泌尿器科情報局 N Pro

症例024-4

解説2

UDS

(クリックで拡大)

1. 記録状況
EMGはうまく記録できていません。サブトラクションは良好に得られています。排尿の最後の部分は、急にPvesが低下し、その後腹圧の山がPvesでは拾えていませんので、途中でPvesのカテーテルが抜けてしまったと思われます。ポンプの太線は途中で2回途切れています。DOが出現したときにいったん注水をとめて様子を見ています。

2. 蓄尿期
Capacity 260ml  ただしDOによって排尿が始まってしまっているので本当の膀胱容量ではないかもしれません。
Compliance 良好
DO あり。注水をやめても圧が上昇していますが、その後圧が低下しています。注水を再開すると圧がまた上がります。コンプライアンスの低下のために圧が上昇しているのではなく、DOによって膀胱内圧が上昇していることが、注水を止めたり再開したりすることでわかることがあります。注水でDOが誘発されることはよくあることです。
尿意 DOが出現して少し遅れてFDを訴えています。その後は排尿を許可し、実際に患者さんは腹圧をかけたりして排尿しようとしているので尿意については記録がありません。

3. 排尿期
Qmax ほんのわずか2ml/s程度ですが、2回排尿がありました。
PVR 記録がありませんが200ml程度の残尿があります。
Pdet 最大60cmH2Oまで上昇しています。PdetatQmaxは50cmH2Oぐらいでしょうか。
腹圧 排尿をしようとして、腹圧をかけています。

ノモグラム

閉塞度 III
収縮力 W-

UDSサマリー DO+ DU+ BOO+

ということで、排尿筋収縮力は回復し、UDSで閉塞があることが確認されました。半身麻酔で手術が可能な程度までせん妄状態から回復しており、TURPを勧めました。ところが、今度は本人が明確に手術をしたくないとする希望を表明しました。

そのため、デュタステリド、タムスロシンを継続のうえ、間欠導尿で経過観察となりました。徐々に自排尿量がふえ、当院のフォローが途絶える頃には、1日1回の導尿で問題なく経過する程度まで回復していました。