泌尿器科情報局 N Pro

症例024

症例提示、UDS提示

95才 男性

既往歴 脳梗塞、耐糖能異常、頸椎症、気管支喘息、腹膜炎手術、気管支喘息

常用薬 タムスロシン(ハルナール)、デュタステリド(アボルブ)、クロピドグレル(プラビックス)、アムロジピン(ノルバスク)、アロプリノール(アロシトール)、カルボシステイン(ムコダイン)、ニセルゴリン(サアミオン)

現病歴
10年前 尿閉となり前医受診し、前立腺肥大症の診断でタムスロシン開始。
5年前 通院の便のため当院受診。前立腺45ml。尿流量測定で排尿量46ml Qmax 6ml/s 残尿量140ml タムスロシン継続をかかりつけ医に依頼。
5日前 かかりつけ医より全身状態不良とのことで当院高齢総合内科に紹介あり入院。導尿で1100ml流出。以後導尿管理。
自排尿が回復せず泌尿器科受診となった。

入院時血液検査
WBC 14400 CRP10.2 Cre0.8 PSA4.9

入院時尿検査 膿尿なし

頭部CT

前頭葉、側頭葉の萎縮が目立ちます。

導尿後腹部CT

特に異常は認めませんでした。

エコー(膀胱)

エコー(前立腺)

前立腺サイズは56mlと計測されました。デュタステリドの開始時期は不明です。

もともと独居の患者さんで、入院後もせん妄状態が続いていました。入院に至った経過は不明でしたが、入院後に持続点滴による電解質補正を行い、全身状態が回復したことで、食事摂取、移動等が支障なく行えるようになっていました。せん妄状態のため判断が定かではありませんが、認知症の進行があり、独居のために適切な食事、水分摂取ができず、今回のような状況に陥ったのではないだろうかと推測されました。そのため、今後は独居を続けるのは難しいだろうとの判断となりました。子供との同居ができないということであったため、施設を探すことになりましたが、導尿が継続できる施設は限られるため、早期の自排尿回復を希望していました。

そこで、前立腺肥大症を手術で治療することで早期に導尿ができるかどうかを判断するため、5日後、つまり入院から10日後にUDSが行われました。

UDS

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UDSを解釈し、今後の方針を考えましょう。