*石ヶ瀬川とは地元愛知県の大府市付近を流れている川のことです。
◆調査動機
普段見慣れた川。身近にありながら、見落としがちな自分の地域の川がどのくらい汚れているのか興味を持った。少なからず、子供が直接触れる水なので安全性についても調べるよい機会になると思ったから。
◆調査目的
調査した結果を基に、この川の水質の現状をつきとめる。汚染されていた場合、今後の対策を考え、実践に移す。
◆調査場所
愛知県大府市 上流:馬池町 中流:吉田町 下流:森岡町
*ここでの上流〜下流に関しては、分かりやすいようにその地点を上流・中流・下流と仮定しただけなので実際には川の全長はもっと長いです。
調査地点@(上流)
・ゴミは少ない。
・辺りには、畑や田圃がある。
・比較的流れはゆるやか。
調査地点A(中流)
・ゴミが多い。
・流れが強い
・川のそこに多くの藻や藻に付着した洗剤のカタマリがあった。
・かさ,ビニール類が多く、人が故意的に捨てたようだ。
調査地点B(下流)
・ゴミが少ない。
・流れはゆるやか。
◆調査方法
@上流・中流・下流の水生生物を採取して石ヶ瀬川の汚れを対比させる。
⇒水生生物(水の汚れを示す指標生物)を採取、川の汚れ具合を調査。
AOCD(科学的酸素要求量)を使って水質を調査。
Bph(ペーハー)測定紙を使用して酸性・アルカリ性を調査。
◆用意するもの
・観察用顕微鏡
・生物捕獲用ネット
・水採取用ペットボトル
・大府市環境基本企画書
◆指標生物一覧
◆汚れ具合の予想
・上流から下流にいくにつれて、だんだん水が汚れてくる。
山などに流れている川を考えると、通常上流はきれいで、下流に流れる途中で様々な条件により水は汚れてくる。
その考えを当てはめて、石ヶ瀬川でも同じことが言えるかもしれないと予想した。
◆調査内容
▽調査地点@ (上流)
指標生物: フタスジモンカゲロウを発見。
*フタスジモンカゲロウは「少し汚い水」の指標生物だ。
▽調査地点A (中流)
指標生物: シマトビケラ科の生物とセスジユスリカを発見。
中流地点では川に堆積した藻から「少し汚い水」に住むシマトビケラ科(写真A)の生物と、「大変汚い水」に住むセスジユスリカ(写真B)が見つかった。
いずれも汚い水に生息する生物で、この川がどれだけ汚れているかを物語る。
調査地点Aではアパートからの生活排水が直接流れ出す大きな土管があった。他にも様々な場所から洗剤の流出が見受けられる。
左:写真A(シマトビケラ科)
右:写真B(セスジユスリカ)
▽調査地点B (下流)
指標生物: シマトビケラ科の生物を発見。
*シマトビケラ科の生物は「少し汚い水」に生息する指標生物だ。
下流は流れが緩やかであるが、川の段差があるところでは洗剤交じりの泡が大量に出ていた。
◆COD・phによる水質チェック
・調査地点の水を採取し、それぞれのCOD、ペーハー濃度を調べた。
COD調査
@採取した水をビーカーに移す。
ACODのチューブにそれぞれの水を入れ、2分間振る。
BOCDテストの判定表の色と比べ、汚れ具合を比較する。
結果
全て薄緑色に変化し数値は100ppm以上を記録した。
水が汚れていると、それを分解しようとして微生物が活発に活動する。
その結果酸素を沢山必要とする。その酸素の量を科学的に判断するのが
CODパックテストである。(科学的酸素要求量)
微生物が活発に動くということは、汚れた水を分解しようとしている証拠。
さらに、上流・中流・下流を同じ方法で調べた結果すべて同じであった。
結果として、石ヶ瀬川の水は汚れていることをあらわす。
ph調査
@各調査地点の水をビーカーに入れておく。
ACODと同様に、phパックテストで水の酸性・アルカリ性濃度を調べる。
結果
すべて(3つとも)青紫色に変化し、強いアルカリ性を示した。
アルカリ性ということは、洗剤の成分であろう。
上流・中流・下流を同じ方法で調べた結果すべて同じであった。
◆まとめ
指標生物・COD・ph、ともにこの川はかなり汚れていることを示した。
予想とは大きく違い、全ての地点において同じ結果が出た。それも、石ヶ瀬川のいたるところから大量の生活排水が流れ込み、洗剤の泡が目立つ。ph調査でも強いアルカリ性が出た。これは家庭用洗剤等が混ざっている紛れもない証拠である。
「石ヶ瀬川の水質の現状は大変きたない水と断定してよいだろう。」
◆今後の課題
この水質の現状をみて今後さらに悪化しないようにするため、次の課題を挙げた。
生活排水の処理
@公共下水道等の整備・利用充実
A合併処理浄化槽の整備・利用充実
B家庭における取り組みの促進
C生活排水を汚さない運動の促進
施策 | 行政の役割 | 市民・事業者 |
@ 公共下水道等の整備・利用充実 |
水洗便所改造資金融資あっせん事業を通じて、 公共下水道への接続を促進する。 |
市民・事業者: 公共下水道、農業集落排水等に接続し、利用。 |
A 合併処理浄化槽の整備・利用充実 |
合併処理浄化槽補助金制度を充実し、合併処理 浄化槽の導入を促進する。 |
市民・事業者: 単独処理浄化槽の使用を廃止し、合併処理浄化槽 を設置し、適切に管理する。 |
B 家庭における取り組みの促進 |
石けんミニプラント貸出し事業、石けんつくり講習会 等の定期的な開催など、普及啓発の機会を増やす。 普及啓発に当たっては、直接地域への呼びかけとと もに学校から家庭へ広げるなど、様々な方法で取り組 みます。 |
市民: 食用油や食べ残しを排水口に流さない、洗剤の適正 使用量を守るなど、家庭からの生活排水対策に取り組む。 |
C 生活排水を汚さない運動の促進 |
食生活改善推進員による草の根運動、広報紙「健康 づくり」により意思啓発をする。 |
市民: 食事の準備の際には、エコクッキングを心がける。 |
エコクッキングのヒント エコクッキングとは何だ?
@買い物
・野菜は自然で旬なものを、そして丸ごと食べられる有機野菜を購入しましょう。
・買い物袋を持参し、お店のポリ袋は断りましょう。
A調理
・ミキサーなどを利用して、捨てていた部分や硬い部分も食べやすくしましょう。
・ゴミはその場で分別しながら調理しましょう。
B食事
・残さず食べましょう。また、無駄になるような量を作ることは避けましょう。
C後片付け
・油ものは他の汚れ物と分け、極力洗剤を使用しないようにしましょう。
・排水口にはストッキングなどをかぶせて、ゴミの流れるのを防ぎましょう。
大府市
現在、大府市では少しでも川の水をきれいにするためプランクトンが生息しやするするように C350 という植生保護マットを入れています。
◆考察
一番身近にある川。今回の調査で、どれだけ汚れているかがよく分かった。川を汚すのは人間。道端にゴミを捨てるのも人間。結局、環境を破壊しているのは人間なのだ。皆一人ひとりが気をつけていれば地球環境はそれまで悪くはならないだろう。これから生まれてくる子供たちはこの川で新しい発見をするかもしれない。人によって汚されていく川で、自然と触れ合うことも難しくなるかもしれない。そのようなことが起きないように、今からでも自分たちのできることをやるべきだ。今後の課題でも挙げたように、家庭における取り組みなどは誰にでも実行できること。情報化社会になりつつある現日本では、どこか自然の大切さを忘れかけてきたようにも感じる。
下水道の整備・利用を充実し、生活排水を極力川へ流さないように努力することが今一番求められていることではないだろうか。