オウガバトルシリーズ:勝手にキャラトーク♪♪


☆レオナール・レシ・リモン―――ロンウェー公爵配下の騎士(水系・L)

『タクティクスオウガ』 鏡屋敷の中で・・・

 最初の印象は・・「この人についていけばいいや。」でした。
『伝説のオウガバトル』で出会ったランスロットのように、偉大な騎士に弱い私・・・。この人がリーダーを替わってくれないかなぁ♪と他力本願の依存症になってしまうのです。
 というわけで、1章の終わりまでは、デニムなりきりの、のんびりモードでやっていたのです。突然の選択にせまられる、あのバルマムッサでは本当に泣きそうでした・・・。
 あの場面・・・。
 「よく聞いてくれ・・・。これから町の住人を一人残らず殺すんだ。」
 「・・・従ってくれるな?こうしなければウォルスタに明日はないッ!」
これを平気で”ふぅ〜〜ん??”なんて冷静に選択肢を考えられる人がいるのでしょうか・・・。最初のプレイでは、あまりの問題の大きさにしばし呆然自失の私でした・・・。
『ウォルスタの勝利のきっかけとバルバトスを討ち取る大義名分』・・・ロンウェー公爵の提案とはいえ、そのような恐ろしいプランを二つ返事で実行に及ぶ騎士だとは、全然思えなかったのです。
「レオナールって・・・・そんな人だったんだ・・・。ずっと一緒に行こうって思ってたのに・・・。」(涙)

 そう、まず”裏切られたような気持ち”になりました。その次には、冷静に考えてみて(デニムなりきりである)私が考えていたレオナール像が揺らいでいき、「レオナールを知っている、信頼している、尊敬している。」という気持ちもまた、揺らいでいきました。
 現実でもそうですね。知り合って、親しくなって、その人を知っているつもりで行動していると、あれれ?と思うことがあります。よい意味の期待はずれなら、とてもうれしいです。「見直しちゃったよ♪」という喜びがありますから。でも、逆の場合だと・・・・。がっかりさせる相手を恨むよりも、私はがっかりしたと思う自分の、目の不確かさを嘆くのです。「見損なったよ!」と、議論やケンカできるうちは、まだましなんです。「そうか、目指すもの、進む道が違ったのかも。」と納得せざるをえない時もあります。恐ろしい喪失感です。
 そのような、あたかも失恋のような絶望感・諦めで、レオナールのプランを拒否すると・・CかNルートの道へと進み、永遠に”共に進み、共に戦う”ということは、もうなくなるのでした。

 しかしながら、その後もずっとバルマムッサの別れは、心にくさびを打ち込まれたままの傷として残っていきました。それまでの私の考える”レオナール像”と目の前にいるレオナールとのギャップに心がきしむのです。「こんなの、やっぱり納得できないよ・・・。」と。
 そして物語が進むにつれ、アロセールと出会うわけです。そして、アロセールの兄がバルマムッサにいて死亡したこと、バルマムッサの虐殺計画をレオナールは、恋人であるアロセールに話していなかったことを知りました。
ヴァイスが、それを披瀝するシーンでは、アロセールの心情によりそう気持ちで味わってしまいました。
「・・・!おまえ、何も知らなかったんだな? 何も聞いていなかった、そうだろ?」

 この言葉に・・・全てが崩れ去ったような気持ちがしました。
打ち込まれたままのくさびを抱いていた心が、いっきに音をたてて割れていくような・・・。
 ですが、レオナールを好きだという一般的な女性ファンの普通の心情とは、私はちょっと異なるような気がします。彼と恋愛をしたいわけではないのです。たとえ道が分かれたとしても、ずっと尊敬する”先輩”であってほしかったのです。レオナールを救出した後、ずっと肩を並べて戦っていた時に感じていた親しみが、笑顔が、まるでウソだったかのように遠く感じられたのが、心から悲しくて仕方がありませんでした。
 でも、恋愛とは違うと言ったものの、気持ちは一緒です。まるで失恋なのです。アロセールの落胆ぶりもよくわかるような気がします。
 まず・・・考えられないと思っていた行動を彼が選択したこと。それを相談してくれなかったこと。 たぶん、自分の知っているレオナールなら、そんな選択をしたことを悩んでいるだろうと思うのに、組織のために・・自ら選んだように振る舞っていて、それで本当にいいの・・・?本当のレオナールの姿をもう思い出せないような・・・。以前好きだったレオナールをもうすでに失っているような絶望感なのです。
 もしかしたら・・・恋をして共に過ごしたことは、「幻だったんだよ・・・」って当のレオナール自身に言われてしまうような喪失感を感じてしまう。これが本当の”失恋”なのかもしれませんね・・・。
 死者の宮殿で、あるいは他の場面で、(デニムとしての自分が)レオナールを”死なして”しまう時、さらに絶望に襲われます。もう、心はくだけ散ってしまい、残っていないと思っていたのに・・・なぜ?と私は考えます。
たぶん、答えはこうなのでしょう・・・。
 どんなに道が分かれたとしても、たとえ本人が自らの意思で隠してしまっていたとしても、表面を取り繕っていたとしても・・・もしかしたら、かつて自分の信じた”レオナール”こそが真実だったのではないかと、そしてもう一度、その”真実のレオナール”に逢いたい!、そういう考えをまだ自分は捨て去ることが出来なかったのです。そう、最後の最後まで望みをもっていたのかもしれません、恋人のアロセールのためにもと。くだけ散った心の最後のひとかけらに望みを託して―――。


  鏡屋敷の中で・・・私は あなたを見失う
  鏡に映る あなたの横顔は 私の知っているあなたではなくて 
  手を伸ばしたら 届きそうなところにいたはずのあなたは
  迷路の奥へと 消えてしまった・・・
  私の・・・好きだったあなたをさがしているのに 
  違うあなたが現れて なつかしい面影を壊していく
  そう・・ あなたの真の敵は あなた
  それなのに 私を共に戦わせてもくれなかった・・・
  それでも あなたを・・・愛しているわ・・
 


献辞:
この小文を、拙宅の6000番を踏んでくださった、れくさんに謹んで捧げます。


※ 鏡屋敷とは、遊園地などにある「ガラス・鏡を多用した迷路のアトラクション」の通称です。

通し番号 NO.11(2003/02/14)
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