♯ 名古屋レコード・CDショップ/徹底ガイド

SHINSEIDO (新星堂) 名駅前・高島屋11階


  
 
新星堂はかつてクラシックの貴重な音源を、積極的に自社レーベルとしてリリースしていた。
現在では見る影もないが、かつて名匠ワインガルトナーが残した全録音を、これ以上ない素晴らしい音質でリリースしたその功績は、心あるファンの間で永遠に語り継がれることであろう。
これはその当時の新星堂の貴重な機関誌「MUSIC TOWN」の表紙。


新星堂・近況 (2013.1)
/JR名古屋駅前の高島屋にオープンした頃の新星堂は素晴らしかった・・・ 多種多様な輸入盤が所狭しと並べられ、その景観はまさに圧巻だった。 それが今では・・・店鋪面積は往時の3分の1近くまで縮小、クラシック・コーナーから輸入盤は全滅、当たり障りのない名曲や「のだめカンタービレ」物、そして演奏よりビジュアル系要素ばかりを売りにする「J-クラシック」なる若手演奏家たちのCD、クラシック入門・モーツァルト入門などのEASYなものばかりになってしまっている・・・・ネット社会の影響によるCD不況もあるのだろうが、いまの新星堂の現状は果たして世の中全体の幼稚化と無縁、と言い切れるだろうか? 
 現在の新星堂は筆者にとって、もはや何の魅力もない「お子様ランチ」ショツプの一つと成り果てた。
以下に10年ほど前のレポートを記す。 古き良き時代の新星堂の残滓である。


(新星堂/JR名古屋高島屋店レポート1999)

 新星堂JR名古屋高島屋店は今、名古屋のクラシックCDファンにとっては市内で最も注目すべき店であることは間違いありません。新星堂JR名古屋高島屋店は2000年3月15日、名古屋駅JRセントラル・タワーズ11階にオープンしました。
 新星堂は名古屋市内にはこれまでに栄・セントラルパーク、星が丘「三越」などを初めとし、アピタなど郊外型ショッピング・センタ−などに数多くの店鋪を持っていましたが、新たにオープンしたJR名古屋高島屋店は、他の新星堂とは全く異なっていました。
 何が違っていたのか? ・・・・クラシックに関して言えば、輸入盤の品揃えが豊富で、その回転がまことに速いということが、この店の大きな魅力としてまず第一にあげられます。新星堂JR名古屋高島屋店には、クラシック・ファンにとっては思わず手を伸ばしたくなるような魅力的な新譜が、毎日のようにその店頭に追加されているのです。
 第二に、価格面が挙げられます。新星堂JR名古屋高島屋店の輸入CDの価格は、他の名古屋市内の外資系CDショップ (タワー、HMVなど)に比べ、ほとんどのアイテムが割安なのです。
 第三に、他店があまり積極的に扱っていない超バジェット・レーベル (例/蘭Brilliant、独Historyなど)を積極的に取り扱っていることが、大きな魅力と言えるでしょう。
 私の個人的な印象では、新星堂JR名古屋高島屋店はその場所 (JR名古屋駅上)のせいもあってか、「東京・大坂のCDショップ」の香りを持っているような気がします。つねに魅力ある品揃えに目を配り、ファンに満足を与えようという新星堂JR名古屋高島屋店の姿勢は、特筆されて良いと思います。

 また新星堂は、顧客からの要望等があった場合、たいそう迅速に対応してくれます。
私は以前、新星堂JR名古屋高島屋店の商品棚に空きが多く、補充がやや遅れ勝ちなことが気になったことがありました。そこでその旨を新星堂のホームページに書き込んだところ、なんとその日のうちに「おわび」と「今後の対応」についてのメールが届き、それ以後は前記のような不満が解消したのです。
 この時は私は本当に感心し、また嬉しく思いました。

 なお、多くのファンがよくご存じのように、新星堂では店独自の企画で、数々のクラッシックCDのシリーズを展開しています。その代表的なものが「栄光のウィーンフィルハーモニー管弦楽団」でおなじみのSGRシリーズで、メジャー・レーベルが主に採算的な面からあまり取り上げようとしなかった過去の名演奏の数々を、シリーズとして系統だててリリースしたことは特筆に値します。 また新星堂は昨年、満を持して「ワインガルトナー大全集」全24タイトルを発売し、大きな注目を集めました。 このシリーズは採算的に見たら、絶対に割の合わないだろう企画で、まず他の大手CD会社は手をつけない分野だと思われます。 この点について新星堂機関誌「Music Town」のなかで、新星堂社長・大竹次郎氏は次のように述べておられます。
「SGRは貴重なものだから、全員が勉強してたくさん売ろうということには無理があると思います。( 中略 ) このSGRシリーズは単に量だけを問題にする販売活動のためでなく、当社のクラッシック音楽に対する姿勢を知っていただくものとして考えていただいてよいと思います。」 (Music Town1999年10月号より)
 私はこれを読んで、クラッシックに対してこれだけ深い理解と愛情とを持っているレコード店経営者がおられることに、たいそう感動を覚えました。
 今後の新星堂の展開を、大いなる期待を持って見守って行きたいと思います。                

(おことわり)
このページ記事は、すべて個人的な趣味として作成したもので、毎回取り上げている店とは何の特別なコンタクト等は取っていないことを、ここにお断りいたします。

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