が悪くなるタイプの前立腺肥大症には、効果は弱いといわれています。
前立腺肥大症は徐々に進行する病気ですが、デュタステリドを使用することで数年以上前立腺サイズを小さい状態にとどめておけることが確認されており、前立腺肥大症の進行を抑えるという意味では非常に重要な薬剤です。
α-ブロッカー(アルファ-ブロッカー)
タムスロシン(ハルナール)、ナフトピジル(フリバス)、シロドシン(ユリーフ)など
前立腺や尿道の神経伝達をブロックすることで、前立腺や尿道括約筋の緊張をゆるめ、それによって尿の出方を改善します。効果が比較的早く現れ、症状を改善してくれますので、前立腺肥大症治療薬の主役と言えます。しかし、前立腺の大きさそのものを改善しているわけではないので、数年で前立腺肥大症が進行して前立腺が大きくなると、症状は悪化してしまいます。
PDE5還元酵素阻害剤
タダラフィル(ザルティア)
もともとは勃起不全治療薬:シルデナフィル(バイアグラ)と同じ種類に分類される薬物です。さまざまな薬効が提唱されていますが、実際にどのようなメカニズムで排尿の状態をよくしているのかは、まだ解明されたとはいえません。とはいえ、この薬で排尿の状態が良くなることが確認されています。