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そうした苦しい努力の結果、遂に江戸へ出て人を教える一人前の学者として独立するまでになりました。

 しかし、田舎から出てきたばかりの年若い一学者に、江戸での生活はつらく、厳しいものでした。

「私は、これで良いのだろうか。数える弟子も少なく、貧乏しながら、このまま江戸にいて、一体どうなるのだろうか。」

 気弱になり、いまは亡き母を思い出しました。すると、「甚三郎よ、お前の夢は何だったの。世のため、人のために、立派な学者こなることではなかったの。生活が苦しく、明日の日がわからなくても、夢に向かい、希望に向かいさあ、元気を出しなさい。」

 お母さんの励ましの声が胸に聞こえてきます。

「よし、迷うことはない。苦しくても、この道を進もう。」