泌尿器科情報局 N Pro

症例007

症例提示

81才 男性

主訴 尿閉

既往歴 糖尿病、認知症、腰椎圧迫骨折

現病歴 1年前より 下肢しびれあり 7日前  胸膜炎で入院。尿失禁あり。 6日前  尿閉と判明し、導尿で1100ml流出。以後導尿管理。 自排尿の回復無く、泌尿器科依頼となった。

血液検査所見 腎機能異常なし。炎症反応高値あり。

尿検査所見 膿尿なし。

直腸診 前立腺は異常なし。肛門トーヌスは低下。

神経所見 下肢筋力の軽度低下あり。

認知機能 軽度低下あり。

膀胱エコー

形態、トラベクレーション、壁肥厚、筋層の厚さ、憩室の有無、結石などに注意して判断しますが、特に問題となる所見はありません。

前立腺のエコー所見

前立腺も特別な異常を指摘できません。

頭部MRI

ラクナ梗塞が指摘されます。このMRIだけから判断をする訳ではありませんが、神経内科では、アルツハイマー型認知症の診断がなされました。

腰椎MRI

骨粗鬆症および古い圧迫骨折があります。この条件ではわかりにくいですがL1レベルでわずかに脊髄が押されている所見があり、整形外科で軽度の脊柱管狭窄と判断されています。

他科診療判断

呼吸器科 胸膜炎による胸水と全身状態の悪化あり。

内分泌内科 糖尿病はほぼ未治療

神経内科 アルツハイマー型認知症、ラクナ梗塞

整形外科 骨粗鬆症、古い圧迫骨折、軽度の腰部脊柱管狭窄症

胸膜炎で入院した高齢男性が尿閉となり、泌尿器科に依頼があり今後の治療方針を考える必要があります。医師ごとにいろいろな考え方がありますので、唯一の正解があるわけではありませんが、次はどうするとよいでしょう。